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CHINA QUEST*中国にはまったOL⇒女性社長の人生修行

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2007/04/09
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テーマ:中国&台湾(3303)
カテゴリ:中国駐在お仕事
ジョーの契約更新を打ち切り。

一番恐れていたのは、ジョーの逆恨み。

現場を破壊しやしないだろうか?
在庫データを消去しないだろうか?
役人連れて「不当解雇だ」と会社に乗り込まないだろうか?


緊張の引継ぎ期間がすぎて、


「アコ小姐」と後ろから声をかけられて振り向くと


ジョーが立っていた。


両手に

■ノギス(長さや厚みを測定するモノサシの一種)
■シャーペン2本
■シャーペンの芯 1ケース(半分入っている)
■ボールペン2本
■巻尺
■定規
■バインダー 数冊
■メモ用紙の台
■消しゴム 2個


を抱えて。


私 「あ・・・」

焦 「今日までですから」

私 「そっか・・・」

焦 「どうぞ」

と両手で抱えた道具を差し出す。

私 「はい。・・・随分・・・。ぜ~んぶ返すのね(驚)」

焦 「はい」

私 「この消しゴムなんて、すごい小さい。小指の先くらいの・・・こんな丁寧に^^;」


ジョーは何も言わずに微笑んでいた。


私 「謝謝。・・・辛苦了(お疲れ様)。」


頭を下げて、荷物を受け取った。


焦 「アコ小姐」


ジョーが微笑みながら手を差し出した。
私は椅子から立ち上がって、手を出した。
お互いに目を真っ直ぐに見つめて、強く握った。


ジョーは竹山さんや同僚達とも握手をして、そして


会社を去った。



心配していた逆恨みも何もなく、さあっと風が抜けたように

いなくなった。



宋さんが後日、私に小声で言った。

「ジョーはクビになった日、大川さんに泣きながら電話をしたらしい」



公衆電話で、大川さんに国際電話をかけるジョーの姿が目に浮かんで

何とも切ない思いがした。。


***************************************


ジョーがいなくなった後、宋さんと竹山さんを中心に人事を行い、
今まで地味な作業をしていた者が倉庫管理になったり、
生産管理の仕事範囲が少なくなったりと、

大幅な組織変更があった。



これで落ち着いて仕事できる・・・



宋さんは大川さんと違って実務をよく分かっているし、
竹山さんだって、大川さんに抑えられていた部分が取れて
自分らしい仕事が出来るだろう・・・









・・・そう思っていた。






ある日、

運転手の王さんが車の中で私に言った。


「アコ小姐・・・」

「はい?」


「宋さんと生産管理が、とっても仲がいいって知ってるかい?」

「新しく出入りしている運送屋は、倉庫管理の父親だって知ってるかい?」

「宋さんと竹山さんが、一部の管理者達と『誕生日会』をしているのを知ってるかい?」




表情が変わったのが、自分でも分かった。

「・・・知らないよ、そんな事・・・」




すぐに竹山さんを問い詰めた。

竹山さんは、下を向きながらゴニョゴニョと認めた。



「何やってるんですかっっ!!」

怒鳴りつけた。




大川さんで、ジョーで、あれだけ懲りたんじゃないんですか・・・!!

何で同じ事をやってるのっっ・・・!!



全部、本社に報告した。

経理部長から宋さんと竹山さんは厳重注意を受けた。



その後も絶えず誰かから入ってくる情報は、裏を取った上で全て本社へ報告し続けた。



自分が本社のスパイのように思えた。

とても卑怯な事をしているように思った。

別に宋さんが嫌いなわけでも、竹山さんに意地悪しているわけでもない。



しかし結果的に、宋さんは管理の権限を減らされ、
竹山さんは降格になり、私が江蘇を去った1年後には、解雇されたと聞いた。



************************************



多くの取引先が中国に進出したから、江蘇に会社を興した、と。
会社や社員に対中の知識やノウハウはなく、とにかく進出した、と。

責任者に、生産のベテランの大川さんを派遣し、
サポートとして数部門経験した事のある竹山さんを派遣した。


本社は大川さんを頼りに全権を委任した。




…ちょっと待って。



・・・会社経営って、工場経営って、そんなに簡単なのか?

一介のサラリーマンが全てを采配できるほど簡単なのか?



ましてや中国のような、ややこしい国で。
言葉も分からず。

知識もなく。



経営などできるはずもない能力の人間を、キチンと評価もせず
懇意だからと責任を与え、権限を与え。

会社に損失が出るのは当然ではないの?


冷静に考えれば読める結果。



何の為に仕事しているの?

会社に貢献する為ではないの?

気が合うからと周りをイエスマンで固め、私心を優先し、会社にツケを回す。



情 理 法


感情(人情)・道理・法律(規則)



情が優先しては、組織なんて成り立たない。



江蘇の会社には「法」はなかった、本社にも「法」はなかった。
あっても遵守していなかった。



裏金作りをしていた地方団体。
解雇された元職員の言葉。

「上司から、やれと言われた。
組織だから、やるべきと判断してやった」


情理に適っている。

組織に所属する者が、
上司から言われれば断りにくい。
裏金作りも仕方なく・・・



しかし、この言葉に法はない。



法なき管理は組織を破壊する。






大川さんが原因だと思った。
ジョーを除けば問題が解決すると思った。


でも、そうではなかった。




情を優先する組織では、大川さんは、また現れる。

ジョーも、また現れる。




大川さん、そしてジョー・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



私には、彼らが




会社が作った徒花(あだばな)に思えてなりません。








終わり。

全6回。読んで下さった方々、有難うございました。


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この話は 【五】駄目駄目ジョー の続きです。宜しければどうぞ。





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最終更新日  2007/04/10 12:44:27 AM
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