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カテゴリ:歴史
「退屈姫君恋に燃える」米村圭伍(新潮文庫)
「退屈姫君伝」「退屈姫君海を渡る」に続き退屈姫君シリーズ3作目です。 江戸時代、10代将軍家治の時代。主人公のめだか姫は、陸奥磐内藩50万石の国主西条綱道の末娘。なぜか2万5千石の讃岐の風見藩の小大名、時羽直重の正室として嫁いだのは、この正月のこと。めだか姫は行動派のお姫様。磐内藩と風見藩の50年前の密約の証拠を握り、時羽家を取りつぶしおのが領地にしようとしていた田沼意次の陰謀を粉砕したり、参勤交代で領国に行っている夫が行方不明になったと聞いて、秘かに磐内藩の便船で讃岐に向かい、お家乗っ取りの陰謀を解決。 今回は、「恋に燃える」というので、え??と思ったのですが、恋は恋でもめだか姫ではありませんでした。風見藩の16歳の冷や飯食いで江戸に将棋留学している榊原拓磨が、将棋の指南の際に見た大名の姫君に一目惚れ。 そして今回もまたまた田沼親子の陰謀が?? 実家の力を借りながら、難問を解決していくめだか姫です。 それにしても、風見藩は貧乏藩。芝居見物を言い出したら、藩の財政をにぎる家臣が泡を噴いて昏倒し3日間意識不明になるという・・・(^^;) そういえば、ご正室さまの足袋もなかなか買えないと前作で出ていました。 それでも、めだか姫は、なにか面白いことをみつけると「まあ、すてきすてき!」といいながら、まっしぐらに突っ込んでいきます。 読んでいてたのしいお話です。 p264 (やれやれ、殿も奇天烈な正室を娶られたものだ。) -------追記---17.10.5 今年の正倉院展の宣伝を見ました。すると、今回の公開の目玉の一つに紫檀の碁盤と象牙の碁石が。 http://osaka.yomiuri.co.jp/shosoin/shuten/index.htm じつはこの碁石のことが、この「退屈姫君恋に燃える」に出てきます。 このお話では、将棋の駒が大問題になるのですが、将棋の家元の話とともに、ちらっとですが碁の話も出てきました。 本因坊算砂に家康が撥鏤棊子(ばちるいのきし)という2色の碁石を渡したのですが、これは実は織田信長が、正倉院から持ち出した碁石、2色の石をふたつずつ家康に与えたものだという話がでてきます。 信長が正倉院から蘭奢待(らんじゃたい)を切り取ったという話は有名ですが、碁石までは知りませんでした。(本当なのでしょうか?)この本の参考文献を見ると、「昭和57年正倉院目録」とありますから、たぶん昭和57年に展示された品なのだと思います。今年、展示されると知って書いたのか、単なる偶然なのか。なんとなく、見てみたい気がするのですが、奈良は遠い。 ちなみに今年の正倉院展は10月29日から11月14日までだそうです。 関連ページ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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