『距離を置いてたのはね………』



やっと会えた。

限界来ちゃうとこだった。

疑問や謎や不安がつのるのは、

その理由は、

つきつめたら、たったひとつだった。



たった、ひとつだった。



避けてるわけじゃないの。

ただのやきもちと、分からない不安なの。

じゃあ、その湧きあがる気持ちの源泉は………



たった、ひとつ。



『好きすぎて……どうしようもなくなりそうだから……』



あぁ、私、

やきもち焼いてたんだ……

おうちのひとに。

保険屋さんに。



冬の月の夜。

『大好きでいさせて下さい』

そう告げた、同じ場所で。

私は、もう一度告白した。



汚い気持ちで混乱した日々。

その理由。

呆れるくらい……シンプルだった。



『好きすぎて……苦しかったの………』



ぎゅっ。

あなたが、強く手をにぎった。



どうしよう。

熱い。

指先が。胸の奥が。頬が。熱い。



答えは、出てる。

とっくに出てる。



なにがあっても。

なにがなんでも。



私、側にいたい。

この人の、側がいい。



あなたは…………

初めて。

会社の近く、ぎりぎりまで。

手をつないでくれていた。


いけない……そう思って、言った。

『そろそろ…手を離さなきゃ……』

本当は、離したくないよ。

でも…このままじゃ、私、もうきっと……引き返せないよ…


今なら……まだ……戻れるよ。


今なら………。



『えっ？』

あなたが、言った。



………！



思いがけなかった。

手………離さない。





はなれ、られない……………





指を、交互に絡めるつなぎ方に変わった。

ぎゅっと、あなたが手をにぎる。

熱い……熱い……熱い…………


胸の奥が、揺さぶられた。

こんな感覚、初めて。



それが。きっと……証拠なんだ。





もう、あなたがいなかった頃の私には、戻れない……………





駅前で、抱き合って、激しいキスを交わしているカップルがいた。



『本当はね、今、あーゆう風にしたいくらい☆』

『え゛っ!?』



今はだめだから………

ふたりっきりのときに、してね？




バイバイして。

違うホームに立つ。


涙が止まらなくなった。




好きなんじゃん……私。

全部……大好きの裏返しなだけじゃん……………。





もう、止まれないからね……？

覚悟、してて、ね………？