カテゴリ:ホテル
いつもと変わらないホテル内の風景が週末になると一転して修羅場と化す。特に夜間は想像も付かないほど地獄に変わるのである。バーは明け方まで人の声が絶えず、部屋では朝まで宴会騒ぎ。電話は鳴り止まず、大半が苦情の電話でとても仕事が出来る環境ではない。酔っ払いが圧倒的に多くなり、ソファーで大の字になって寝ている者も居れば、ロビーを全裸で走っている輩まで出てくる始末。週末は予約を取っていないお客(Walk Inと呼ぶ)が過半数を占め、みんな決まって明け方にやって来る。大半が酔っ払い客でへろへろでサインも書けない人もいれば、お金を持っていないのに泊まろうするお客まで出てくる。フロントに来るオーダーはどれもどうしようもないものばかりで、理性を失いそうになる。
今居るホテルで夜間働いているスタッフはベルマン、ルームサービス、フロント、セキュウリティ、それと夜勤のマネージャーのたったの5人。部屋数が160室と少ないので、平日はこの人数でなんとかなるのだが、週末になるととても足りる人数ではない。ルームサービスでは注文が後を絶たず、ベルマンは深夜のタクシーのオーダーに借り出され、フロントは苦情の山に追われ、マネージャーとセキュウリティとマネージャーは酔っ払い客の対応に、みんな必死である。一つの部署が暇な時は他の部署の助っ人に回され、時にお客を残しスタッフ全員がロビーから消えることもある。本当はあってはならないことなのだが・・・ハウスキーパーが夜間いなくて、ベルマンがシーツや枕を抱えてロビーを駆け巡っている姿を目撃する。とても格式のあるホテルの風景とは思えない。ある晩酔っ払いがフロントに来て泣き始めた。話を聞くと彼氏と連絡が取れなくて困っている・・・泣きたいのはこっちだよ。本当に聞いて損することばかり、週末は。どんちゃん騒ぎに巻き込まれ、気が付けば朝になっている。仕事は山ほど残ったままなのに・・・ 上の人間はこの有様にホテルのイメージを崩すなと命令する。一回で良いから週末フロントに立ってホテルを見てみろと言ってやりたい。週末の夜は上の人間が想像も付かない地獄が待っているのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004/10/17 09:01:36 AM
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