[本・映画]の記事一覧 | 有明の月

『歌わないキビタキ　山庭の自然誌』～梨木香歩

鳥も花も木もキノコも、山へ行ってもまったくわからないし覚えられないのだけれど、梨木さんのこのエッセイ、いつまででも読んでいられる。歌わないキビタキ山庭の自然誌 [ 梨木香歩 ]メインは山庭の自然誌なのですが、戦争のことであったり、ご自身の病気のことであったり、お母さまの介護のことであったり、お米の話とか、自然誌以外の部分が心に残る。もちろん、続きが読みたい。ずっと読んでいたい。

2023.12.08

『ぐるぐる七福神』～中島たい子

お正月ではない時期に都内の七福神巡りをする主人公。特に興味があったわけではなく、祖母の家で１つだけ御朱印が押されていない色紙を発見し、入院した祖母の回復を祈って始めるが・・・ぐるぐる七福神（幻冬舎文庫） [ 中島たい子 ]・谷中・武蔵野吉祥・日本橋・港・亀戸・浅草いくつか行ったことのあるが、ほとんど行っていない。この本を思い出しながら行ってみたい、再訪したいと思うところも。主人公が七福神巡りをする中で、いろんな気持ちの変化や気づきがあって、そこがよかった。最後の浅草を巡るところ、総勢六名参加、いいね。

2023.12.06

『年下のセンセイ』～中村　航

職場の後輩に誘われて華道を始めた主人公は、先生の助手として働く８歳年下のセンセイに出会う。恋愛小説ですが、華道の魅力も描かれている。年下のセンセイ（幻冬舎文庫） [ 中村航 ]センセイは高校卒業後、２年間バイト生活と華道教室の助手をしていたが大学進学を決意して地元名古屋から東京へ行くことに。主人公の、失うことを恐れて恋愛にも仕事にも踏み出せない気持ちよくわかる。踏み出せなかったことを後悔しているようないないような（苦笑）主人公はもちろん、踏み出します。

2023.12.04

『リカバリー・カバヒコ』～青山美智子

公園にあるカバのアニマルライド、どこかで私も見ているような…最近は見ていないけれどカバのアニマルライド、人呼んでリカバリー・カバヒコカバだけに治したいところをなでると回復できるというリカバリー・カバヒコ [ 青山美智子 ]どこかの公園でカバのアニマルライドを発見したら、走って近づき治したいところをなでてしまうこと必定。心の中でカバヒコにお願いしますと願うこと間違いなし。そして写真を撮ってしまうことでしょう。どこにいるのかな、カバヒコ（笑）

2023.12.02

『未来地図』～小手鞠るい

いい本でした。途中でこれ小手鞠るいさんだよね、瀬尾まいこさんじゃあないよねと確認しました。中学校で国語を教える久ちゃんのお話。久ちゃんもいい、久ちゃんの生徒たちもいい。未来地図 [ 小手鞠るい ]直くんみたいな人がいるかどうかは別として（笑）あとがきもよかったです。

2023.11.24

『息子が生まれた日から、雨の日が好きになった。』～幡野広志

写真家の方の写真とエッセイ写真が、すごくうまいようには感じられなかった（失礼ですよね、済みません）のですが、最後の古賀史健さんとの対談を読んで納得。納得というか、いいなと思った。息子が生まれた日から、雨の日が好きになった。（一般書　430） [ 幡野　広志 ]文章で写真が自由になる。いい写真が撮れなくても、文章とセットで表現するっていいな。

2023.11.20

『宙わたる教室』～伊与原新

図書館に行ったら、新刊コーナーに一日誰にも借りられずに置いてあって、ラッキーと速攻で手に取りました。伊与原新さんの新作が一番に読めるなんてありがたい。伊与原さんの作品は何冊か読んでいるので、これもまた科学的なことが絡んだ小説であろうことは想像していましたが、あとがきを読んでさらに感動が深まりました。これから読む方は、あとがきは最後に読んでくださいね（笑）そして、青春小説であることは間違いない。年齢はいくつだって青春です。定時制高校の科学部のお話。宙わたる教室 [ 伊与原新 ]情けないことに科学的なお話は私の理解を超えていましたが、とても印象に残ったセリフがありました。「もし・・・・・もしこの科学部が、先生の実験なんだとしたら・・・・。に続く言葉です。ネタバレになるので書かないでおきます。実験ってそうだよなって、忘れてました（汗）

2023.11.18

『リラの花咲くけものみち』～藤岡陽子

最後の方は電車の中で読んだらダメな本だった。涙、止まりませんから。お母さんが亡くなって、すぐに再婚したお父さんが単身赴任でいなくて、継母にネグレクトされて中学時代は不登校に。母方の祖母に救い出され、北海道の大学で獣医師を目指す。リラの花咲くけものみち [ 藤岡陽子 ]最後気になったのは、大学の寮で親友になった綾華の進路かな（笑）聡里と残雪と綾華の続きの物語も読みたい。続編があるといいな。

2023.11.16

『こんな感じで書いてます』～群ようこ

群さんは大昔から読んでいる。このエッセイはその大昔のことも書かれていて、鷺沢萠さんも出てきて懐かしい感じだった。本の雑誌社にいたころの話や、ペンネームの名付け親、目黒考二さんが亡くなられ、その想いをあとがきで書かれている。こんな感じで書いてます [ 群ようこ ]母校（日大の藝術学部文芸学科）で講演したときの話が印象的。物書きになりたい大学生が本を読まない理由・・・今どきではあるけれど、群さんのおっしゃる通り、大学時代にもっと興味のあることに貪欲でいいのではないかと思う。焦り急いでいる大学生の気持ちはわかるけど。プロになりたいなら、作品として書いた方がいいというアドバイスや中身がすかすかの状態で、どうやって文章を書くのか・・・日々の積み重ねが大切に納得。もっと心に余裕のある（特に若者が）時代になればいいと願う。

2023.11.13

『オール・ノット』～柚木麻子

なんかいまいちのめりこめないまま、でも四葉がどうなるのか気になって最後まで。四葉はともかく四葉に深く関わる他の人たちに共感できるところがあまりなくてオール・ノット [ 柚木麻子 ]日本の未来がこんなふうに暗いのは想像つくので、わざわざ読みたくなかったかな。でも、そんな中、登場人物たちの未来には望みあってよかった。

2023.11.11

『わたしたちに翼はいらない』～寺地はるな

中学時代にいじめの被害者と加害者が大人になって出会う。わたしたちに翼はいらない [ 寺地はるな ]加害者がなにも変わらないまま生きていくところがつらい。終わり方は良かった。

2023.11.05

『永遠と横道世之介』上・下～吉田修一

『永遠と横道世之介』下は、今年読んだ本の中でベスト３に入る。本はほとんど図書館で借りているのだけれど、たまに読んだ本が欲しくなる（読み返したい）と購入する。今年、購入した本は１冊（たぶん）だ。そして、『永遠と横道世之介』も欲しいとは思ったが、なにぶん上下巻ともぶ厚く、持ち歩きには適していないので文庫化されるまで待とうか迷う。「横道世之介」はまず映画を観た。とてもよかったので原作を読んだ（文庫を購入）。次に「続　横道世之介」（文庫化にあたり「おかえり横道世之介」に改題）が出たのだが、これは未読で『永遠と横道世之介』上下を読んでしまった。永遠と横道世之介　上 [ 吉田修一 ]永遠と横道世之介　下 [ 吉田修一 ]おかえり横道世之介（中公文庫　よ43-5） [ 吉田修一 ]横道世之介（文春文庫） [ 吉田修一 ]なので、飛ばしてしまった「続　横道世之介（おかえり横道世之介）」は購入することに。注文済み未着。「横道世之介」は大学時代「続　横道世之介」は大学卒業後『永遠と横道世之介』は下宿屋ドーミーで暮らしている（職業はカメラマン）最初の「横道世之介」を読むと（または映画を観ると）世之介が最終的にどうなるのかわかっているので、どうしてもそこを意識してしましますが、あまり気にせずに読みました。それから、どーしても映画の世之介（高良健吾）と祥子さん（吉高由里子）が頭から離れません（笑）それほど、はまり役だったということでしょう。本の話に戻ると『永遠と横道世之介』の終わり方はもう少し違う感じがよかったかなぁ～映画のラストがどうしても思い出されて、本のラストが印象に残らない感じ。知りたいことは書かれているんだけどね。横道世之介 [ 高良健吾 ]

2023.10.30

『夫婦集』～小野寺史宜

４組の夫婦と小説家のお話。４組の夫婦は、夫婦のどちらかが同じ出版社に勤務している。人事部長・営業・編集者・ライツ事業部副部長（ライツ事業部は作品の映像化や舞台化などを担当する部署）夫妻集 [ 小野寺史宜 ]夫婦の話だけれど、編集者、出版社の人事部、小説家のお仕事小説として楽しめた。

2023.10.28

『ヨルノヒカリ』～畑野智美

夜野光は取り壊しが決まっていたアパートが台風で住めなくなり、たどり着いた商店街の手芸店に住み込みで働くことになる。手芸店の経営者で７歳年上の木綿子と同居する。ヨルノヒカリ（単行本） [ 畑野智美 ]作者の畑野さんは手芸店で働いていた経験あり。だんだん、自分の普通は他人の普通とは違うかもしれないと思う人が増えてきたとは思うが、なかなかそう思えない人が多い世の中で苦しむ人は多く、その苦しみを理解してくれる人と出会えることは奇跡に近いのではないかと思う。光と木綿子のまわりの人たちは素敵な人たちだ。改装後のお店の様子と二人の生活を想像しながら、本を閉じた。

2023.10.25

２週連続映画館へ

「アナログ」携帯電話を持たない謎めいた女性みゆき（波瑠）に出会った悟（ニノ）の物語。よかったんだけど、映画として短い時間で表現するのはちょっと無理があった印象も。前半、めちゃめちゃ笑ってる人がいました。確かに笑えたけど・・・後半は泣けます。「ゆとりですがなにか」テレビドラマ見てました。映画が公開されるにあたり、ドラマの再放送をやるだろうと思っていて、実際に深夜にやっていたのですが、録画し忘れました映画は、テレビではできない内容ですが（良い子のみなさんには刺激が強いので）、テレビドラマの続編はテレビドラマでよかったのでは？？？この映画の続き、ドラマなのか映画なのか？？？

2023.10.23

『図書館の神様』～瀬尾まいこ

瀬尾まいこさんのエッセイを読んで、この小説が出てきたので読んでみました。図書館の神様（ちくま文庫） [ 瀬尾まいこ ]非常勤講師として赴任した高校で国語を教える主人公の清（きよ）。国語の先生だけど、国語の先生らしくない。やる気もない。バレー部の顧問をやりたかったのに、部員が一人しかいないまったく興味を持てない文芸部の顧問をやることに。たった一人の文芸部員、垣内くんと活動するうちに変化していく清。授業にも変化が。清の弟、いいやつだなぁ～

2023.10.22

『シェニール織とか黄肉のメロンとか』～江國香織

江國香織さんの本って、あんまり読んでいない。読もうと思って図書館で借りても、読めなかったりして（苦笑）でも、今回は最後まで読めました（笑）シェニール織とか黄肉のメロンとか [ 江國香織 ]三人娘と呼ばれた、民子（母、薫と暮らす小説家）・理枝（自由人）・早希（夫や息子と暮らす）のアラフィフの日々。（　）が多いので、読むのに時間がかかってしまった。特に何も起こらないんだけど、そこがいいのかもね。続きがあったら読みたい。

2023.10.18

『はーばーらいと』～吉本ばなな

新興宗教二世の話。もちろん、現実はもっと違うのかもしれないけれど、この小説（とそのあとがき）を読んで、なるほどと思うこともあった。いろいろと考えるきっかけになった。はーばーらいと [ 吉本ばなな ]つばさやつばさのお母さんみたいな人はなかなかいないとは思うけれど。「ＴＵＧＵＭＩ」懐かしい。記憶によれば、誰かに貸したら戻ってこない本（苦笑）「キッチン」とか当時のばななさんの小説、好きだったな。いま、読んだらきっと昔とは違う感じ方をするのかな。もう忘れているからまた読んでみたい。

2023.10.16

『見えない誰かと』～瀬尾まいこ

瀬尾まいこさんの教師時代のエッセイだ。平成18年12月の出版。最近の小説は読んでいるけれど、エッセイを読むのは初めてだろうか…しかも結構昔の話だ。読んで良かった。何度もうるっときそうになった。昔の先生は、いまだったらNGなんだろうけど、こんな感じの人たちが多かったのかも（瀬尾先生のことではありません）農業高校のエピソードもいいね。見えない誰かと（祥伝社文庫） [ 瀬尾まいこ ]瀬尾さんはこんな人だから、小説も優しいのか。昔の小説は読んでいないものも多いので、いまさらだけど読んでみたい。「図書室の神様」から読まないと。瀬尾さん教え子のみなさんは、瀬尾さんがこんなに有名な作家になって、きっと驚いていることだろう。そして、きっと瀬尾さんと過ごした時代を思い出していることだろう。同窓会とかあったら呼ばれるのかなアゲアゲ２組のみんなから。

2023.10.14

『マリエ』～千早茜

恋愛したいから離婚したいと夫に言われ40歳で離婚することになったマリエ７歳下の由井と出会う。結婚相談所にも登録する。マリエ [ 千早茜 ]いろいろと共感できるところがあって複雑だった（苦笑）読み終わった後、改めてブックデザインを眺めると「マリエ」（香水）のイメージにぴったり。

2023.10.13

『それでも日々はつづく』～燃え殻

なんでこんなペンネームなんだろ（笑）初読みの作家さん。存在を知らなかった。それでも日々はつづくから [ 燃え殻 ]エッセイ、面白かった。笑えるだけじゃあなくて、切ないところも良かった。つづくならまた読みたいよ。

2023.10.10

『ひとっこひとり』～東直子

川上弘美さんの小説「恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ」を読んだ直後だったので、なんて読みやすい本なんだと（笑）でも、読みやす過ぎて、物足りなさも感じてしまう。短編だしね。ひとっこひとり [ 東　直子 ]「ありがとうね」実家に電話したつもりが間違って中学校の担任の先生に電話してしまい、先生の家におじゃますることに。親戚の子とそのお母さんを重ね合わせてしまい、ぐっときた。「話して下さい」少女の人形と話す老女の物語。公園でその老女に話しかける女性。心に残る作品だった。

2023.10.02

『恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ』川上弘美

いきなり挫折しそうになるが、後半は楽しくなった。でも、なんでこの題名なのかがわからない。恋ははかない、まではいいとして。この小説は、どこまで川上さんの私生活が盛り込まれているのやら。恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ [ 川上弘美 ]いわゆる川上ワールドとは違うのかもしれないけれど、これはこれで川上ワールドなのかな。若い方が読むには向いていない小説かもね。人生後半の世代向けかな。

2023.09.30

『獣の夜』～森絵都

短編集。よかった順に・スワン（『ラン』番外編）・ポコ・あした天気に獣の夜 [ 森絵都 ]「スワン」就職祝いに自転車が欲しかったけど、贈られたのはスワンボート。スワンに取り憑いている沼の妖精がしゃべります（笑）「ポコ」たった３ページの短編。何度か読み返しました。「あした天気に」てるてる坊主がしゃべります（笑）

2023.09.27

『それでも旅に出るカフェ』～近藤史恵

「ときどき旅に出るカフェ」の続編。コロナ禍のカフェ・ルーズの物語。それでも旅に出るカフェ [ 近藤　史恵 ]カフェを経営するというのも大変。円（カフェの経営者）には、がんばって続けて欲しいし、旅にも出て欲しい。続きのある終わり方だった。

2023.09.25

『行きつ戻りつ死ぬまで思案中』～垣谷美雨

エッセイは書き慣れていない感じ。でも本音が出ていて、共感するところも多かった。行きつ戻りつ死ぬまで思案中 [ 垣谷　美雨 ]デパートで菓子折りを包装できない店員、コートのお直しをクリーニング店でやるよう繰り返しすすめる待ち針の刺し方を知らない店員。これからプロではない人が多い時代になっていくのだろう。歴史の授業が教科書を棒読みするだけの高校時代の話。日本の資産は人なので、熱中できる面白い授業をする教師が一人いたとして、それを日本全国の高校生がオンラインで見ることができればいいというのは、教科書棒読みの授業よりよっぽどいいと私も思う。ある国の教科書は、配られたらおもしろくてすぐに読みたくなるとか…教科書も授業も興味を持てるものになるといいのだけれど、今の日本では難しいことなのだろう。イモトアヤコさんの中国語講座の番組、見たいな。またエッセイが出たら読みたいです。

2023.09.23

『深く、しっかり息をして』川上未映子エッセイ集

2011年から2022年、Hanakoに連載されたエッセイ集。深く、しっかり息をして　川上未映子エッセイ集 [ 川上未映子 ]川上さんが十代の頃読んだ銀色夏生さんのエッセイの中の言葉が、人生を支えてくれたと書かれていた。本や新聞を読んでいて、そういう言葉に出会うことがある。書き留めておきたいと思い、書き留めたこともあったけど、忘れられない言葉は書き留めなくても頭に残っていて、何度も思い出す。この本にも覚えておきたい言葉がいくつもあった。書かなくても忘れたくないのは、題名の「深く、しっかり息をして」これからも川上さんのエッセイ、読み続けたいです。

2023.09.20

「ありがとう。」～鷺沢萠

再読なのか再再読なのか、再再再読なのかわかりませんが・・・全部再読したわけではなく、読みたいとこだけ。ありがとう。【電子書籍】[ 鷺沢　萠 ]エッセイです。「花束」という章は1ページと6行の短い文章なのだけれど、短編映画のラストみたいだ。あとがきが2000年秋となっている。2004年の春、鷺沢さんは35歳で亡くなった。文庫の解説は酒井順子さん。

2023.09.13

『メディコ・ペンナ　万年筆よろず相談』～蓮見恭子

引き出しで眠っている万年筆を使いたくなりました。何本もあるのに使っていなくて…インクも何種類か買ってあるのに（反省）「メディコ・ペンナ」神戸に実在するなら行ってるな（笑）函館でも行ってるかも。ただ行きたいだけ！？まぁ、東京とか横浜とか鎌倉だったらより近くていいけど。メディコ・ペンナ　万年筆よろず相談（一般書　363） [ 蓮見　恭子 ]「あなたの人生が変わります　万年筆よろず相談」ですよ。行くでしょ。人生が変わらなくても、万年筆の相談にはのってもらいたいなぁ～

2023.09.11

『墨のゆらめき』～三浦しをん

ホテルマン続力（つづきちから）と書道教室をやっている遠田薫の物語。墨のゆらめき [ 三浦しをん ]チカラの勤める新宿の老舗ホテル、とても魅力的。泊まってみたい。カネコ氏という薫の飼っているネコも出てきます。やっぱりいいなぁ、書道。読みやすいです。代筆屋コンビで続きあるかな？二人が子ども達と動物園に行ってとこ想像しちゃう。

2023.09.09

「蝶の墓標」～弥生小夜子

こんなにたくさん人が死んでしまう本、久しぶりに読みました（苦笑）でも、先を読むことを止められず、あっという間に読了。蝶の墓標／弥生小夜子【1000円以上送料無料】実際にあってはならない話だからこそ、小説で楽しめる。

2023.09.08

『人魚と過ごした夏』～蓮見恭子

シンクロではなくて、高校生のアーティスティックスイミングのお話。図書館の新刊コーナーにあって、急いでいたのでなんでもいいやと思って手に取りましたが、とてもよかったです。青春物ですが、大人が読んで楽しめるお話でした。人魚と過ごしたのは西島由愛。学校の友だちなんて、卒業すれば終わりと由愛。由愛と茜、卒業後、会わなくなってもいつかまたつながる気がする。人魚と過ごした夏 [ 蓮見恭子 ]終わり方が特によかったな。

2023.09.06

『くもをさがす』～西加奈子

コロナ禍、カナダで乳癌になった西さんが日本に戻ることもできずカナダで治療、手術をする。カナダの医療制度、考え方、支えてくれた友人、家族、いろいろ考えさせられた一冊。涙なしには読めない。くもをさがす [ 西加奈子 ]医療従事者とのやり取りが、関西弁なところがおもしろい。西さんが英語を日本語にすると関西弁になるんやね（笑）西さんは、日本でテレビに出演されていたようで、見られずに残念。

2023.09.03

『息』～小池水音

「息」と「わからないままで」の２編どちらも喘息や家族の自死、遺族の想いが描かれている。息 [ 小池水音 ]「わからないままで」は時系列ではないし、登場人物の名前が出てこないので読みにくく、途中で前の部分を読み返したりしたが、最後まで読んで、最初から読み直したいと思った。どちらも明るい話ではないけれど、心には響いた。

2023.08.22

『赤い月の香り』～千早　茜

「透明な夜の香り」の続編。調香師の朔のところで働くことになった満。庭の描写は、匂いを感じて癒される。赤い月の香り [ 千早茜 ]透明な夜の香り [ 千早茜 ]最後の朔のひとことにぐっときた。続編があるかはわからないけど、満は源さんと一緒に働いている気がする。

2023.08.20

「水車小屋のネネ」～津村記久子

ぶ厚い。でも通勤時間を使って４日で読了。1981年に18歳の理佐が8歳の妹律を連れて家を出る。職安で見つけた蕎麦屋の求人には「鳥の世話じゃかん」と書かれていて・・・水車小屋のネネ [ 津村記久子 ]次の章は10年後の1991年、その次が2001年、次が2011年、そしてエピローグは2021年。姉妹と姉妹に出会う人々の温かな人生を描いている。あ、ヨウム、ネネの存在もかなり重要。題名「水車小屋のネネ」だしね。毎日新聞で連載していたのかな。未読の方はぜひ。退屈な本が苦手な人にはちょっと厳しいかなぁ～私はまったく退屈しませんでしたが。津村さんの本であることにもしみじみとした。誰かの役に立ちたいよね。

2023.08.11

『うたかたモザイク』～一穂ミチ

短い短編がたくさんあって、テイストがガラッと変わるので頭の切り替えが必要。うたかたモザイク [ 一穂ミチ ]印象に残ったのは「ごしょうばん」だが、琴線に触れたのは「sofa & …」sofaが擬人化されているんだけど、思わずうっときてしまった。「神さまはそない優しない」は事故で亡くなったら猫になっていて、妻に拾われるお話で、関西弁でおもしろいと思いながら読んでいたらこんな結末だったのかと。目次を見るとそれぞれの短編がsweet、spicy、bitter、salty、tastyに分類されていた。

2023.08.10

『うるうの朝顔』～水庭れん

よくできている小説で感心しきり。この作品で第17回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。新人とは思えない構成だった。うるうはうるう年のうるう。うるうの朝顔の種をまき花が咲くと、１秒だけ違う過去を再体験して、心の不調和が修正されるという。でも主人公の種だけは何度植えても何故か咲かない。うるうの朝顔 [ 水庭れん ]心の不調和が修正されて、すべて問題が解決されるわけではないけれど、前を向くきっかけになったらいい。

2023.08.08

『黄金比の縁』～石田夏穂

理系で会社の花形部署に配属された主人公だが、人事部新卒採用チームに左遷される。今どきの就活を採用側から描いている。ただし、左遷された彼女の復讐目線で。黄金比の縁 [ 石田夏穂 ]主人公は題名の通り「黄金比の縁」で合否を決めていくのだが、そんなことはもちろんおくびにも出さない。そして人事部内での実績を積み上げていく。短いので、あっという間に読み終わります。就活生が読んだら、そんなことで合否を決められてもっていう内容です。でも、私もそんな理由でという採用理由を耳にしたことがあります。とてもここには書けませんが（苦笑）採用面接をやったことのある人に聞いたら「一緒に働きたいかどうか」は考えると話していましたが・・・

2023.08.06

『Row&Row』～村山由佳

広告代理店に勤めているエリート妻と美容師（自営業）の夫。郊外の一軒家を建てて（１階は美容室、2階は自宅）住む。夫婦の視点が交互に描かれている。Row&Row [ 村山由佳 ]妻は自宅でほっとできない。夫は妻がそんな風に感じているなんて思ってもいない。不倫の小説で、渡辺淳一か？って感じの描写もたくさん出てくる。基本的に妻へ感情移入してしまうよね。いろいろ思うことはあるけど。それだけ、夫がダメってことかな（苦笑）

2023.08.04

『夢を見ずに眠った。』～絲山秋子

銀行員の妻とうつ病になって無職の夫。大学のサークルで知り合って結婚し、熊谷（妻の実家）に住んでいる。妻は北海道に単身赴任することに。夢も見ずに眠った。【電子書籍】[ 絲山秋子 ]まぁまぁ厚みのある本だったけど、あっという間に読了。舞台が馴染のある熊谷。行田のさきたま古墳群も出てくる。埼玉県内だけでなく、全国いろんな土地が出てきて興味深い。夫婦のどちらの気持ちも描かれている。別れてしまうけど、読後感もいい。

2023.08.03

『ひとごと』～森　浩美

著者は女性かと思ったら男性（あとがきで知る）。８編の短編でサクサク読める。どの話にも同じ児童虐待のニュースが出てくる。ひとごと【電子書籍】[ 森　浩美 ]「愛情ボタン」のラストが目に浮かぶ描写。「捨てる理由」のラストはほろっと。続き読みたいなと思うお話も。

2023.08.01

『沖で待つ』～絲山秋子

再読かなぁ～と思ったけど…？？？短編２つ（単行本）「勤労感謝の日」と「沖で待つ」文庫はもうひとつ入っているみたい。沖で待つ（文春文庫） [ 絲山秋子 ]「勤労感謝の日」は無職の主人公がお見合いする話。ほのぼの系ではなく、毒吐き系？です。「沖で待つ」は住宅設備機器メーカーの営業職として働いていた著者の経験が活かされた作品。全国展開で転勤ありの職場の同期の男女の友情が描かれている。お仕事小説としても楽しめる。

2023.07.31

『永遠のおでかけ』～益田ミリ

これは再読な気がするが、再読として、再読してよかった。著者のお父さんが永遠のおでかけ、つまり亡くなった話がメインです。永遠のおでかけ（毎日文庫） [ 益田ミリ ]益田ミリさんのエッセイは、心に沁みるなと読みながら思いました。ところどころ読み返したりして。印象に残ったのは、お父さんとのエピソードはもちろんなのですが、そのとらえ方というか表現がいい。「最後のプレゼント」の章に中学生のミリさんのお誕生日にお父さんがブティックのショーウィンドウに飾られていたセーターを買ってきてくれたエピソードが書かれていた。ミリさんは、当時のお父さんの姿を想像できる未来も一緒にもらったとある。つい私までお父さんの様子を想像してしまった。それから時々、章の終わりに大きな文字で書かれている文章のうち、今回は小学校の桜の話がよかった。澄んだ小学校の桜が目に浮かぶ。学校は自分の母校ですが。「しあわせしりとり」も読みました。しあわせしりとり [ 益田ミリ ]

2023.07.20

『求めよ、さらば』～奥田亜希子

再読のような？？？ま、再読だとしても忘れているわけで…バイト先で知り合った二人。やがて結婚するのだが、子どもができずに不妊治療をしている。そんなある日、優しい夫（誠太）が離婚届けを置いて家を出る。求めよ、さらば【電子書籍】[ 奥田　亜希子 ]誠太みたいな人、なかなかいないかと。終わり方がいい。

2023.07.18

「かっかどるどるどぅ」～若竹千佐子

タイトルの意味はさっぱりわからない。本を開けた際、字体が読みにくいと思いました。読んでいるうちに慣れましたが。東北弁も読むには厳しいかなと思いましたが、「あまちゃん」再訪放送を見ているので、それほど気にならず。ぜんぶ東北弁というわけではないので。かっかどるどるどぅ [ 若竹千佐子 ]途中からはおもしろくなったが、最後の章の書き下ろしはタイトル同様、私にはよくわからず。

2023.07.14