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2010.01.21
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  『重き流れの中に』椎名麟三(新潮文庫)

 椎名麟三といえば、一つ思い出すエピソードがあるんですが、確か、……えっと、ありました。ごそごそと本棚を探したら見つかりました。これです。

   『ユリイカ』1976年3月号

 えらいもんですねー。もう、30年以上も前ですか。
 実はこの号は安部公房の特集をしているんですが(やはりそんな頃でしたでしょうか、安部公房にかなりはまり込みまして、目に付いた関係書籍を集めたことがありました)、その中の、岡本太郎が書いた短い目のエッセイに書いてありました。

 第二次世界大戦後の、文学史的に言いますと「第一次、第二次戦後派作家」連中になるんでしょうが、文学の一派だけでなく、広く新しい芸術を作っていこうという若者達が集まって、まー、あーでもないこーでもないと語りつつ、酔っぱらうんですね。
 たぶんこういうのって、時代を超えてあるものですよねー。きっと今でも。

 とにかくそんな或る夜の、(酔っぱらいの)集まりで、岡本太郎が、そこにいる連中の名前を片っ端からもじって、あだ名を付けました。いわく、

  花田清輝--ハナハダ・キドッテル
  埴谷雄高--ナニヲ・イウタカ
  野間宏---ノロマ・ヒドシ
  安部公房--アベ・コベ
 そして、椎名麟三--スルナ・ビンボー

 みんな大爆笑になったとありますが、うーん、岡本太郎氏、なかなかのユーモア・センスと、反射神経じゃないですか。いかにもそんな「感じ」でありますねー。
 もうお亡くなりになって久しい岡本氏ですが、ご存命中、何でしたか、ウィスキーのコマーシャルに出演して、「あほみたい」なことをおっしゃっていた方と同一人物とは、とても思えないような言語感覚であります。
 わたくし、感心いたしました。
 (出典は上記本中の、岡本太郎「アヴァンギャルド黎明期」)

 さて、今回の報告小説の筆者、椎名麟三でありますが、この文章を読んだからだけではないでしょうが、僕にとって椎名氏のイメージは、終戦後の全国民が貧しい時代に、やたらと貧しく暗くそして誠実な作品を書いた作家、という固定的なものができておりました。

 それともう一つ、何故か、ドストエフスキー。
 これはきっと又、何か別の本を読んでの知識でしょうね。実際椎名麟三はドストエフスキーから強く影響を受け、そして、日本文学にドストエフスキー的作品を持ち込んだ「鼻祖」のような側面もありますから。

 ともあれ、「当たらずとはいえ遠からず」の先入観でしたが、ひとつ、とっても大切なことを知らなかったことに、今回、初めて椎名麟三を読んでわかりました。

 とっても大切なこと、それは、(少なくとも今回読んだ小説について言えば)とってもとっても面白い小説をお書きになる方だということであります。

 上記のように、終戦直後の何にもないくらーい時代の小説ですよ。
 少し前に、野間宏の短編を読みましたが、やはりそんなくらーい時代の社会風俗の小説でした。
 それに輪をかけるように、「スルナ・ビンボー」なんですから。
 ちょっと考えただけで、「暗い・重い・おもんない」の三段跳びだと思うじゃありませんか。

 ところが、これが違ったんですねー。
 いえ、全く違っていたわけではありません。「暗い・重い」は合ってます。違っていたのはその次。つまり、こんな感じでした。

  「暗い・重い・面白い」

 実は、僕は今少し亢奮しています。
 とっても面白い小説に出会ったからです。とにかくまず面白い、と掛け値無しに言える小説、それが今回の椎名麟三の冒頭の小説、もう少し厳密に言えば、短編が三つ入っている小説集の、その三つ目、であったわけですが、詳しくは次回に。


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Last updated  2010.01.21 06:34:38
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