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カテゴリ:BOOK
食わず嫌いというか、読んでみたいけど手をつけていない作家がいた。 町田康。 ナルシストな感じ(知らないけど)に拒否反応が出てしまい、世間が騒いでるときも 「私は踊らされないわ」 なんて、別に誰もどうも思わないのに、妙に彼を意識して避けたりしていた。 しかしこのたび、図書館でたまたま彼の本を手にし、たまたまパラパラページを繰ってみた。 もう彼は「ブーム」という時期を超え、作家として相当認められた地位を確実に築いているし、今さら「ミーハー」なんて扱いを受ける人物ではないと判断したからである。 そういう意味で、彼は私にとって、ある意味「意識する存在」ではあり続けてたのだ。 で、手に取ったのは小説ではなく「エッセイ」。 それも、ものすごく短い話が山盛り載っている本。 まだ最後まで読んでいないが、数ページ読んだだけで、彼のことを好きになってしまった。 なんだかメチャクチャなのだが、とても魅力的なのだ。 というわけで、少しだけ紹介しますとですね…。 彼は昔ものすごく貧乏生活をしていたわけですが、当時住んでいたアパートの庭先で、夏に水浴びをしようとして、とげが一面にびっしり生えている見慣れない木を発見する。 彼はこの木を非常に気味悪く思い「邪悪の木」と呼び、直ちにこれを切断するわけだが、2、3日経つと同じ場所でまた邪悪の木が生長している。 慌ててまた伐る。しばらくするとまた生えている。また伐る。ということを繰り返し、とうとう彼は邪悪の木に勝利して彼を根絶したのであるが… のちに「邪悪の木」畑を見つけ驚愕するのだが、それは「たらの木」であると友人から教えられることになる。 この件を電車で読んでいたのだが、「邪悪の木」と命名するそのセンスに、ほんとに笑ってしまった。 多分今日私を見かけた人は「電車で笑ってる気持ち悪い女を見た」と、誰かに話すかもしれない。 彼の文章は、非常に一文が長い。 通常、このような長い文章は、主語と述語の関係がおかしくなり、何を書いているのか分からなくなったりするものなのだが、全くそんなことを感じさせない。 むしろ長いことを武器にしているというか、そこに彼の人柄とか歪んでる感が出ていておもしろい。 やばい。しばらく「町田康ブーム」がきそうな予感。 これはお気に入りの作家になりそうだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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