私…悲しかったことがあるんです。



小学生のときかな。中学生？高校生？

よく思い出せないんだけど。


駅に寝てるおじちゃんがいてね、

冬でね、寒くてね、

だから、その辺で適当にマフラー買ってきて、かけたんだよね。

おねーちゃんに、すんごい叱られたの。

『ああいうのは、かまっちゃだめだ』って………


おねーちゃんのこと、大好きだよ。

私のもうひとりの、育ての親だもん。

でも、でもね、悲しかったよ。

何が悲しいって、

いつだって、私達子供や孫を大切に育てあげてくれたおねーちゃんが、

そんな風に言うなんて思わなかったから、すごく悲しかったよ。


それを思い出すとね、

なんだかとても悲しいよ。



当たり前ってなんだろう？

正気ってなんだろう？

正しいってなんだろう？

何が正しくて、何が間違ってるんだろう？


それを、納得いくように、伝えてくれる人がもっといたなら、

犯罪とか。

私みたいな嫌な女とか。

減るような…気がした。


なんとなく、そう思った。


生きてるってなんだろ？

私……何のために生きるだろ？

あぁ、でもね、でもね、私ね、

今、間違ってるけど、生きてるの。


でね、それが嬉しいよ。


どうしよう。


どうしよう。