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カテゴリ:歴史
QEDシリーズ11弾、p241以降は袋とじになっています。 舞台は前巻「QED~ventus~熊野の残照」の続きで、まだ熊野です。 前巻の発売が昨年の夏ということで、細かい登場人物の名前とかはだいぶ記憶があいまいだったのですが、それはそれでよかったのかなと思います。 「熊野の残照」は、あいかわらず薬剤師会の旅行が舞台ということなのですが、ここに初めて参加した神山禮子さんの視点から始まりました。そしてこの旅行で、QEDシリーズの主人公たち棚旗奈々と桑原崇に会うということになりました。QEDシリーズは、推理小説といいながらも、実際の事件よりも歴史異説モノというか、変人?の桑原崇の歴史や神社などのうんちくがおもしろいのですが、「熊野の残照」では現実の事件が起こらないので、なんか過去の謎解き(といっていいのかどうか)だけで、ちょっと推理部分少ないんじゃないですか・・・といった感じでした。 今回は「熊野の残照」で参加していた学校薬剤師会の旅行から、奈々と崇、そして神山禮子さんも残り、そして奈々の妹の沙織、崇の悪友である小松崎良平がなにやら事件を追ってきたということで合流し、まさに「事件」と歴史の二本立てになります。おまけに今回は、崇一人が説明役ではしゃべりすぎると思ったのか、禮子の幼なじみの「変人」御名形史紋という人物まで登場してきました。 あいかわらず現実の事件の方のウエイトはいまいち低い感じです。謎解きもいろいろやるのだけれども、根本的な動機がいまいちよくわからない。まあ、殺人者の論理は一般人にはわからないと言ってしまえばそうかもしれないんですけれども、前巻の時代錯誤の風習もそうですけど、何か歴史に取り憑かれたような感じです。 今回初めて、最後の謎解き部分が袋とじになっています。いままでにもいろいろな推理小説で作者からの挑戦という感じで、すべて材料は出した、さあ、読者も謎解きをしてくださいっというのはあったのだけれども、ここでは袋の表に、そうではないと書いてあります。 (袋とじのページの表) これは決して「読者への挑戦状」ではありません。 ただぱらぱらと何気なくページを捲ってしまうと、本書の核となるテーマが一目瞭然となってしまうため、単に読者の方(あなた)と私、お互いの幸せのためにそれを防ごうと」いうだけの趣向です。(以下略) 読み終わってみると、まさに作者の書いてあるとおりなのですが、見る前にはわかりませんでした(^^;)たしかに、つい捲ってしまうと一目瞭然です・・・ しかし歴史異説モノとしての謎解き部分についていえば、わかったようなわからないような。たまたまうまくあっている部分のみを使っているだけなんじゃないかという気もしてなりません。 今回は三種の神器がテーマということで、剣関係の神社というので、熱田神宮の他に香取神宮・鹿島神宮の位置が出てきます。 古代の測量技術ってどうだったんだろう。それともそれは天文学の分野なんだろうか。家康が鷹狩りのために千葉県船橋市から東金の狩り場まで一直線に作らせたという通称、御成街道は、今は一部しか残っていませんが道路地図を見ると異様なぐらいまっすぐです。もっともこれは江戸初期ですけれども。なんか、ストーリー以外の部分で当分遊べそうな?内容です。 p198 「鈴木梅太郎さんは、東京帝国大学教授ではあったけど、農学博士だったのよ。だから医学界からは、全く相手にされなかった。というよりも、むしろ排斥されてしまった」 (中略) 「しかし当時は『帝国大学医学部』という肩書きがないと、医学界には存在していないに等しかったわけだからね」 その人間の一切を認めない。つまり、 見えないーーーというわけだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.03.06 23:23:13
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