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2006.01.09
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カテゴリ:おじさん
地下鉄サリン事件から、早10年。
しかし未だ電車の中では
「持ち主不明の荷物がある場合は、乗務員にお知らせください」
のアナウンスが流れる。

1年ほど前の話である。
私の下車予定の1つ手前の駅で、1人のおっさんが乗ってきた。
手にはバケツ(いわゆる普通の青いプラスチックのやつ)と、ビニール傘を持っている。
何やら小さな声で、ブツブツと独り言を呟いているのが気に掛かり、そっと盗み見してみた…。


バケツの中に、汚いビニール袋が入っているではないか!!

スーパーの袋のように見えたが、中身は明らかに液体と思われる。
にわかに動悸が激しくなってきた。
もし、このおっさんが先の組織の残党だとしたら、これはあの悪夢の再現である。地下鉄ではないし、夜のガラガラ電車だけれど、それはこの鉄砲玉が、先の実行犯に比べ、能力に欠けるからに違いない。

いつでも逃げられるよう、私は鞄の中のハンドタオルを確認した。
いざとなったら窓を全開にし、飛び降りるくらいの覚悟は必要である。

そうこうしているうちに、降りる駅となった。
──私1人だけ助かっていいものだろうか…。

車内の人に、何らかの形でこのことを告げなくてもよいものか、私は本気で悩んだ。

しかしその心配は杞憂に終わった。
なぜならおっさんは、私と同じ駅で降りたのだ。

よっぽど尾行してやろうかと思ったが、「君子危うきに近寄らず」の精神のもと思いとどまった。



この話をいろんな人にした結果、皆が口をそろえて
「魚が入ってたんと違うの?」
と言った。

全く緊張感がないこと山の如しの発言である。
現代日本にいながら、この平和ボケぶりとは…甚だ遺憾である。

私は警告したからな!





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Last updated  2006.01.09 14:39:21
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