CHINA QUEST*中国にはまったOL⇒女性社長の人生修行

＜預け在庫の数量不足に関する問題＞

大川様
竹山様

ニンハオ！

貴社へお預けしている弊社在庫の数量不足に関して、
先日貴社の在庫管理担当　ジョー様　と在庫数確認をした所、
合計4735個の数量不足が発覚しました。

貴社には大至急、この件について御調査頂き、且つどのように
補填を行うかお知らせ頂きたく存じます。

別紙に、弊社の在庫記録明細及び貴社から御提供された
預かり在庫の明細を添付致します。

・・・・以下略・・・・



私は


仕入先から来たＦＡＸを上記のように翻訳し

パソコンの画面を見ていた大川さんに黙って渡し、席に戻った。




2分後。







「ジョ～～～～～～！！！！」






と大川さんは叫び、


現場から飛んできたジョーと

竹山さんと生産管理と4人で

会議室に入り、3時間



出てきませんでした。




仕入先の預け在庫というのは。

仕入先から仕入れている部品の中で、数量がよく出る主要製品の一部を
預け在庫としてウチの会社に置いておき、
江蘇の会社は必要な時に使い、使った分だけ代金を支払うという

客先の短納期要求に対応する為の方法だったのですが。


恐らく数量の記録がいい加減で、
大量の数字が合わず、仕入先が抗議のＦＡＸを出した、と。



私は翻訳して『ああ、こんな問題が起こっているのか』とは把握していましたが
大川さんは、こういう管理問題の会議に私を絶対に呼ばなかったし、
最終的にどう解決しているのかは分かりませんでした。


ただ

開発や立ち上げの用件で、このメインの仕入先に通訳として行った時に
仕入先の老板（社長）や老板娘（社長夫人）が、

「あの問題を早く解決してほしい」
「どうなっているんですか！？」

と毎回訴えてくるので、


「悪いけど私は何も分からない」と言い訳しながら



やっぱり解決できていないんだな・・・



とは感じていました。



頻繁にこういった問題が発生していて、
毎回解決しないまま放置されていたので。



いつの頃からか
大川さんと竹山さんの机は



太平洋と大西洋



と、呼ばれるようになりました。



イレギュラーの問題が起こり、
（レギュラー問題は、何とかかんとか解決できるので）

大川さんと竹山さんに渡ると





二度と浮かび上がってこない





という意味です。



「太平洋と大西洋」の命名者は

台湾人の洪経理。


問題が発生しても、解決する術を持たない大川さんと竹山さんに対する

皮肉たっぷりの冗談。



メインの仕入先とは



納品数量が合わない、
外観検査の基準がない、
良品を不良品と言って返品してくる、
注文忘れによる短納期要求、
突然のキャンセル、
日常的な納期遅れ。



毎日次から次へと問題が起こっては、

抗議のFAXが来ては、

大川さんと竹山さんの



机に沈んでいきました。




本社の方でも「江蘇は駄目だ」という声は上がっていたものの
何が駄目なのかは見えず、

「大川さんも竹山さんも大変だから」

という一部の声に、それ以上踏み込んだ事を言うのははばかられ
本社が中国（江蘇の会社）のフォローをするという本末転倒の状態が続きました。




一方ジョーは。




数量間違いは勿論の事、

商品検査を受ける為に役人を連れて来たら、製品がなく。
探してみたら、既に港へ運んでいたり。
（出荷しても、検査を受けていないから通関は不可。
役人が「前所未聞（前代未聞）」と首を振った）


香港の客への荷物を、台湾行きの船に乗せたり。
（結局、積戻して、また香港へ出荷）


輸出の重量が申告（P/L）よりも１トンも多く、
5000元の罰金を取られた客へ賠償したり。


ありとあらゆる

考えられないミスを起こし続け。

その度に大川さんは


「ジョー～～～！！！」


と叫び、長時間の会議が行われていました。



この頃、本社も問題を重視し、中国人の管理者を雇い、
内部管理を立て直そうとしたのですが。

最終決裁者の大川さんの所で、ほとんど止められ。
（大川さんが馴染みのないやり方は通らなかった）



会社を良くしようと頑張っても報われない、

しかし大川さんお気に入りの四人組は増長していく、という状況の中

底なし沼に足を取られたような、停滞感と絶望感を感じていました。
（この頃、私も本当に辞めようと思ってた）




そんな中。



大事件が起こりました。





大川さんが

交通事故に遭ったのです。




つづく



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この話は　【弐】駄目駄目ジョー　の続きです。宜しければどうぞ。