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カテゴリ:おじさん
旅行先での話。
その日は、あちこちブラブラしているうちに、結構夜遅くなってしまった。 時刻は夜9時を回った頃だっただろうか。 田舎の夜は早い。 この時間になれば、開いている飲食店がほとんどなくなるのが、常識だ。 そして、このような事態に陥った場合は、開いている店を見つけたら、すぐ飛び込むのが鉄則である。 ボヤボヤ悩んでいると、やっと見つけた店まで、唐突に閉店してしまうからだ。 以上のような理由から、この日は通常なら絶対に選択しない食堂の、暖簾をくぐることとなった。 店先のサンプルに、軽く埃がかぶっているような店。 入店すると、店内に客の姿は、1人もなかった。 予想通りだ。 メニューを開く。 和・洋・中華と、そのラインナップは幅広い。 多国籍、まさにワールドクラス。 ちなみに、私の中で「いろんな種類を扱っている店は、どれもイマイチ」の法則がある。 学校で習った「売れるネットショップ」の法則も然り。こだわりを持って、何かに特化するのが正しいのだ。 悩んだ末、私たちは「てんぷら定食」を頼んだ。 この店では、間違っても「刺身定食」のような「生もの」を頼んではいけない。 どうやら、オヤジとおかんの二人で切り盛りされているようだ。 店内には、プロ野球中継が流れている。 ヤクルト対阪神戦だったと思う。阪神がリードしていた。 「今日は○回の、○○が駄目やった。あそこで○○せなあかん」 愛想のいいオヤジは、阪神フアンの常であるように、ブラウン管の向こう側の采配を振るっている。 「今日は、○○はヒット打ったの?」 話の流れで聞いてみると、オヤジは今日の試合内容を、おかんとともに、詳細に語ってくれた。 「おっさん、全然仕事してないやろ? 今日の試合のこと、めっちゃ細かく知ってるやん」 連れが言った。 「それとな、見てもうてんけど、さっき炊飯器にスイッチ入れてた気がする。絶対今日初めての客やで」 鋭い観察眼で、オヤジの動向を見守る連れは、非常な潔癖症である。 「あ~、料理もいつのもん入れられてるか、わからんで。何されるか分からんから、目が離されへん」 急ぐでもなく、のんびり調理するオヤジを、ミスター潔癖症が仔細に観察しているので、私は店内を観察することにした。 お宝の山だった。 このお宝の詳細、出てきた料理については、次回記述したいと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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