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カテゴリ:明治期・写実主義
『当世書生気質』坪内逍遙(岩波文庫) 近代日本文学の生みの親ともいえる作品が、本作であります。 これは例えば、西洋音楽に模して考えてみれば、どうなりますかね。 やはり、バッハでしょうかね。 でも、本作は、実作としては、近代日本文学の生みの親とは、評価されていませんものねー。そんな評価をされているのは、なんと言っても、二葉亭四迷の『浮雲』ですよねー。 じゃあ、ヘンデル? バッハと同い年ながら(1685年生まれだそうです)、バッハの場合は「生誕300周年」とか言われるのに、「ヘンデル生誕300周年」とは、言われなかったんじゃないでしょうかね。 そんな、ちょっと「差別的」扱いを受けているヘンデルであります。 しかし、私の経験から申しましても、多分、ヘンデルの音楽は、バッハの音楽の20分の1くらいしか聴いていないと思われます。(もちろん偏向した私の音楽嗜好においてでありますがー。) でもそんなことって、一杯ありますもんねー。 今年は「太宰治生誕100周年」であります。 同時に「松本清張生誕100周年」は、まぁ、言われますね、時々。 でも、「大岡昇平生誕100周年」は、ちょっと聞かないですよね。 そんなことないですか? さてとにかく、近代文学の生みの親である坪内逍遙の小説であります。 ちょっとこの辺の事情を、高校生用日本文学史教科書で見てみますと、こんな風なまとめになります。 坪内逍遙………『小説神髄』……『当世書生気質』 二葉亭四迷……『小説総論』……『浮雲』 左から、作者・評論・小説実践作と、なりますね。 我が家には、以前にも紹介致しました筑摩書房『現代日本文学大系』98冊という、「本棚の肥やし」がありますが(またこの「肥やし」が場所ふさぎなんですー)、その第一巻を取り出してみますと、ありました、『小説神髄』。 この巻は「政治小説・坪内逍遙・二葉亭四迷集」となっております。 あ、ありました、『小説総論』。 で、ぱらぱらと覗いてみて、初めて気がつきましたが、両者は、ぜーんぜんちがいます。 何が違うかというと、ボリュウムが、です。 『神髄』のほうは、おそらく文庫本にすれば、150ページくらいの長編評論です。 一方、『総論』のほうは、文庫本でも10ページくらいでしょう。 まず、「量」で見る限り、両者は全く別もんです。 ついでながら、私は我が高校時代をふと思い出したんですが、教科書の記述って、こんな不親切なところがあるんですよねー。 上述のように並べられると、このふたつは、質・量共に、相似形かと思うじゃないですか。「質」はともかく「量」で見た場合、現物に当たって初めて、全然別物だと分かるんですよねー。 実に不親切です。だから僕の高校時代の成績が悪かったんです。(ちがうちがうー。) で、「質」ですが、『総論』の方は読んでみました、頑張って。 「頑張って」というのは、この文章が極めて読みづらい「擬古文」であるからです。 ほとんどよくわかりませんでしたが、頑張って「音読」をして、読み通しました。 内容はというと、うーん、今となっては大したことは書かれていません。 たぶん、小説には「テーマ」があって、「テーマ」に従って「写実」することが大切だと言うことが書いてありました(たぶん)。なるほど、尤もですね。 一方、『総論』は、パス。 こんな擬古文の評論文の150ページは、ムリ。また、いつか。 その代わり、実践作を以て逍遥氏の文学理論を学ぼうと、これもほぼ擬古文ながら、「それでもまぁ小説だから」と、半分ビビリながらも読み始めたのでありました。 そして、やっと読み終えました。 「擬古文」かつ文庫本290ページということで、気合いを入れて読み始めましたが、確かにその気合いの必要な部分もありましたが、多くはさほど大変な読書でもありませんでした。 だって、評論と違って小説は「世態風俗」を描くものですから。 では、その報告ですが、次回に続きます。 よろしければ、こちら別館でお休み下さい。↓ 俳句徒然自句自解+目指せ文化的週末 /font> にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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