きのこ文学
前回夢野久作の『きのこ会議』のことを書きました。きのこといへば、飯沢耕太郎『きのこ文学大全』といふ本が平凡社新書で出てゐます。古今東西の文学からきのこが出てくる箇所を抜き出して解説を加へてゐるといふおもしろい本。万葉集に宇治拾遺物語、松尾芭蕉や小林一茶から子規や漱石、柴田宵曲『妖異博物館』、南方熊楠『菌類図譜』、ヴェルヌやメーテルリンクやブラッドベリまで出てくる。さらに泉鏡花と宮沢賢治にはきのこの出てくる作品がたくさんあるなんてことが書いてある。探せばたくさんあるものだなあ、と感動しました。ここに取り上げられてない本では恋川春町の『無益委記』にきのこが出てきます。『きのこ文学大全』とおなじやうな趣向の本で、安野光雅と池内紀が編集した『燐寸文学全集』は、古今東西の文学からマッチが出てくる箇所を抜き出してまとめたもので量がすごいです。ぼくも何かひとつのテーマで集めてみようかなあとおもつてしまひました。