深涙色 ―ふかなみだいろ― 【三】

October 22, 2007

Unconditional Love(無償の愛)だなんて、おこがましくて言えない。

大それていて、言えない。

図々しくて、言えない…。

そんな言葉で片付けられるほど、人間の恋愛は、高尚なものじゃないと思う。

だって、それでも私のどこかには、あなたと結ばれたい気持ちがあるから…。

でも、それでも、これだけは本当だよ。

何よりも、誰よりも、あなたが大切だって、思ってるよ。感じてるよ。

一方通行の、幼くて、拙くて、不確かに揺れる想いだけれど。

失恋するのは、本当は怖いけれど。

あなたを傷つけたくない。

あなたを傷つけるもの、全てを、私が代わりに受けてもいーよ。

この気持ちに、嘘はないから。

『たぶん…透けて見えたんでしょ？

　私の、あざとさ、みたいなもの。

　『ヤグチみたいになれば、好きになってもらえるかも！』

　計算高くて、不自然なものを感じちゃったんだと思うの。

　コースケくんに『無理しなくていい』って言われてショックだったのも、

　自分のエゴ、なんだよね

　『せっかくがんばったのにぃ』みたいに…

　でも、そんなの、コースケくんに関係ないじゃんね？

　そんなの、本当の『好き』じゃないよね…。ごめんね。

　人の心なんて、そんなに簡単じゃないよね？
　
　だから私…ゆっくりコースケくんを好きでいるよ。

　苦しくさせないように。せかさないように。
　壊さないように。大切にね…

　どんな未来でもいいから。

　良いとか悪いは、どうでも良くて。

　だいすきだーって、知った。

　どんな答えでも、私の気持ちは同じだから。

　そんだけ。

　わぁぁ～なんで本当の気持ち伝えようとすると、

　おも～いなんだろ…

　ごめんね、苦しくさせるのやだから、返信いらないからっっっ』

メールを打ったあと、立っていられなくなって…。

私は、道沿いの駐車場に、へたりこんだ。

まだ、涙が流れ落ちてくる。

無償の愛なんて。そんな言葉で飾りたくない。

だって、私、本当は、コースケくんの側にいたいもん…。

欲が、あるんだもん…。

無償の愛なんて。無償の愛なんて。無償の愛なんて…っ

そんなキレイゴトで、恋愛は成立しない。

でも、これだけは言えるよ。

壊したくないの。大切なの。大事なの…。

涙色の視界の向こうで、月の光だけが、優しい。

恋愛って、なんですか？

この先、何が待っていてもいいから。

…このまま、好きでいさせてください…。

…コースケくんを、大好きでいさせてください…。