テーマ:海外生活(7775)
カテゴリ:ホテル
ホテルのオーナーが泊まりに来た。それに伴い、朝からGMは他のマネージャーと部屋の点検、メニューのチェック、車の手配などに余念がない。相手が相手なだけに、フロントのマネージャーも朝から鍵の点検を入念に行い、かなりぴりぴりした状況だった。この日はどの部署、レセプションやベルも一人余分に配備して、ミスのないよう上から念を押されたのである。ホテルの最上級スイートをかなり前から確保して、万全の体制でのお出迎えであった。普段GM本人が玄関に30分も前からロビーに立ってVIPを歓迎することはない。しかしこの日は、ホテル専属の運転手からの定期的な連絡を受け、到着時間を再度確かめては、ロビーをうろうろしていた。
ホテルにとって最も重要なお客をこのような形で迎えるのはおかしい事ではない。でも、僕から言わせれば、今回の対応は、ホテルの事実を隠した偽善的な行為に思えてしょうがない。そもそも、完璧な形でお客に部屋やホテルのサービスを提供するのは、ホテルにとって当たり前の事である。しかし当たり前と思うことが、うちのホテルは出来ない。 僕の視点で見た今のホテルの問題点、それはずばり、サービスの低下である。ホテルに着いたら、肝心のドアマンは不在。重い荷物を持って何とかベルマンの助けを求め、ロビーに入ったら、ベルマンも不在。ベルデスクは空っぽで電話が鳴り止まない。チケットや車の手配を待つお客が列を作り、ひたすらベルマンの帰りを待つ。フロントはフロントで、人数が少なく、かなりのお客をチェック時に待たせる。部屋は部屋で、電源が付かない、水漏、ミニバーの補充がちゃんとされていないが入っていないと言った初歩的なミスが頻繁に起こり、かなりの苦情がフロントに入ってくる。頼んだ用件(荷物やベッドメイキング等)も直ぐにやってくれないとい苦情が後を絶たない。5つ星のホテルなのに、それに見合ったサービスを提供していないのが、ホテルの現実である。最上級のホテルに分類されるが、サービス自体は3つ星、またはそれ以下と言ったところか。 サービス低下の大きな原因は、人材不足によるものなのだが、本当に今人手不足でどの部署のマネージャーも頭を悩ませている。何せ人事部のスタッフがみんな辞めてしまうくらいだから、問題は深刻だと想像が付くだろう。夜間もたった5人で取り仕切り、夜勤のハウスキーパーはおろか、エンジニアだっていない。こんな状況の中で、どうやってお客に満足いくサービスを提供出来るか、これが現場で働いている僕の意見である。 こういう今の状況を、ホテルの現実をオーナーに見せた方が、この先どうやって改善していくか考えてもらえると僕は考える。素晴らしい部屋を提供して、5つ星に見合った完璧なサービスで出迎えれば、オーナーだって満足するし、このホテルは最高だと思う。けど、それだと、結局あまりホテルの方針を改善させるのに役立っていないように思う。まぁー上の人間もホテルの問題は十分理解していると思うけど、立場上の問題そんな事出来る訳ないんのはよく分かる。ただ、オーナーだけではなく、全てのお客に5つ星のサービスが出来るよう心掛けてもらいたいと願っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/03/06 02:44:19 AM
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