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2007.04.25
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カテゴリ:おじさん
高校時代の数学の先生に「ありりん」というあだ名のおじいちゃんがいた。

小柄なおじいちゃんで、茶色い色眼鏡を掛けていたありりんは、あえて誤解を恐れずに言うなら、とても授業が下手だった。


彼は「数学β」という教科の担任であった。
ただでさえ、数学がちんぷんかんぷんの私にとって、ありりんの授業はその傾向に拍車を掛ける、まさに負のスパイラルな存在であった。

★授業風景一例★
「アンセ、この問題解いてみろ」
「…わかりません」
「もう一回、問題読んでみろ」
「…(黙読する私)…わかりません」
「今度は声出して読んでみろ」
「…xが○○のとき、yが○○で…云々……わかりません」

「三回問題読んで分からんやつはバカだ」



こんな感じ。

でも、なぜか憎めないありりん。
高校3年のとき、彼は定年の年を迎えた。

最後の期末テスト、私は頑張った。
ありりんのことが好きだったので、最後のテストぐらいはいい点を取ろうと思ったのだ。

そして、本当にいい点を取った。
数学β至上、最高点!

そして、そう思っていたのは私だけではなかった。
クラスみんながいい点を取り、数学β至上最高平均点となったのだ。

そして、ありりんの教師生活最後の授業の日、まさに最後の授業が偶然、私のクラスになった。

私達はありりんに内緒で花束を用意していた。
授業後、花束を渡したとき、ありりんはすごくビックリしていた。

そして小さな声で言った。
「下手な授業聞いてくれてありがとう」

ありりんは、涙を浮かべて、でもそれを見せまいと、ものすごく早足で教室を去っていった。

私も思わず涙ぐんでしまった。





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Last updated  2007.04.25 16:12:59
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