カテゴリ:論考集
このところの株安、円高。どこまで続くのか分からないということだが、自分の予想としては、そう長続きしないだろう。いずれにしても、日本だけは、経済が逆戻りしていきそうな気配はある。
そもそも賃上げを無理にしても、生産性という点で西欧や新興国に遠く及ばないのが日本である。最低賃金が1,000円超えと浮かれた途端の、市場の大混乱である。先に賃金を上げて、それから生産性を上げよう、というのは完全に逆だ。生産性が上がり、企業が増益となり、それが賃金に及ぶという市場の原理の逆をやろうとしても、そうはいかない。賃金を上げても、実質賃金を見れば物価上昇に追いつかないし、せっかくの増益も長持ちしない。やっていることの本質は、原資もないのにバラマキをするポピュリズム政党と、何も変わらない。 日本の国力の衰退は、もはや不可避であり、どうしようもないことだろう。 考えてみれば、自分たち世代は、戦後の困窮も知らず、高度経済成長によってどんどん豊かになっていった日本で、生まれ、成長してきた。その価値観の中で、大学進学率が上昇したことで生まれた「受験戦争」を勝ち抜き、その価値観が揺らぎ始めたころ大学を出て、それでもそこそこの就職をし、定年退職、日本の衰退期とともに、自らの人生の衰退期も迎えている希有な世代なのかもしれない。 その間に身につけた思想は、日本的個人主義の思想であり、人のことに口出しもしないが、必要以上に寄り添わない。誰かにどれほど感謝されるかということについてさほど価値を置かない。基本的に、自分のことは自分で出来るし、出来なくてはいけない。人間関係は流動的であり、一つの団体やグループに縛られたくない。「絆」という言葉に胡散臭さを感じる。 そういう世代はあらゆる価値を相対化するから、「衰退」することも必ずしも避けなければならないとは思わない。この世界に、自分の身に置き所を探すのは、そんなに難しいことではないのだから、誰それの責任だと言い立てたりもしない。 一人で生きるのを基本とするから、孤独とか孤立が社会問題とは思わない。 恐らく、自分と同じようなメンタリティを持ちつつ老後を迎えたポスト団塊世代は多いのではないか。 ここからしばらく、「衰退期」のあれこれを論じてみたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.08.06 06:09:21
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