第38列車レポ(ハジャイ→バンコク)
タイ国鉄ハジャイ駅は空港から車で20分ほどとかなり近いです。普通のタクシーがなく、ソンテオ(軽トラックの荷台を座席にしたような乗り物)を使う人が多いようですが、座席が埋まらないと発車しないし、あちらこちらを停まって人を乗せたり降ろしたりと時間もかかるし、エアコンも付いてないので今回は300Bの空港タクシーを奮発しました。タイ国鉄はハジャイ市内のほぼ中央の繁華街にあるので分かりやすいです。付近にはデパート、ショッピングモール、レストラン、屋台などが揃っています。ハジャイ駅はかなり大きい建物で、ホームが2面あります。駅舎のある方のホームからもう一方のホームに行くには線路を横切って行くことになります。日本のように頻繁に列車が通らないのでそれほど危険は感じません。駅舎には荷物預かり所(但し18:00まで)があるので大きな荷物は10Bで預かってくれます。英語の分かるスタッフを置いてある前売り乗車券売り場(Advance Ticket Office)があり、外国人でも簡単にチケットを買えます。駅構内には警察官の姿も多く、いろいろチェックしているようですが、私が通った時は何も言われませんでした。簡易売店がある他、物売りのおばさんたちがバナナ、飲物、新聞などを売っています。駅前広場はなく、駅を出るとそのまま商店街につながっています。駅前にはソンテオやモータータクシー(オートバイタクシー)が暇そうに客待ちをしています。バンコク駅からハジャイ駅まではSothern Line(南線)と呼ばれていますが、そのままクアラルンプールを経由してシンガポールまでつながっています。しかしながら、不定期的に走る観光列車イースタン&オリエンタル・エクスプレス以外全線を通じて走る列車はなく、定期運行では、シンガポール-クアラルンプール、クアラルンプールーバタワース、バタワース-ハジャイ-バンコクと3本の列車を乗り継ぐことになります。ハジャイ駅からは夜行列車が4本も出ています。中には座席車のみのディーゼルカー列車もありますが、さすがに16時間じっと座っているのはつらいので、寝台列車にします。第38列車はスンガイコロクから出発した車両とハジャイ始発の車両を連結してバンコクまで走ります。ハジャイ発の車両はかなり長いため、向かいのホームに行くための通路を遮断しないよう、同じ線路上に分割して止められていました。ホームの高さが低いため、列車に乗りこむためには、手すりを掴みステップを上がらねばならず、お年寄りには少しきついかも知れません。車両のバリエーションは多く、一等寝台、二等寝台エアコン付上段、二等寝台エアコン付下段、2等寝台エアコン無し、2等エアコン無し座席車、3等エアコン付座席、3等エアコン無し座席車と細かく分かれています。全て座席指定です。今回乗ったエアコン付2等寝台下段はハジャイからバンコクまでは905B。つまり、乗車券も寝台券もエアコン代も全て込みで、3,000円もしません。同じ区間を格安航空会社エアアジアで乗ると1,500~2,000Bかかるので鉄道の方がかなり安いですが、飛行機なら1時間20分ぐらいで済みます。もっと経済的に済ますなら、エアコンなしの3等座席ならば1/3ぐらいの料金です。因みにイースタン&オリエンタル・エクスプレスでは一番安いクラスで、シンガポール-バンコクでは232,000円、一番距離の短いバタワースーバンコクでも150,000円します。もちろん、こちらは食事も全部ついている上、バタワースではペナン観光、カンチャナプリで戦場に架ける橋ツアーなども組み込まれており、2泊3日の優雅な旅となります。寝台車は日本の東急車輌製造とあります。列車の進行方向に向かって平行に寝るタイプなのでブレーキがかかった時もそれ程気になりません。但し、横揺れは少し気になります。カーテンを引くと結構上段との間に高さがあるので、圧迫感はありません。足も十分伸ばせます。料金的には上段の方が少し安いのですが、登りにくいハシゴを使う必要があり、下段の方がはるかに楽です。日本の寝台車と違うところは荷物スペースがかなり広いということです。下段にも上段にも網かごのような結構大きめの荷物スペースがあります。寝台がセットされていない時は下段が狭めの座席になっており、上段の客も下段で向かい合わせに座るようになります。ハジャイーバンコクの鉄道乗車記のブログなどを読むと、寝台車のエアコンはかなり効いていて寒いほど、というのが良くありましたので、念のため、薄手のジャケットを持ってきました。確かに車両に入ると一瞬ヒヤッとしますが、温度は25℃ぐらいに設定されており寒いほどではありませんでした。ただ真夜中には23℃ぐらいまで下がったこともあり、さすがに備え付けのブランケットを掛けましたが。この時期のタイの夜は外気温が意外に低く(28℃ぐらい)、湿度が80%近くあったこともあり、車内外との間に余り差がなかったのかもしれません。真夏だと25℃だと、さすがに気温差が激しすぎるかも知れません。車両はスンガイコロク駅発車のものをハジャイ駅で連結した結果、全部で10両編成ぐらいになってからバンコクを目指します。牽引する機関車はどんなものかハジャイ駅で見に行きましたが、かなりぼろぼろのディーゼル機関車が連結されていました。こんな機関車で長旅は大丈夫かなと若干心配になりましたが、翌朝バンコク駅に到着して先頭車両を見てみるとなかなか新しいオレンジ色の機関車に変わっていました。ぼろぼろの機関車は入れ替え用だったようです。ハジャイ-バンコク間は距離にして944.63kmありますので、東京からだと広島の少し先の岩国あたりまでにあたります。この距離を16時間かけて走るので平均時速は59kmとなり、一昔前の日本の特急寝台列車とそれほど変わりません。体感的にはもっとゆっくり走っているような気がしましたが。上から、ハジャイ駅外観入れ替え用機関車乗車車両