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2009.08.01
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カテゴリ:昭和期・歴史小説

   『菜の花の沖』全六巻・司馬遼太郎(文春文庫)

 前回の続きであります。
 この本は、今年の始めの頃、ブックオフで6冊バラで、みんな105円で売っていたので買いました。105円本は、巻数の多い作品は抜けていることが多いんですが、これは珍しくバラで全巻あったので買いました。

 しかし、うーん、小声で言いますが、かつて読んだ『坂の上の雲』より、おもしろくないですね。

 昔『龍馬が行く』を読んでいて、四巻目でケツを割ったんですが、それに似たおもしろなさ、というか、ちょっと説教臭いんですよねー。
 実にいろんな事を、教えてくださいます。

 でもまぁそれは、一概にイヤな事、というわけではないんです。
 しかし、例えば前半が終わったところで説かれた作者の蘊蓄を、覚えているまま並べてみますね。

   ・商業論(交易論)
   ・回船の歴史とシステム(船舶論と航海論)
   ・兵庫県西宮ならびに「灘五郷」の歴史
   ・北海道開拓史
   ・そしてお得意の、組織論


といったところですか、ね。
 なるほど、ちょっとお教えいただきすぎー、という感は否めませんね。

 ただ、今回の「組織論」のなかに「いじめ」について触れられてありましたが、これはちょっと面白かったです。

 作者は、「いじめ」を日本の社会・風土すべてに見られるものとし、かつ「漢字」にはこの「いじめ」のニュアンスを持つ言葉がないと説いて、日本固有か、それに近いもの(もちろん程度の弱い・小さいものは世界中にあるでしょうが)と捉えています。
 なかなか面白い視点ですが、どうでしょうか。

 作者の存命中は、現在では猖獗を究める如き「いじめ」現象は、とりあえずあまり表面化していなかったのかも知れませんね。
 しかし、もし今も司馬氏がご存命で、より根が深くなった「いじめ」現象を御覧になったら、また異なった見解をお持ちになるかも知れません。

 ともあれ、ちょっと蘊蓄しすぎー、であります。

 これも昔、私は、ハーマン・メルヴィル著の『白鯨』(新潮文庫で上下二冊、六〇〇ページずつくらいあったやつ)を、「上」が終わったところでケツ割りしましたが(しかし私もたいがい多くの本をケツ割りしてますなー)、あの本も捕鯨論とかなんとかかんとか、やたら蘊蓄が多かったですねー。

 そんなことを思い出しながら、私は第三巻あたりまでを読んでいました。ちょっと嫌な予感を抱きつつ。

 そして、次の巻に入りました。
 私のイヤーな予感は、まさに的中せんとしていました。
 ますます司馬氏の筆は冴え、作者の「御講義」は甚だしくなり、第四巻目は「北海道開拓史」一本槍。
 しかしこれは、どう考えても必要以上に多すぎると思うんですがー。
 これって、小説の範囲を逸脱してはいませんでしょうかー。

 続く第五巻を私は、ちょっと「辟易」しながら読んでおりましたが、この巻はあっぱれ「ロシア史」の巻であります。
 
 高田屋嘉兵衛なんてどこ行ってしまったのか、全く出てきませんよ。
 うーん、どんなモンなんでしょうね、この本。

 ところが、そうは言っても、さすがに「国民的作家」司馬遼太郎であります。

 第五巻も強烈に蘊蓄傾け展開でありまして、それは今まで以上に徹底しており、ほとんど高田屋嘉兵衛が出てこないという異例の展開でありました。本当。

 しかし、その部分から、第六巻にかけて、いよいよ嘉兵衛がロシアに拉致される端緒に入る切っ掛けあたりの書き方は、さすがに上手でしたねー。

 長い長いロシア史「蘊蓄」が終わって、さて嘉兵衛が次に物語の前面に出てくる時、いきなり十歳、嘉兵衛は年を取っているんですね。
 このジャンプの仕方はうまいなと思いましたね。

 ただこれ以降の、クライマックスの部分については、やや薄味であったように思います。
 そもそも、そんなに連続的に劇的展開をさせるわけにいかない素材であったからでしょうかね。
 まぁもちろん、これも一概にそんなに悪いものとは言い切れませんが。

 ともあれ、全六巻読み終わりましたが、正直な話、ちょっと長すぎましたね。
 どうでしょう、僭越ながら、2/3くらいの長さで、いけたんじゃないでしょうか。

 以上、そんな感想でした。


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Last updated  2009.08.01 06:23:53
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