アラビア書道とその周辺

アラビア書道にも役立つアラビア語関連本、師岡カリーマ・エルサムニー著「アラビア語のかたち」（白水社）の紹介です。

既にいくつかのお稽古場所でも紹介させて頂いています。
新刊ではなく2002年初版のちょっと古い本です。今でも大きめの本屋の外国語のコーナーには置いてありますし、アマゾンあたりでもすぐ注文できます。

アラビア書道を始める方の中にはアラビア文字が全く分からないという方が結構多いです。
アラビア書道はアラビア文字が分からなくても形から入れるので、当初のお稽古には問題ないのですが、レッスンが進むに連れて、自分で書きたい文言が出てきた場合に多少綴りの知識がないとデザインすることが難しくなってきます。

文字だけを集中して教えてくれるアラビア語講座はありませんし、書道のお稽古でアラビア語の仕組みを教えるには、時間が足らないので、最小限の説明となってしまいます。そこで、個人で少し自習していただいたほうがと良いと思うのですが、その際に使いやすいのが本書です。

普通のアラビア語文法書では文字の部分はかなりあっさりと数ページで片付けられているので、物足りなさを感じます。
紛らわしい形の多いアラビア文字を覚えるには少し時間がかかりますし、文字と文字が繋がったときに、形が変わるものも多いのでそこでまた少し時間がかかります。
まあ、2,000以上の漢字を操る日本人ですので、バリエーションを含め、40種類ぐらいのアラビア文字を覚えるのはそれほどの苦行ではないと思いますが。

この本の特徴は、まずアラビア文字で書いた、日本語の五十音表の説明から始まります。そして日本人の名前の書き方、日本の地名などに進み、そしてエジプトの街角で見られる看板から、特定のアラビア文字を探すようなクイズも含まれています。

日本語との関わりから入っゆき、文法には深入りしていないので簡単に読むことができます。
それから添付のミニCDがなかなか面白く、エジプトのテレビCMやサッカー中継、レモン売りの声、コーラン朗誦など少しずつ音が入っています。

この本を読み終わったら、「アラビア文字を書いてみよう読んでみよう」（本田孝一・師岡カリーマ･エルサムニー著）（白水社）に移ると良いと思います。