人事を尽くして
日本のことわざで、人事を尽くして天命を待つという言い方がありますが、英語ではMan proposes, God disposesとなります。もともとは15世紀のトマス・ア・ケンピス著の”Book I, chapter 19, of The Imitation of Christ”の中の「Homo proponit, sed Deus disponit(ラテン語)」の文書の一部と言われています。同様にアラビア語で当てはまりそうなことわざは、نَحْنُ فِي التَّفْكِيرِ وَاللهُ فِي التَّدْبِيرِ(ナフヌ フィ (ア)ッタフキール ワ (ア)ッラー フィ (ア)ッタドビール)になります。直訳すれば、「我々は考え、アッラーが手配する。」になります。タフキールはファッカラという動詞の動名詞で「考えること、熟考すること」の意味があり、タドビールはダッバラとい動詞の動名詞形で、「計画すること、手配すること」という意味があります。ということで、「人は(問題について)いろいろ考えて、アッラーに上げると、アッラーはこうしなさいとか、ああしなさいとかの指示命令を下すような感じを受けます。一方、英語は翻訳すると、「人は提案し、Godが片付ける(処理する)」となります。「人が計画をGodに提案し、Godがそれを片付ける」というイメージになります。動詞のdisposeは問題を解決するとか処理するという意味が強い感じがしますが、もともとarrangeと同じ手配するという意味があるようです。日本語では、いろいろな事を想定して準備を怠りなくして神(天命)に上げ、最後は神(天命)の決定に委ねるといった感じです。決定権は神(天命)にあるのですが、人はかなり具体的な案をつくり、神に提出するイメージですので、ちょっと英語やアラビア語のことわざとニュアンスが異なる感じです。ルクア書体で書いてみました。