マツさんになぜ感謝するのか。


声が出せなくてコミュニケーションがとれないストレスでいっぱいの父。

我が身に置き換え、どんなにつらいだろうかと想像する。

誰かいつも傍にいて、
言いたいことを汲み取ってほしいだろう。
私がついていてあげられたら、ずっと読み取ってあげるのに。

私には家族もあるから、ずっといてあげられないの。
遠すぎて毎日行ってあげられないの。

マツさんが毎日来てくれてよかったね。
お父さんのつらさはだいぶ軽減するね。
マツさんのためによくなるぞ！って回復へのエネルギーも湧いてくるからよかったね。

だから、マツさんありがとう！

ってなるわけ。


毎日誰かが来てくれたら、それはうれしいけど、
でも、毎日誰かが行かなくても、
医師が、ナースが、リハの先生が、毎日入れ代わり、父の傍にいる。
父の苦痛をとるために、たくさんの人がついていてくれている。

私がついていてあげないと死んじゃうわけでもないし、
私の代わりにマツさんが行ってくれてるわけでもない。


そうなんだ。

毎日誰かが傍にいないといけないと、私が勝手に感じてしまうだけなんだ。


母は、来れない時は無理するなと言っていたっけ。
でも、かならず行かないとならない理由を作り出し、
行く予定のない日も、
「仕方ない、ちょっと行ってくるよ」ってことになった。
「あんずが来れないと困る。
私は不自由の身で、自力じゃ何もできないんだ！」
と泣き叫んで怒っていたっけ。

でも、病院にも施設にもスタッフがいっぱいいたんだ。
一日待てばすんだ話だった。

どうしてすぐに「私が行かなくちゃ・・・」って思っちゃったんだろう？

「ヘルパーさんが日に何度も来てくれたって、自宅ではやっていけない！」って泣いて、
だからあんずのうちに行くって脅したとき、

どうしてあんなに自分を責めたんだろう？

私ならヘルパーさん以上のことをやってあげられるって、思ったんだろうか？


なんだか、
私ってどんだけ偉いんだ？

父のため、母のため、スエオのためって
私はどんだけ立派な人間なんだ？


そう考えたら、
自分のおこがましさに身震いした。

母と同じじゃないか？
自己愛じゃないか？

ヤバい！
これは、ほんとうにヤバい。

こういうの、共依存っていうのか？

でも、大丈夫、ちゃんと自覚して、直そうと思えるから。
ご飯と掃除をいつもより少し丁寧にしてみよう。