梅木水晶の日常

メール内容。
私：”木曜日、何か予定ある？”
男：”特に予定はないですけど？”
私：”山登りしない？”
男：”山登りですか？いいですよ。ボーイスカウト以来だなあ♪”(常に顔文字入り)

サイトでのメールのやりとりを通して知ったのですが、
彼はかなりのツワモノで、大学１年の時に夏休みを利用して、
釧路からずっと離れた女満別空港目指して歩いた事があるというのです。
そして、健康の為か趣味かわかりませんが、ほぼ毎日テニスをしているという事。
この子なら大丈夫だろうと思い、私は彼を山登りに誘いました。

私：”登り３時間３０分、下り２時間３０分。水とか忘れないで。”
男：”は～い。…でも、山頂で俺を突き飛ばすとか、
　　　わざと迷って遭難するとか、自殺を一緒にするとか、
　　　怖い人たちが待ち構えてるとかそういう事はないですよね？”

笑。ああ、そういえば私も初めてサイトで知り合った男の人と会う事になった時、
メールでこんな質問をしたなと思い出しながらちょっと可笑しくなり、
彼に電話をしました。

私：｢そんな事、絶対しませんから。大丈夫です｣
男：｢びっくりした！もっと太い声かと思ってました！
　　 わかりました。では４日の６時ですね｣

このような経緯で、私は大学４年生の彼と山登りをする事になりました。
朝の６時に私の家の近所で待ち合わせをし、
二人で彼の車に乗り、雄阿寒岳に出発です。

私：｢おはよー。寝坊しないでよく来たね。偉い偉い。
　　 でも雨降っちゃったね。頑張ろう｣
男：｢ええ、頑張りますよ～！
　　 どうもどうも初めまして。
　　 鳥さん、メールの印象と大分違いますねえ。
　　 あっ、いい意味でですよ。お顔もお声も…｣
私：｢それはどうもありがとう。
　　 私は、山登りで、あなたのその綺麗なお洋服が汚れてしまうのが心配だよ｣
男：｢あっ、大丈夫ですよー。上に着る物持って来ましたからっ！
水も持ってきましたよー♪ほんと、ボーイスカウト以来ですー｣

４歳年下のその彼は、私に対して終始敬語です。
見るからになよっとしたお坊ちゃんといった感じの彼ですが、
車で阿寒に向かう途中での会話。

男：｢この辺の道、全然外灯とかないじゃないですか～。
　　 夜とか凄く怖かったですよ～！
大学１年の夏に女満別まで歩いたってメールで言いましたよね。
あっ、ここのバス停で寝ました～！懐かしい～…
あとここらへんの道っ、歩道がないんですよね～、
　　 ほんと、死ぬかと思いましたよ～。
だって～、すぐ横を、大型トラックがびゅんびゅん走るんですよ～。
歩いてる途中、な～んで俺こんな事やってんだろ～って思って、
やっぱ、ヒッチハイクとかしてみたりするんですけど～、
なかなか停まってくれないですよね～、こんな男一人じゃあ…
意外と停まってくれるのは～、大型トラックの運転手さんとかですよね♪
　　 あっ、俺、家庭教師のバイトしてるって言いましたよね…
俺の家庭教師してる子なんですけどね…｣

この子は見た感じは物凄くなよっとしていますが、
意外と好きなタイプです。まあよく喋ります。
私は喋る男性が好きです。
私も自分の事を結構喋る方だとは思っていたのですが、私なんかの比じゃないです。

私は何だか、このなよっとしていてちょっとずるそうな可愛い彼が気に入り、
本名は予め聞いてはいたのですが、
彼がサイトで使用していたニックネームで呼んでしまっていました。初対面なのに…。
そんな感じで車は雄阿寒岳の登り口に到着です。
明日に続く。