怖かった…。
久々に引いた…。

私の職場は緑化センターなので、いろんな人がやって来る。
年齢層の高い客層なので、例によって仕事をサボりながら花ガラなどを摘んでいると、よく話しかけられる。

一昨日も、「キレイにしてるね～」と、一人のおじさんが話しかけてきた。年のころは50代後半から60歳くらいといったところか。

チャラ～ンと胸元に光る金のネックレス、グラデーションの色眼鏡。
芸能人で言えば、中尾彰と北方謙三を足して2で割ったような感じ。

…堅気じゃないな…。
心の中で「オジキ」と呼ぶことにした。

「花を見てたら、腹たったことも忘れてまうから、ここはいいわ」
ご機嫌に語り続けるオジキ。

「いっぱい写真撮りたくなるね～」などと、あちこちで携帯のシャッターを切るオジキ。

最初は花の手入れに関する質問をしてきていたが、だんだんその矛先は、私の素性調査に及んできた。

適当に言葉を濁しながら、ジワジワ花ガラを摘む場所を移動していたが、微妙にストーキングしてくる。

「ちょっと写真撮ったろ」

どうぞ、どうぞ、好きなだけ撮って帰れば、と思っていたら、オジキは携帯を私に向けていた。

「え、それはちょっと！！」
と抵抗していると、
「かわいいね～」
とか何とか言って、勝手に「カシャ」とシャッターを切っていた。

「ほら、かわいく撮れたよ」
などと嘯きながら、何の悪気も無く携帯を見せるオジキ。

「電話番号入れてくれたらうれしねんけどな～」
「名前はなんていうの？」
「またこの写真見て、ここに来るわね」
などと、笑顔のオジキ。

さすがの私も怖くなってきた。

「そろそろ帰らないと怒られますから」
とか何とか言って、事務所に戻った私。

昔から、子どもと年齢層の高いところにだけは人気の高いことは自覚していたが、勝手に写真を撮られたのは初めてだ。

帰宅して、妹に上記の内容を告げると
「あ～。ネット上にアイコラとかされてばら撒かれてるんちゃう？もうオジキの手下が、いっぱい加工してるで～」
などと、不安をあおるようなことを笑いながら言った。

まさか、そんなことはないと思うが…。

…ってか、写真消してくれよ！！