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カテゴリ:昭和期・昭和十年代
『人生劇場・青春篇・上下』尾崎士郎(新潮文庫) 冒頭小説読書報告の後半であります。 前回には、「吉良の仁吉」はどんな男でござったか、ということが書いてあります。 (いえ、嘘です。本当は書いてありません。「吉良の仁吉」についてネットで調べた知識を書こうと思ったのですが、私が勝手にまとめて書くよりも、それぞれの方が直接お調べになった方が、それについて書かれたホームページの閲覧数も上がり、よいのではなかろーか、と思った次第です。) ということで、本小説は「教養小説」であります。(「教養小説」については、前回確かに少し触れておきました。) 西洋文学あたりにはけっこう「教養小説」ってありそうなんですが、本邦においてはどうなんでしょうか。 まず頭に浮かぶのが、……えー、えーっと、……なかなか頭に浮かびません。 井上靖『あすなろ物語』。 下村湖人『路傍の石』。 案外思い浮かばないものでありますねー。 思い出しつつ、わたくし、思ったのですが、日本文学の場合、いわゆる歴史小説ってのがそのジャンルをカバーしているのではないですかね。 例えば山岡荘八『徳川家康』とか。 そんな風に考えますと、吉川英治の『宮本武蔵』とか、中里介山の大物小説『大菩薩峠』なんかは、教養小説として指を折るに相応しい作品という感じがします。 そしてもう一つ思ったのですが、前回の報告においてもちらっと触れたのですが、本場ドイツやヨーロッパの教養小説、それに上記の『宮本武蔵』や『大菩薩峠』など、やたらと長いんですよね、これが。 だから、日本に教養小説が今ひとつ根付いていないというよりも、出版事情の関係でかつて日本では長編小説が市場に乗らなかったせいという感じがします。 あと、「純文学畑」で考えるのなら、島崎藤村の一連の作品、『桜の実の熟する時』→『春』→『家』→『新生』という流れは、セットで「教養小説」と考え得るんじゃないかという気がするんですが、こういった形のものはダメなんでしょうかね。 あ、忘れていました。 『源氏物語』は「ビルドゥングス・ロマン」になるんでしょうか。 あれがありなら、『好色一代男』もありな気もするんですが。 でも、近代小説ではありませんものね。あまり作品を遡って考えてもいけないと思います。 と、あれこれ本邦の教養小説を考えてみたのですが、実は、一番先に私の頭に浮かんだ「教養小説」は、今までわざと挙げていません。二番目に浮かんだ作品も挙げていません。 なぜかと言いますとこんな事なんですね。 まず、二番目に浮かんだ「教養小説」は五木寛之の『青春の門』であります。 というより、この『青春の門』は筆者自身が言っているように『人生劇場』に強くインスパイヤーされて書かれた作品であります。 だから、まー、教養小説として挙がると言えば挙がるものの………、という感じであります。 ついでながら、この『青春の門』についても、私は確か最初の『筑豊編』は読みましたが次の『青春編』でケツ割りしました。 そして、私が本邦の「教養小説」として、一番に頭に思い浮かべたのは阿佐田哲也の『麻雀放浪記』だったんですね。 この小説は面白かったです、とっても。 ただ、『青春の門』にしても『麻雀放浪記』にしても、なぜ私は素直に挙げなかったかと言いますと、今回の本作『人生劇場』についても同様の感想を持ったんですが、ここまで挙げてしまうと、小説である必然性はほとんどなくなってしまうんじゃないか、という疑問ゆえであります。 つまり、本作についての私の正直な感想ですが、本作は青春期のセンチメンタリズムを刺激するようなストーリーと描写を含みつつ面白く読み進めはするのですが、本当に感心してしまうというところは少なかったのではないか、と。 いえ、感心しないというのではなく、感心するのは、ストーリーテラーとしての筆者の作劇能力でありますが、しかし、このレベルの作劇能力ならば、小説以外のジャンル、例えば漫画作品においては、同程度、更に優れたレベルの作品を数えることはおそらく容易であろう、と。 最後に、本作も「教養小説」の前例に漏れず大長編小説で、今回の「青春篇」は、まだ話が始まったばかりの所であります。この後十作近くの続編があるのですが、どうなんでしょう、「青春篇」だけでも一応読了したと言っていいんでしょうかね。 確か私は、『ドン・キホーテ』について、「正編」は読みましたが「続編」は読んでいません。それって、『ドン・キホーテ』を読んだと言えるんでしょうか。 「宇治十帖」を読まずに『源氏物語』を読んだとは、ひょっとしたら、言えないかも知れませんしね。 よろしければ、こちら別館でお休み下さい。↓ 俳句徒然自句自解+目指せ文化的週末 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.05.18 06:20:19
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