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2011.12.21
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  『舞姫・うたかたの記』森鴎外(岩波文庫)

 本文庫には五つの作品が入っています。この五つです。

  『舞姫』『うたかたの記』『文づかい』『そめちがへ』『ふた夜』

 前三つが、鴎外の「ドイツ土産三部作」といわれるやつですね。さすがに気合いが入っています。
 その次の『そめちがへ』というのは、ドイツ土産から七年ほどして、いきなり発表された作品ですが、こうしてまとめて読んでみると、なるほどちょっと感じが違います。
 前三作の格調の高さとロマンチシズムがほとんどなくって、ちょっと失礼な例えになるかも知れませんが(どちらに失礼なんでしょうかね)、尾崎紅葉の戯作みたいであります。とっても「江戸」っぽい。

 もっとも鴎外ほどの文学者ですから、西洋文学仕込みだけでなく、江戸文学の流れも十分に身につけていることは、当然考え得る範囲であります。また、私は誰の文章で読んだのだったか忘れてしまったのですが、鴎外のドイツ日記に、ドイツの小説を読んで、「ああ春水」と書いているところが結構たくさんある、と。

 「春水」ってのは、為永春水ですね。
 『春色梅児誉美』などが有名な、近世の人情本作者であります。また天保の改革で、人情本の内容が淫らであるとして、手鎖五十日の刑を受けたという、ちょっと気の毒な方でもありますね。(それがショックでお亡くなりになったということですから。)

 鴎外は、ドイツの小説を読んだ時に、「なんだ、この話はまるで我が国の春水のようじゃないか」と思ってこの言葉を書いたんですね。この一言には、鴎外の、西洋文学に対して江戸文学を誇らかに思う気持ちが現れているようで、なかなか心温まる一言であります。
 またそれほどに、鴎外は江戸文学にも造詣が深かったわけです。

 と、思わぬ展開になってしまいましたが、そんな江戸戯作のような『そめちがへ』が入っております。そして最後の作品は、翻訳であります。
 鴎外の翻訳といえば、これはまた昔より「原作よりも素晴らしい」と言われ続けているものであります。有名なのは『即興詩人』でありましょうが、寡聞にも私は読んでいません。

 この『ふた夜』の原作者は、ハックレンデルという方でありまして、ちょうど同書の『舞姫』の中で、「されど詩人ハックレンデルが当世の奴隷といひし如く、はかなきは舞姫の身の上なり。」と書かれているこの方でありましょう。
 鴎外の翻訳といえば、私は昔『塔の上の鶏』というのを読んだことを憶えています。今でも結構内容を憶えていますが、なかなか印象的な上手な話でした。
 この短編については、太宰治も少し触れていたように思います。

 ところが、今回の『ふた夜』ですが、これがなんとも、ちょっと難しかったです。もう少し気合いを入れて読めばよかったのかも知れませんが、何となくずるずると読んで、朦朧なままに終わってしまいました。

 というわけで、私の感想の中心は「ドイツ土産三部作」になります。
 その中でも、興味の中心はやはり『舞姫』ですよねー。
 なぜかというと、最もストーリーがきちんと纏まっている気がするって事もありますが、やはり高校時代に国語の授業で習ったからでしょうねー。一番、すっすっと入っていくことができました。
 そう考えると、若き日の学校の勉強ってとっても大切ですよね。おそらく私は、この『舞姫』の内容を死ぬまで忘れないと思いますから。

 ところが、この度そんな感じでかなり懐かしがりながら『舞姫』を読んで、私がさぞ感心したかと言いますと、うーん、あまり感心しないんですねー。
 もちろん、忘れていたいろんなことを思い出して面白かったのですが、このストーリー自身は、すでに歴史的な役割を終えていますよねー。あたかも島崎藤村の『破戒』のように。

 ただ、疑問点として、私は特に気になったことが二つありました。
 そしてそれについて、ぼんやりとあれこれ考えていく内に、話はどんどん発展かつ妄想化していき、とうとう私の中に「もう一つの『舞姫』」ができあがるに至ってしまいました。次回、その話を少し書いてみたいと思います。


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Last updated  2011.12.21 06:29:58
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