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2009.08.07
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  『裏声で歌へ君が代』丸谷才一(新潮文庫)

 この本は再読です。すでに一度、単行本が出た時にさっそく買って読みました。
 この作家の小説はわりと好きで(エッセイもとても高名ですね)、私の中では、新作が出たら結構リアルタイムに読む作家でありました。

 で、今回再読したのは、古本屋で(珍しくブックオフにあらず)100円で売っていたのでつい買ったんですね、単行本があるのに。

 ちょっと話題が飛んじゃうんですが(まーいつものことですがー)、時々私はこういう事をします。理由は二つあります。

  (1)これをきっかけに再読するため。
  (2)本を置くところがないもので、大きい方の単行本をこの際処分するため。

 ところが、今回はその目論見が半分失敗しました。

 再読はしたものの、単行本を処分しようとして本棚から取り出すと、箱に書かれている(この本は、例の「新潮社純文学書下ろし特別作品」シリーズです。箱入りです。)作者の言葉、これが名文なんですねー。「蝶の嫌いな男は蝶類図鑑は編まない」という比喩を用いた「絶品の随筆」であります。
 思い出しましたが、僕はこの「作者の言葉」にもふらふら釣られて買ったんでした。
 で、単行本は、よう処分してません。はい。

 というわけで、ひさしぶりに再読をしました。
 前回読んだ時は大ざっぱにこんなふたつの感想を持ったように記憶しています。

  (1)推理小説を思わせるスリリングな展開である。
  (2)風俗小説の王道を行くような堂々とした作品作りである。

 ところが今回読んで、両者とも、なるほどその通りとは思いますが、そこにもう一つ大きな「感動」がなかったような気がするのはなぜ? と。

 これは何でしょうかね。考えられることは、

  (1)私の、加齢を主な原因とする感受性の摩滅。
  (2)私の、鑑賞力向上よりくる作品の評価の低下。
 
 まー、(1)でしょうがねー。
 (2)っていうのは、早い話が、元々たいした作品じゃなかったのに、昔はその事が見破れなくて高い評価をしていたってことですよね。
 これって、すっごい傲慢ですねー。やはり(2)は無いですね。

 しかし、なんだかちょっと、思っていたより「贅沢さ・美味しさ」が感じられなかったという実感なんですけれどねー。
 最初に読んだ時は、「おいしいおいしい」って思いながら読んでいたような記憶があるんですけどねー。

 要するに、この本は「国家論」であります。(兵役拒否を描いた名作『笹まくら』などを挙げるまでもなく、「国家論」はこの作家の、おそらくは生涯のテーマです。)
 その国家論を重層的に描こうとする故に、いろんな所でいろんな登場人物が「討論」をします。この「討論」と、小説内世界のリアリティとのかねあいが、本作の一つのポイントですね。

 えー、上記にもありますように、私にとってこの作家はフェイバレットです。
 プロの物書きが、プロの「芸」を見せようと、彫心鏤骨しているさまがとても心地よいからです。

 ちょっと前の小説家は、こうして、真面目に「芸」を我々に見せてくれていたものであります。もちろん今でもそんな誠実な、「職人」のような小説家はいると思いますが、なんか、こー、時代のせいでしょうか、ちょっと拗ねてるというか、斜に構えているようなところがあるような気がしますね。

 もっとも、こんな「昔はよかった」みたいな感想を抱いてしまうのは、私の精神が老化しかかっているからかも知れませんが。

 ともあれ、今回読んで、ちょっと「論」が先行しすぎているような気が、特にしました。
 うーん、「再読の可否?」っていうのは、考えすぎですよねー。

 ついでに、丸谷氏の作品の中では『たった一人の反乱』が(今んところ)ベストではないか、と、まー、私は、そう思っています。
 よろしければお読み下さい。とっても面白いです。では。


よろしければ、こちら別館でお休み下さい。↓

俳句徒然自句自解+目指せ文化的週末

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Last updated  2009.08.07 08:15:43
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