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カテゴリ:花粉症・アレルギー・鼻
クローズアップ現代(2007/3/8放送)
急増するアレルギーを克服せよ~花粉症・喘息 治療最前線~ 東京では今年観測史上初めて1月からスギ花粉に飛散が始まりました。 患者にとって辛い季節が長くなる可能性が出ています。 増えているのは花粉症だけではありません。 喘息や食物アレルギーなど今や日本人3人に1人が アレルギーの病に苦しんでいます。 こうした中体質を変えることで 毎回薬を飲まなくても アレルギーが出ないようにする新しい治療法や 世界初のワクチンの研究が進んでいます。 さらに遺伝子を調べることで 一人ひとりにベストな治療法を探る取り組みも始まりました。 遺伝子診断をすると花粉症や喘息だけでなく いろんなウィルス疾患にも対応できる。 アレルギーには花粉症だけでなく 喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど これらをあわせると日本人のうち4千万人が苦しんでいると推定される。 その中で発症の低年齢化も指摘されている。 花粉症を例にとると最近では全国10万人の調査で 小学生で17%、中学生の38%に 花粉症の症状が出たことがあることがわかった。 花粉症は一旦発症するとなかなか治らない事が多いため 低年齢化すればするほど長い間辛い思いをすることになる。 このようにアレルギーの患者が増え続けているのか? 様々な要因がかかわっていることがわかってきました。 ◎∞――――――――――――――――――――――――――――――∞◎ 3月4日(日曜)東京都による10年ぶりの 大規模な花粉症の実態調査が始まった。 都内3つの地域で3600人にアンケートを実施 花粉症の可能性がある人を対象に詳しい診断を行いました。 10年前に比べて患者の数がどれだけ増えているのか 明らかにしようとしています。 東京都ではこうした実態調査に加えて 花粉症増加の原因も探っています。 住宅内の環境や心理的ストレスなど広く情報を収集しています。 花粉症はカラダを守る免疫の過剰反応によって起こります。 花粉などの異物が体内に入ってくると 免疫細胞の一種B細胞がよそ者だと認識します。 そして抗体と呼ばれる武器を作って攻撃します。 何度も大量の花粉にさらされて抗体がたくさん出来すぎると くしゃみや鼻水など花粉症の症状を引き起こします。 ところがこうした抗体の増加はスギなどの花粉が増えた場合だけでなく 様々な要因で引き起こされることがわかってきました。 最近注目されているものの1つは 遠く数千キロ彼方からやってきます。 それは砂漠化が進む中国から舞い上がってくる「黄砂」です。 黄砂は呼吸器の病気に悪影響を与えることが 以前から報告されています。 この黄砂日本にも毎年春先に飛んできます。 この日数は近年増える傾向にあります。 大分県立看護科学大学の市瀬教授は 黄砂が花粉や喘息などの アレルギーを悪化させていると考えています。 スギ花粉の成分に微量の黄砂を混ぜて ネズミの鼻に入れ影響を調べてきました。 すると鼻の粘膜が強い炎症を起こすことがわかってきました。 花粉症の引き金になる抗体の量を測ったところ 黄砂が加わると大幅に増えることがわかりました。 普通の土埃に比べ黄砂は長い距離を飛んでくるため 途中で多くの有害物質を付着すると市瀬教授は考えています。 黄砂が来る回数が増えれば 花粉が飛散する時期と重なって ますます状態が悪化したり 症状がひどくなったりするのでは・・・ ◎∞――――――――――――――――――――――――――――――∞◎ 原因は他にも指摘されています。「感染機会の減少」 昔は身の回りに雑菌が多く 私たちは感染症にかかりやすい環境で育っていました。 それが現在では 衛生状態がよくなり 感染の機会が減ったことで 花粉症が増えたのではないか というのです。 この説のきっかけはイギリスで発表された論文で 1万7千人を対象に花粉症の一種=枯草熱を調査したところ 不思議な結果が出たのです。 それは兄弟の数。 特に年上の兄や姉がいる人ほど花粉症になりにくいというデータでした。 兄や姉が4人以上いる人が花粉症になる割合は8% 1人もいない人に比べ半分以下でした。 なぜこんなことになるのか? 研究者は年上の兄弟が外から雑菌を家に持ち込むため 下の子どもが幼い頃から感染する機会が増え 結果として花粉症になりにくいのではと考えました。 花粉の増加に加えて大気汚染やさらには衛生状態の改善まで 現代的な環境が花粉症の増加をさらに後押しすると考えられているのです しかし これはまだ議論の多いところではある。 ◎∞――――――――――――――――――――――――――――――∞◎ 人間は本来 環境に順応する機能を持っているはずだが・・・ もともとは無害なものには反応せず 環境に適応していく働きだが スギのように本来無害なものまで アレルギーという形で排除してしまうということは そこまで人と環境との関係が歪んできているとの表れではないか。 アレルギー増加の原因説 ・大気汚染 ・感染機会の減少 ・住宅の高気密化 ・ストレス ・食生活の変化 ◎∞――――――――――――――――――――――――――――――∞◎ アレルギーの低年齢化について メカニズムはわかっていない。 2~3才はだんだん免疫ができてくる時期。 未熟な時期に 環境の歪みなどがあると そういった弱いとことに強く出てしまう。 それが1つ 乳児期にアレルギーになりやすくなっている ことにつながっているのではないかと考える。 スギ花粉の増加だけでなく環境因子も考えなくてはいけないとなると アレルギー克服への課題は・・・ 一番はアレルギーの原因となるスギとかダニを除くことだが それはなかなか・・・ 症状をどのように取っていくのか その時何を相手に目標に治療するのか 治療戦略をしっかり立てていくことが重要である ◎∞――――――――――――――――――――――――――――――∞◎ 最先端のアレルギー治療 <遺伝子で探る「効く治療」> 岐阜大学では遺伝子研究が進んでいる。 遺伝子によって効く薬と効かない薬があるのだ。 遺伝子診断によって薬を処方する。 遺伝診断キットによって 今後どんなアレルギーに なりやすいかもわかるため 予防策を講じることもできる。 一人ひとりにあった治療を遺伝診断によってやろうとしている。 岐阜大学では外来で行われており アレルギーの種類は限られているが これからの方向性では とても大事な治療法となると思われる。 <体質を変える新治療法> 一方 一旦アレルギーを発症しても体質を変えることで 再び症状が出ないようにする方法も研究されている。 こうした治療法で唯一実用化しているのは 「減感作療法」と呼ばれるもの ごくわずかな花粉などの成分を2~3年の長期にわたり 少しずつ注射して体に入れ続けることで 体を慣らしてアレルギー反応が起きないようにする方法。 しかし 毎週通院して注射を打つ必要があり 患者の負担は軽くありません。 そこで今 臨床試験を行われているのは「舌下減感作」 花粉やハウスダストなどの成分をパンに染み込ませ 口の中に含むと言う簡単な治療法。 口の中の粘膜からアレルギー物質を少しずつ吸収させることで アレルギーが起きない体質に変えられるという。 注射ではないため負担が軽く 現在 子どもを対象に広げて 臨床試験が進められています。 現在一般では行われていない。 特定の病院で行われており 保険の適用もない。 ヨーロッパではすでに保険診療で行われている。 成人の3人に2人には治療効果もあるということで これからとても期待され普及していく可能性は高い。 <花粉症ワクチン> さらにたった一度の治療で症状を抑える 世界初の花粉症ワクチンの実用化を目指す研究も始まっている。 アレルギーの免疫機能を逆手に取るアイディアだった。 通常 体内に異物が入ってくるとアレルギー反応が起こる。 しかし内部にあるのと同じ物は攻撃しない。 花粉をB細胞そのものに忍び込ませることができれば 敵とみなさなくなるため その後は 外からか花粉が入ってきても攻撃しなくなるはずです。 花粉を細胞の中に入れるにはどうすればいいか・・・ 細胞と同じ膜でできたカプセル(リポソー)を作ることを考えた。 これからは一人ひとりにベストな対策が大切となる お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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