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2010.08.28
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カテゴリ:明治期・浪漫主義

  『風流仏・一口剣』幸田露伴(岩波文庫)

 あれこれぐちゃぐちゃと本を読んでいますと、頭の中に文章の断片みたいなものが、始終ちらちら浮かんできて、ところがそれがどうも確実性のある情報じゃないのが良くありません。

 誰々が確かこんな事を書いていた、といったフレーズの「枕詞」がつくんですが、信憑性に欠けること甚だしく、困ったものですなー。

 という端から、こんな言葉がふと浮かんだりします。
 読書というのは、いわば人の頭で考えているものを教わることだから、沢山読めばいいというものでもないのだ。
 ……と言ったのは、確かー、えーと、ショウペンハウエル?

 まさに言われるそのままの「自分では考えない状態」になっているような気がします。
 やれやれ、全く困ったことです。

 これも以前読んだ本、確か三島由紀夫が書いていたように思うのですが、こんな内容でした。
 小説家を尊敬する人がいる。
 誰が誰をどんな理由で尊敬するかは全く個人の自由であるから、それについてはまるで問題はないが、小説家が知識人であるから尊敬するというのならば間違っている。小説家が持っている知識は、汎用性の低い職業的な知識であるから、例えば魚屋が魚についての知識を多く持っているのと、何等変わるところはない。
 ただ、歴史を振り返ってみれば、小説家がいわゆる知識人と重なって存在し得た時代があったことも確かである。

 と、まー、こんな内容であったと、私は記憶しておるんですが。
 そして、小説家が知識人と重なって存在し得た時代として、明治時代の日本近代小説の黎明期を挙げ、具体的な作家としては、確か、幸田露伴が挙がっていたように覚えています。(たぶん。)
 なるほど、さもありなんと、思いました。

 今回、少し幸田露伴について調べてみたのですが、露伴は昭和12年に第一回文化勲章を受章しているんですね。そしてその祝賀会の席上で、こんな主旨の挨拶をします。

 文学は科学とは別で、国家に厚遇されるよりもむしろ虐待されるところに優れたものが生まれる。

 私の読んだ幸田露伴の解説文は稲垣達郎の文章ですが、さらにこう書かれています。

 文学の本領をついてあますところなく、真正文学者の面目躍如というべきであろう。

 こんな文章を読んでしまうと、単純な私は、もーそれだけで文学者幸田露伴を全面的に信頼! という感じになってしまうのですが、さて、冒頭の今回の二つの短編小説であります。

 日本文学史高校教科書副読本などでは、幸田露伴の小説としてまず挙がるのが『五重塔』です。そして、それに続く作品として、この『風流仏』が挙げられるようです。
 そして『一口剣』については、『露団々』ならんで、いわば「第3位」に挙げられることがあるようですね。

 なるほど『一口剣』、みごとに作品が真ん中で別れ別れになっています。
 しかし、実に見事に割れていますねー。昔はこんなの「あり」だったんですかねー。
 前半に出てくる「お蘭」という女房はなかなかよく書けていたんですが、今となっては作品の破綻と思えるような展開で消えていきます。
 そして後半、代わりに描かれるのが、『五重塔』『風流仏』的世界であります。

 『風流仏』は『五重塔』の次に評価されていそうで、なるほど私が読んでもそのランキングは客観的な気がします。
 筆者は、本作においても「露伴的刻苦勉励奮闘努力理想主義」的世界を十二分に描いています。時代の要請だったのかも知れません。

 しかし今読んで、なんと言っても圧倒的なのは、その文章力でありましょう。
 思うに、明治の初年(『風流仏』明治22年)とはいえど、やはり傑出していたんでしょうね。「天才・露伴」と評判があったと聞きます。
 なるほど、これが三島由紀夫の曰く、小説家と知識人との蜜月的合一なのかと、私は大いに納得したのでありました。


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Last updated  2010.08.28 09:43:56
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