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2010.08.18
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  『第七官界彷徨』尾崎翠(河出文庫)

 けれど三五郎のピアノは何と哀しい音をたてるのであろう。年とったピアノは半音ばかりでできたような影のうすい歌をうたい、丁度粘土のスタンドのあかりで詩をかいている私の哀感をそそった。そのとき二助の部屋からながれてくる淡いこやしの臭いは、ピアノの哀しさをひとしお哀しくした。そして音楽と臭気とは私に思わせた。第七官というのは、二つ以上の感覚がかさなってよびおこすこの哀感ではないか。そして私は哀感をこめた詩をかいたのである。

 フェイヴァレットでは、取り敢えず、ありません。
 というか、それがフェイヴァレットであるかが分かるほど読んでいません。
 しかし、それでいて、何となく気になる作家というのが、ありませんか。

 私にとって尾崎翠とは、そんな気のする作家でした。そして、かなり以前より、もう少ししっかり読まねばならないと思いつつ、それでいてずるずると何となく読み切れないで今日に至りました。

 その間、「やはり」というか、「思いがけなく」というか、尾崎翠の作品は、極々限られた本当のマイナーなマニア間に於ける高評価から、もう少し、それこそ「メジャーのマイナー」くらいの層での高評価に代わっていました。

 そんな、「日本文学はこの一作でいい」とか、「少女漫画の原型」とか、色々いわれ出した尾崎翠でありますが、さて、冒頭に少しだけ抜き出してみましたが、たったこれだけからでも、筆者の独創性や優れた特質が読みとれそうな気がします。
 丁寧な分かり易い優しい表現の中に、以下に挙げるような特徴が読みとれると思います。

 (1)ユーモアに対する指向。
 (2)ナンセンスに対する指向。
 そして、引用部分からだけではありませんが、
 (3)「第七官界」「蘚の恋」などというオリジナリティーの高い着想。

 なるほどこうして挙げてみれば、「少女漫画の原型」という批評は、あながち分からないでもない気がしますね。(少女漫画とナンセンス指向の間にはやや疑問符が付きそうですが。)

 と、今、述べましたが、少女漫画についての私の知識は、実は約三十年前に止まったままであります。
 そんな意味で言いますと、少女漫画との類似を語る資格なんかないとは、自分でも思いますが、ただ、約三十年前は、かなりリアルタイムでいろんな少女漫画を読みました。

 そして、三十年前の少女漫画界にどのような漫画家がいたかといえば、それは、例えば萩尾望都であり大島弓子であり竹宮恵子でありといった、たぶん現在の少女漫画文化の黎明期に於ける、「少女漫画的感性」のそれこそ「原型」を作った方々ではなかったかと思います。

 そのように、少女漫画の鼻祖と考えても良いということについては、なるほど一定の納得をするとして、さて、文芸作品としての本小説であります。
 実はこうして書きながら、私はとても迷っているんですね。
 その迷いとは、例えばこんな感じのものです。例によってフェイヴァレット(それこそ「フェイヴァレット!」)の太宰作品で考えてみます。

 例えば太宰治の小説が、たった一つだけあって(一つではいくら何でも少なすぎますかね。まー、そんなイメージということで)、後ほとんどが無くなっても、その一つ残った小説だけを読んで、私はその作品に感心しあるいは好きになれるだろうか、という事です。
 
 もちろん作品にもよりますよねー。そんなに簡単には言い切れない。

  『愛と美について』

 この小説にします。これは短編小説ですが、この作品だけを読んで、私は筆者の太宰治を好きになれるか、という課題にします。

 ……なんか、好きになれそうな気がします。
 あれこれ言い出すと色々言えそうですが、潔く、私は好きになれそうな気がしますと、まー、(やや迷いつつ)断言します。

 さて、なぜここで『愛と美について』を取りあげたかと言いますと、もちろん私が、今回の『第七官界彷徨』に近いものを、この作品に感じたからでありますが、以下、次回に続きます。


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Last updated  2010.08.18 08:53:31
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