【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

近代日本文学史メジャーのマイナー

近代日本文学史メジャーのマイナー

Calendar

Archives

Recent Posts

Freepage List

Category

Profile

analog純文

analog純文

全て | カテゴリ未分類 | 明治期・反自然漱石 | 大正期・白樺派 | 明治期・写実主義 | 昭和期・歴史小説 | 平成期・平成期作家 | 昭和期・後半男性 | 昭和期・一次戦後派 | 昭和期・三十年男性 | 昭和期・プロ文学 | 大正期・私小説 | 明治期・耽美主義 | 明治期・明治末期 | 昭和期・内向の世代 | 昭和期・昭和十年代 | 明治期・浪漫主義 | 昭和期・第三の新人 | 大正期・大正期全般 | 昭和期・新感覚派 | 昭和~・評論家 | 昭和期・新戯作派 | 昭和期・二次戦後派 | 昭和期・三十年女性 | 昭和期・後半女性 | 昭和期・中間小説 | 昭和期・新興芸術派 | 昭和期・新心理主義 | 明治期・自然主義 | 昭和期・転向文学 | 昭和期・他の芸術派 | 明治~・詩歌俳人 | 明治期・反自然鴎外 | 明治~・劇作家 | 大正期・新現実主義 | 明治期・開化過渡期 | 令和期・令和期作家
2009.07.23
XML
カテゴリ:明治期・写実主義

   『其面影』二葉亭四迷(岩波文庫)

 翻訳小説ではなく、二葉亭四迷が自分で書いた小説は(全集にのみ収録されているような短いのとか、習作めいたものを除いて考えますと)、たぶん三作じゃないかなと思うんですが、この度上記本を読んで、三つ全部読みました。

 で、読書直後の印象としては、うーん、混乱しています、私が。

 強烈な才能の存在を感じる(恐ろしいような、時代への「先見性」であります)一方、なぜこの強烈な才能が、超一流の文人を作り上げなかったのかという「混乱」です。

 最初に『浮雲』を読んだ時は(もう昔なので、たぶん細かいことを忘れてしまっているのだとは思いますが)、かなり面白い、面白いと思いながら読んで、あー面白かったと感心したと思います(ちょっと怪しいですね。だってあの作品は中絶ですから)。とにかく、好印象が残っています。

 次に『平凡』を読んだ時は、これはかなりびっくりしました。
 これは分量は少ないですが(『坊ちゃん』くらいの長さの本ですね)、本当に驚くばかりの斬新さを感じました。

 読みながら、いろんな作品や作者名がちらちらとしましたね。
 例えば、漱石は『坊ちゃん』や『こころ』、太宰治なら『道化の華』、そのほかにも筒井康隆なんかが得意としている「メタ・フィクション」系の小説も。

 特に漱石への影響関係は、これは定説として、何かきっちりした研究があることと思いますが、少しそういうのも知りたいですね。
 漱石が二葉亭について高い評価をしていたことは、何かで読んだような気がします。(鴎外もかなり褒めています。もっとも、あの時代に『浮雲』なんて「怪作」を書いたら、褒めないわけにはいきませんよねー。)
 しかし、漱石の諸作品については、それ以上の深い影響関係を感じます。

 とにかく、全然古びた感じがしません。特に文体。
 ただ、内容的には、作者自身が充分自覚しているように、途中で「うっちゃった」ようなところがあって、深みには欠けるものの(でもこの「ほっぽり出し方」こそが、二葉亭らしさではあるんですが)、文体だけで充分読ませるものがあると思いました。

 しかし、『平凡』の読後感は、今回『其面影』を読み終えた時のような混乱したものではありませんでした。
 あんまり混乱したもので、確か1.2年前くらいに読んだ下記の本を手にとって、思わず再読してしまいました。この本です。

 『二葉亭四迷の明治四十一年』関川夏央(文春文庫)

 この本は、かつてこのブログで報告した、同作者の『白樺たちの大正』に比べるとややボリュームに欠けます。ブルドーザーで強引に道を切り開いていくような「力業」は、あまり感じられません。

 それに、この本の「作り」として、二葉亭四迷は主人公ではありますが、章によっては「狂言回し」的にしか扱われていないところもあったりします。
 関川氏は、文芸評論ではないつもりでこの書を書かれたのだと思いますが、はしなくも、文学とのこの距離のはかり方は、影響を受けてか否か、二葉亭にとてもよく似ていますね。
 二葉亭も、関川氏も、ともに文学に対して、嫌いとは言い過ぎにしても、一線を引いています。(関川氏は株の話がお好きだそうです。)
 
 さて今回も、関川氏の優れた導きをいただきながら、あれこれ考えてみたいと思いますが、キーワードは、「混乱」です。

 何がキーワードは「混乱」なのかとお思いかもしれませんが、そこがそれ、大いに混乱している由縁ですね。はは。
 
 でも、ちょっとずつまとめていってみます。まず、

 (1)作者の混乱    (2)作品の混乱

 ということで、以下、次回に。


/font>

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.07.23 06:19:21
コメント(0) | コメントを書く
[明治期・写実主義] カテゴリの最新記事


PR

Favorite Blog

徘徊日記 2024年10… New! シマクマ君さん

やっぱり読書 おい… ばあチャルさん

Comments

analog純文@ Re[1]:父親という苦悩(06/04)  七詩さん、コメントありがとうございま…
七詩@ Re:父親という苦悩(06/04) 親子二代の小説家父子というのは思いつき…
analog純文@ Re:方丈記にあまり触れない方丈記(03/03)  おや、今猿人さん、ご無沙汰しています…
今猿人@ Re:方丈記にあまり触れない方丈記(03/03) この件は、私よく覚えておりますよ。何故…

© Rakuten Group, Inc.