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2013年08月14日
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カテゴリ:平和

早乙女勝元(作家)

(1944年)11月1日帝都の上空に初めてB29が登場。
戦場は海のかなたから内地に飛び火して、連日連夜の空襲で翌年となり、
ついにあの恐ろしい炎の夜を迎えてしまいました。
東京の下町を家ごと、人ごと焼き尽くそうという無差別爆撃でした。

私は最後まで東京にとどまっていた一人です。
しかし、東京空襲を体験なさった方は次々とこの世を去っており、
残された書き手の一人である私の使命は重いような気がします。

8月15日、親たちの言葉で戦争は終わったらしいとわかりましたが、
日本はこれからどうなるのか全くわからず、ただただ呆然としていました。
でも、これが平和だと思ったことが二つあります。

一つは灯火管制解除。黒い覆いを外して裸電球の下で家族の顔を見渡したとき、
平和って明るいんだ、まぶしいんだと思いました。

二つ目は、翌年11月3日の新憲法公布です。

私は「そうか、日本はもう二度と戦争をしない国になったんだ。
それじゃ、平和のために役に立つ人間になれたらいいなあ」と思いました。
私は戦後すぐから日記帳と雑記帳の二冊のノートを持って、
いろんな本を読んでは、感想を書き始めましたが、
ある作家の一言が戦後の座標軸になりました。
それは宮沢賢治の「世界が全体幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という言葉です。

ところが戦争が終わって四年目あたりから、
占領下の日本は戦後の原点ともいうべき平和主義から逸脱し始めます。
その決定的要因となったのは1950年の朝鮮戦争勃発です。

GHQ(連合国軍総司令部)の指令で警察予備隊がつくられ、
それが保安隊、自衛隊へとエスカレートしていきました。
特需景気で日本は焼け跡闇市の時代を脱出しつつあったが、
あのB29が今度は日本から朝鮮半島に出撃していくのです。

私は悩み、迷い、何かできることはないかと考え続けました。
そして、文章を書くことならできる、
自分史を書いたら劣等感で気弱な自分を一歩乗り越えることが可能かもしれない。
それを読んでくれた人が、もしかして戦後の原点を見直してくれないか。
手記が一冊の本になって出たのが二十歳のときでした。

1970年に何人かで「東京空襲を記録する会」を立ち上げ、
『東京大空襲・戦災誌』(全五巻)を三年がかりで完成させました。
2002年には、無償提供された江東区北砂に、民間募金で、
「東京大空襲・戦災資料センター」を設立しました。
今、修学旅行の生徒たちが続々と来てくれます。
「記録する会」を結成してから40年、私の人生の半分以上を費やしましたが、
こだわって生きれば、その声はほそぼそながらでも通じていくのだと思います。
目下、追体験の時代を前にして
民間人の戦禍の証言映像をライブラリーにしようという活動に着手しています。

七年前(2003年)にイラク戦争が始まり、
私はその翌日、何人かで戦争をやめよと新宿駅頭で訴えましたが、
人の流れは止まらず、無力感に襲われました。
でも戦時中と違って、今なら言えるのですから、一言を惜しんではならない。

生き残った者たちは、過去の無念の死を遂げた人たちの
声なき声を重ね合わせて生きることが大事なのだと思います。

早乙女勝元さんが語る下町っ子戦争物語-東京大空襲から65年(TOKYO Web)
http://t.co/XYeNQfIpgF





戦争はこりごりだという方は、もう私を含めて高齢で少数派で残り時間が気になるところですね。
そして代わりにこりごりでない方々が圧倒的多数になりました。

とりわけ今の学生諸君なんかは典型的な存在ではないかと思います。
ですからいくら私が映像でもってお話をしてもなかなかピンと来ないし、
実感を伴わないというのも無理なからぬ話しです。

あたかも平和ということが空気みたいに感じられちゃうんでしょうね。
空気があることを有り難いなんて思う人ありませんからね。
たっぷりあるうちに生まれて、ここまで育って来たのではありませんか。
でも空気が無くなって見ると後の祭りという。
まな板の上のお魚と同じです。

そうすると戦争体験が有ろうと無かろうと、
現在を生きている私どもにとって共通して大事なことは、
空気の様子によく目を配るということでしょう。
もうちょっと難しい言葉で言えば、社会的感覚を磨くということであります。

東京大空襲と私
http://t.co/NL1cClP1Bx




…………………………………………

The Penelopesのwatanabe さんという方 ( @penewax )がTwitterで紹介してくださっている言葉をつなげてUPさせていただきました。






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最終更新日  2013年09月21日 21時57分50秒
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