私の実家は繁華街にありました。
隣には有名人が来たら接待によく使われる、おでんと
居酒屋風メニューの老舗の小料理屋さんがありました。
うちでも会計士さんやお客さんが来た時に隣のおでんをとることがあり
そのおすそ分けをもらうのが楽しみでした。
たまに芸能人が来ると、そこで働く人がうちに来て
「■□■さん来てるよ」!って内緒で教えてくれるんです。
何人か見ましたが、やっぱり衝撃を受けるのが女性の芸能人です。
子供の頃、今の“あやや”くらい人気があった、あるアイドルは
20代中くらいだったのでしょうか?
私は大ファンだったので、店に来てると聞いて大喜びしました。
といってもお座敷にいるので、店を覗いたとろで見ることは出来ません。
興奮する気持ちを抑えながら、憧れのアイドルを店の外で待ちました。
まもなく関係者が出てきました。おじさん、おばさんがゾロゾロ出てきて
なかなかアイドルが出てきません。
やっぱりアイドルだから、一番最後に出てくるのだろうと
私の胸はドキドキでもう爆発寸前です。
「ごちそうさまでした~」と、関係者とお店の人達がと挨拶を交わし
マスターも店の中に入っていきました。
「えっ?●●ちゃんは??」
「あそこにいるでしょ。」といつの間にか母も出てきて
私と一緒に●●ちゃん見物です。
母が差した方向を見ると…
1人のおばさんが立っています。
「何言ってんの~●●ちゃんじゃないよ!」と自分で言った
途端ハッとしました。
あのおばさんの鼻、●●ちゃんにそっくり……
私が大好きで可愛いと憧れていた●●ちゃんのスッピンは
色も浅黒くて、おばさんぽくて、黙っていたらアイドルとは
とても思えない感じでした。
それから、●●ちゃんの切り抜きやポスターを外し押入れの奥にしまい込みました。
ショックでした。本当に。
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それからずい分と時が流れ、隣の店に大好きな女性アーティストが
来ていると聞いて、プライベートの姿も見たい!と思い覗きにいきました。
コンサートは、何度も行ったことがあるので、近くでも見たことがありました。
今回は、店の関係なのか、いつものお座敷ではなく、店の入り口から覗くと
カウンターの横にある、こあがりに座っていました。
お店の人が目配せしてくれた、端のこあがりを見ると
業界らしき人たちが所狭しと座っています。
今回は、髪型でわかりました。ロングヘで当時流行っていた
ソバージュにした女性が真ん中に座っていました。
ステージで、華麗なパフォーマンスを見せてくれる
カリスマアーティストです。
スッピンを見ると、切れ長の目はそのままですが
普段、私達に夢を与えてくれる彼女の姿とはkちょっと違っていました。
恋している時、世の女性は、どれだけ彼女の曲で
癒され勇気づけられたか。
まるで私の気持ちと一緒!って思うような想いやいろんな恋を
楽曲して、常に発表し続けている、元祖恋愛のカリスマリーダーでもあります。
そんな彼女も素になると、
キラキラのオーラからナチュラルなオーラに
変わるのでしょう。 やはり一般人とは違うオーラは感じました。
きっと、鏡の前でアーティストになっていくのでしょう。
化粧をする、落とすという過程で、女性はプライベートから仕事への
ON、OFFの切り替えの役目を果たしてくれるのは確かです。
店を出るという話を聞いて、もう一度見に行きました。
プライベートな時間に握手を求めることも「ファンです♪」と
話しかけることも出来ずに、ただ眺めているだけでしたが
店を出る時や、関係者と話をしている、彼女は気取らない、とても気さくな人でした。
カリスマアーティストは、たとえスッピンであろうと素敵でした。
あまり北海道、ましては地元で芸能人を見る機会は
少ないですが、夢は夢のまま憧れているのが一番なのかもしれません。
もちろん、素のその方達と友達になるなら
その限りではないでしょうけど…ね。