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2015.11.08
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  『塩原多助一代記』三遊亭圓朝(岩波文庫)

 たぶん現在岩波文庫で手に入る三遊亭圓朝作品は、本作と『怪談牡丹燈籠』『真景累ケ淵』の三作だろうと思います。本ブログでもこれでなんとか三作の読書報告を揃えることができました。

 でも、わたくし思うのですが、怪談話の他の上記二作に比べますと、どーも何と言いますかー、本作はキックが足りないのではないか、と。

 そんなことを考えまして、そしてそもそも「塩原太助」(実在人物は「太助」だそうです。という人はどんな人なんだろーとネットでちょっと調べてみますと、江戸時代の群馬県の人で、群馬には記念館なんかがあって、地域の有名人ではありませんか。

 ああ、そおー、と思ったのは、「炭団」を作った人なんですってね。
 なるほどねー。

 つくづく考えてみますに、わたくしにはこういった一時代前の国民的文化教養が非常に欠落している、と。
 例えば「大星由良之助」とか「吉良の仁吉」とか、のちに知識として知りましたが、それは日本国民なら万人が知っているだろうという、国民的文化教養という感じの知り方じゃないんですね。

 でも、それはもちろん私のせいばかりではありません。
 こういった時代劇的人物は、一時代前の講談や芝居やかつての日本映画の中に広く生きていた人々で、その頃貧乏人の子せがれであった私は、そういった文化教養を受ける環境になかった、ということでありますね。

 それに第一改めて指摘するまでもなく、そんな一時代前の国民的文化教養が、現在何の役に立つのかと言いますと、んー、何の役にも立たない、としか答えられないからであります。(多分。もし役に立つとすれば、やはり歌舞伎界とか講談の世界で必要な知識としてでしょうか。)

 私それでふと考えるんですが、現代の「国民的文化教養」ってのは一体どういったものだろうと。どんなものだと思います? 何か思いつきますか?

 ……んー。あっ、あれっ!

 と思ったものが一つあるんですがね。
 それは、スタジオ・ジブリの特にトトロと魔女の宅急便じゃないでしょうか。
 現代における日本人の国民的文化教養といえば、これ以外にないのじゃないかなと思うのですが、いかがでしょう。(……んー、ひょっとしたらゴジラ、なんかもそうかしら。)

 というようなことを考えていましたらそれはそれでとっても楽しいんですが、本題の読書報告からどんどん離れっぱなしになりますので、ちょっと戻します。

 三遊亭圓朝の落語の口述筆記です。ほぼ完璧な言文一致体で、ちっとも難しくありません。
 このほぼ自由自在な口語文について、かつて私はなぜ明治の言文一致運動はこれを受けて発展していかなかったのかと(全く受けなかったわけではありませんね。二葉亭四迷はこれを参考にしています。)ずっと疑問に思っていましたが、中村光夫の文章に書かれてありました。

 明治の文学者は、これを文章(言文一致文体)と見ていなかったのだ、と。
 うーん、そんなことってあるんでしょうか、これもちょっと理解しにくい解釈ですよねー。
 しかし現代でも、例えばもしもきわめて現代的な重要な文学テーマが、一作の漫画の中に描かれていたとして、それを無抵抗に優れた文学作品とは、我々もなかなか認めないでしょうしねえ。
 そんな感じですかねー。(それとは大分違いますかねー。)

 さて作品の内容的な報告に一向に入っていきませんが、ストーリーとしては、要するに一言で言いますと勧善懲悪の作品です。
 でもこういったほぼ完璧な勧善懲悪作品というのは、出来のいい作品は、なぜか悪役がとってもいいですよねー。
 どこがいいのかなーと考えてみまするに、いかにも悪役、絵に描いた悪役、だからでしょうね。

 現代は、そんな絵に描いたような悪役は、なかなか作品内に表わせませんね。
 悪役になるに至った内的必然性なんかが求められたりして、それがリアリティだといえばそうなのかもしれませんが、何と言いますか、そのような複雑さの分、鑑賞する我々の側が変に気を使ってしまって、まー疲れるといえばちょっと疲れてしまうんですね。

 本作はそんなことを何も考えなくていい(疲れなくていい)、そんな作品です。
 悪役が実にストレートに憎らしい悪役です。
 私たち鑑賞者が、何の条件も付けずに「この悪い奴らめ!」と言い切っていい極悪非道な登場人物たちです。

 と、考えると、この「爽快感」も、なかなか捨て難いものではありませんか。


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Last updated  2015.11.08 15:46:23
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