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カテゴリ:インフルエンザ・風邪・ノロ・肺炎・麻疹
本当は怖い家庭の医学(診察日:1月23日 )より
『本当は怖い風邪~危険な漂流者~』 T・Tさん(男性)/ 68歳(発症当時) 大工棟梁 この道50年、大工の棟梁T・Tさんは1年前、30歳年下の女性と再婚。 いまだ人生の春を謳歌していましたが、寒さが厳しくなった1月、 風邪を引いてしまいました。 「病は気から」と、これまでも風邪を引いても自力で治してきたT・Tさん。 2日後、風邪が続いているにも関わらず工事が遅れ気味のため、 現場に出かけたところ、さらなる異変に襲われるようになります。 (1)風邪 (2)湿った咳 (3)微熱 (4)わき腹が痛む <なぜ、風邪から肺炎に?> 「肺炎」とは、細菌やウィルスなどの感染により肺の細胞が激しく炎症を起こし、 呼吸困難を引き起こす病。よく耳にする病名のため、 あまり怖いイメージはありませんが、実は日本人の死亡原因の第4位。 年間9万5000人もの人々が犠牲になっている恐ろしい病なのです。 しかも、そのうちの92%が、65歳以上の高齢者。 一体なぜなのでしょうか? それは「免疫力」の低下。 年代別の免疫力のグラフを見ると、20代の免疫力を100とすると、 60代ではなんと5分の1の20にまで低下してしまうのです。 さらにT・Tさんの場合は運悪く、風邪を引いてしまいました。 その結果、ただでさえ低い免疫力が、さらに低下。 こうして全く無防備な状態になったT・Tさんの体に、 肺炎を引き起こす細菌、肺炎球菌が侵入。 あっという間に感染が広がり、肺炎を発症してしまいました。 しかし、これだけで死に至ることはほとんどありません。 実は高齢者の肺炎による死の影には、もう一つの原因が隠されていたのです。 高齢者肺炎の特徴を調べてみると、その殆どが、 何らかの基礎疾患を持っていた事が明らかになったのです。 中でも近年最も増えているのが、喫煙などを原因とした呼吸器疾患、COPD。 「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」とは、タバコなどに含まれる有害物質によって 肺や気管支の組織がボロボロに破壊され、肺機能が著しく低下してしまう病。 T・Tさんの場合、40年に渡る喫煙によって、 知らず知らずのうちにCOPDを発症していたのです。 そう、COPDの恐ろしいところは、肺の機能が低下しているにも関わらず、 普段は特別な症状が出ないこと。 ところが、ひとたび肺炎などになってしまうと、 急激に症状を悪化させてしまうのです。風邪を引いてわずか1週間。 T・Tさんは、激しい呼吸困難に見舞われ、命を落としてしまいました。 免疫力が下がっている高齢者は風邪を甘く見ないこと。 そして、COPDなど気づかないうちにかかっている 基礎疾患に注意することが大事なのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ なたは風邪を引いてはいませんか? その微熱 ずっと続いてはいませんか? そして何よりタバコを長年吸い続けてはいませんか? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ COPDの発症は喫煙歴だけでは決まらない。 その人のタバコに対する感受性によっては 自分でタバコを吸っていなくても受動喫煙によって 発症してしまう場合もある。 COPDになると吸い込んだ空気を吐き出す力が弱くなる。 <高齢者の肺炎を予防する最も良い方法> それは肺炎球菌ワクチンの注射です。 1回の接種で5年間、肺炎球菌による肺炎の予防に高い効果があります。 呼吸器内科などで受け付けていますので、心配な方はぜひご相談下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.01.24 20:08:45
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