ジムニー用ブレーキホースがゴムのわけ(理由)
「アピオさんでステンメッシュのロングブレーキホースは販売していないのですか?」という質問を今でも時々受ける。 ステンメッシュのブレーキホースは見た目もレーシーだし、実際にサーキットを走るロードカーやレーシングマシンに多用されている。ゴムブレーキホースは、ブレーキを踏み込んだ時などにゴムの特性故にその弾力性のある部分が膨張する。これをステンレスメッシュ被覆のホースでは膨張を抑えるために、よりダイレクトなブレーキタッチ感が得られるためサーキットを走る車やオートバイに使用されている。性能面もあるが、何よりも見た目がカッコイイ。以前どこかの車の展示でポルシェ959のカットモデルを見たことがあるが、ブレーキ周りは純正の状態でこのステンメッシュのブレーキホースでフィッティングパーツもアルミの削りだしで赤や青の染色パーツがついていたのを思い出す。 同じ車であってもロードマシンとオフロードマシンでは相反するパーツは多い。その筆頭はきのこタイプなどのエアフィルターである。エアフィルターの重要性は見ただけでホコリの多い場所を走ればオフロードに向いていない事はだれでも理解できると思うが、同じくブレーキホースもオンロードでは向いているパーツもオフでは向いていないのである。ご覧の通りアピオで販売しているブレーキホースは全てゴムホースである。ロングブレーキホースジムニーJB23/33/43用ロングブレーキホーススズキジムニーJA12/22,JB32用ロングブレーキホースジムニーJA11/71,JB31用ロングブレーキホースSJ30用結論から先にいえばステンメッシュのロングブレーキホースはオフロードを走る車。すなわちジムニーには向いていないので販売していない。確かにステンレスメッシュという言葉の持つ響きではイメージ的には丈夫そうだが、所詮はステンレスメッシュ被覆でしかない。かつて尾上が、レースマシンにステンメッシュのブレーキホースを装着したところ、いつもレース途中でブレーキホースが破断する。それもそのはずだ、サーキットを走るレーシングマシンのブレーキホースがせいぜい動いても少ししか動かず2次元的な動きをするのに対してオフロードマシンではサスペンションの動きが時には桁違いに増える。そしてその動きも三次元的かつ複雑な動きと衝撃を受けるからである。その後レースマシンに通常のゴムホースタイプを装着するとブレーキトラブルは皆無となった。 要するに、ステンメッシュとはいえ中身は結局ゴム(もしくはシリコン)である。 その周りにステンレスのメッシュで覆っているだけで、このメッシュが複雑かつ三次元の動きを繰り返し強い衝撃を受ければあっけなく金属疲労を起こし破断してしまう。そもそも、ブレーキホースの目的は動きのある部間を結ぶ目的があるからこそ金属のブレーキラインではなく、ゴム質の素材が使われているわけで、いかにステンレスメッシュとはいえ、動きのある連結に金属が適しているはずもない。 これらの教訓からオフロードマシンにはこのステンレスメッシュが向いていないことが、尾上のレースやラリーなどの実戦によって実証・判明したためアピオではジムニー用として自信を持ってゴムブレーキホースを販売している次第である。