今回の蘇北行きを紹介してくれたのは河南省の友人だ。
河南は東北寄りなので使う単語が南とは違う。
そして蘇北は河南省、山東省、山西省、安徽省あたりから
多く働きに来ていて、言語的には東北に属するようだ。
蘇南とは使う単語がいろいろ違っている。
多く耳にするのが「行(いいよ)」だろうか。
南なら「好的(ハオダ)」だが、
蘇北は「行(シン!)」と勢いよく答える。
最初はキツく聞こえたが、その内に
サバサバしている、という感じに思えてきた。
「ロ舎(シャー)」も多い。
「什麼(シェンマ=何)」の意味だ。
「ロ舎事?(何の用)」「ロ舎意思?(どういう意味)」など広く使う。
蘇南でも使っていたけれど、あれは方言ぽかった。
しかも訛っていて、シャーではなく「サー」で
「誰?」は「ロ舎人?(サーニン?)」となる。
東北方言に戻って。
「咋(ザー)」もある。
「怎麼(ゼンマ=なんで、どうして」の意味だ。
「NI咋裝著大衣啊(お前なんでコート着てるんだ)」
母親の事は「娘(ニャン」とかもね。
単語が違う上に、かなり早口で巻き舌が蘇南より少し強く、
そして勢いよく流れるように話すので、私にはヒヤリングがきつい。
一方で語学的には結構面白いのだ。
昔々、教科書で勉強したきり(しかも20年以上前!)の単語が、
ポロンと突然に出てくると、記憶クイズのようで楽しい。
また中国語スピーカーとしては、まだ慣れていない
北の言い回しや言葉のリズムを真似して使ってみたいミーハーさもある。
工場の事務員と一緒に出掛ける時。
事務員は事務所の鍵を閉めていた。
しかし鍵が抜けない。
「あれ?」と2~3回グルグル回していたが、やがて動きを止めて
「拉倒(ラーダオ)!」
とため息をつき、鍵穴に鍵を挿したまま 「明日するわ」と歩き出した。
拉倒(ラーダオ)
聞いたことは、ある。
でも意味が分からなかった。
調べてみると「やめる」とあった。
多分、学校で習った事があると思う。
でも蘇南では聞いた事がないような気がする。
今度、使ってみようと思った。
つづく。