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2010.01.26
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カテゴリ:明治期・浪漫主義

  『にごりえ・たけくらべ』樋口一葉(新潮文庫)

 わたくし話ですみませんが(と言っても、このブログ総てがわたくし話ではあるんですが)、かつて、僕はこんな俳句を作りました。

    なつならば許しなされよ漱石忌

 僕としては、わりと気に入った俳句なんですがねー、誰も褒めてくださいませんでした。
 簡単に「自句自解」しておきますと、確か2004年の秋だったと思うんですが、お札の肖像画が変わりましたね。
 それまでは、

  1000円→夏目漱石・5000円→新渡戸稲造・10000円→福沢諭吉

 と。これが、このように変わりました。

  1000円→野口英世・5000円→樋口一葉・10000円→変更無し

 で、現在に至る、と。
 僕は漱石の大ファンなんで、大いに「腹が立った」ですね。
 (しかし、確か、漱石がお札になると決まったときにも、僕は、何で漱石がお札の顔やねん、と腹を立てたような気がするようなしないような……。)

 とにかく、漱石肖像画が「お払い箱」になるときに、まー実際の話としては、ちょっと寂しかったんですね。で、そんな気持ちを持ちつつふと隣を見ると(「隣」って何かな)、
一葉が新たにルーキーとして抜擢されているではありませんか。

 そこで考えました。
 まー、この交代ならしかたがないか、と。許してあげようか、と。
 (更に我が希望を申し述べるなら、漱石の後釜が一葉ならもっと良かったんですが。)

 というのが「自句自解」なんですが、よろしいでしょうか。
 ついでに、言わずもがなのことですが、一葉の本名は、「なつ」「奈津」「夏子」、このあたりの表記を、本人はしていたようですね。

 ところで、お札の肖像画になぜ樋口一葉が選ばれたんでしょうか。
 僕はここに、ヒジョーに「政治的」なニオイを、密かに感じますんですけどね。

 お札の肖像画を考えるとき、政府はね、きっと、時代的なこともあるし、とりあえず女性を一名入れようと考えたんだと思います。
 今まで女性の肖像画は、確か昔に、「昭憲皇太后」があったと聞きますが、もちろん私は知りません。2000円札は紫式部だったですが、どういうルールなのか知らないんですが、あれは肖像画の扱いではないそうですね。

 どうせ誰かを選ばねばならないなら、女性からの人気取りにもなるし、特に女性肖像画だからと言って、費用が割り増しになるわけでもなかろう、と。

 ところが、いざ具体的な人選の段階で、はたと困るわけです。
 相応しい女性が、いない、と。

 いえ、僕が女性差別的発言をしているわけではありません。
 個人の資質としては、充分に相応しい女性は、星の数ほどにもいらっしゃったでしょうが、かつての日本の国家機構が、構造的に「致命的に」女性差別的であったため、少なくとも万人が納得できるような著名な女性が、見つからなかったと言うことでしょう。

 これはとりあえず文化畑からかな、という方針も、早い時期に出ただろうと思います。でも文化畑と言っても、実際は「文学系」しかないでしょう。
 文学系を外すとすれば、次はもう、「美空ひばり」しかいないと思いますよ。
 でも美空ひばりはいくら何でも、長い日本歴史の中では、リアル・タイムすぎるでしょう。
 (あと50年くらい経ったらその可能性は大いにあると、僕は考えるんですが。)

 で、更に具体的な人選。
 文学系で、紫式部というカードはもう切ってしまったとすれば次は……。
 僕は、第一候補として挙がったのは、本当は「晶子」じゃなかったかと思います。
  与謝野晶子
 だって樋口一葉より遙かに「メジャー」じゃないですか。

 しかしねー、晶子はねー、『君死に給ふことなかれ』なんて「けしからん反戦詩」を書いてますしねー。ちょっと前の選挙の時に、野党の女性党首が晶子を同志のごとくに祭り上げていたしなー。
 そういえば、「毀誉褒貶」喧しい平塚雷鳥の「青鞜社」の運動にも一枚かんでいたようだしなー。わし、嫌いなのよねー、あのふぇみにずなんちゃらかんちゃら、っちゅうの。
 もっとこのー、「政治色」のない女流はいないのかね、君ー。
 あるいは、自○党よりの女流は、ああーん?

 なんて話しになったときに、極貧の中、わずか二十五歳で夭折、「政治的発言」などする術も時間もなかった我らが一葉が、「人身御供」のように選ばれたのではなかったか、と。

 ……と、まぁここまでが僕の妄想なんですがね。
 えーっと、冒頭の作品に見事に一字たりとも触れていませんなー。ははは。
 では、次回に。


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Last updated  2010.01.26 06:24:45
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七詩@ Re:父親という苦悩(06/04) 親子二代の小説家父子というのは思いつき…
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