有明の月

[本・映画] カテゴリの記事

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  映画『横道世之介』

  ラジオを聞いていたら、この映画が紹介されていて観たいなと思って観てみました。長い​横道世之介【動画配信】​ネタバレせずに感想を述べるのはなかなか難しいのですが（そう考えていたら観てからだいぶ時間が経ってしまいました）世之介は普通の人で、でも映画の主人公になるのですから、そこは普通の人にはない魅力があるわけで…その辺を高良健吾くんがうまく演じていると思う。お金持ちのお嬢様、祥子さんを演じる吉高由里子さんも、この役にぴったりで良かった。脇を固める俳優陣がすばらしい。少ししか出ていなくても、抜群の存在感だ。主演の二人の良さを存分に引き出している。最後は反則技と思えないこともなかったけど、世之介のお母さん（余貴美子さん）の手紙に思わず涙が溢れました。過去と現在が交錯するなかで、過去のできごとをそういうことかと思うのだけれど、後半（世之介の祖母が亡くなった後）部分は再度それを確認したくなり見直しました。なんで、二人が会わなくなってしまったのかがよくわからなかったけど、それがわからなくても、まぁ世之介と祥子さんだからそういうこともあるだろうと思うことにしました。原作を読んだらその辺のことがわかるのかなぁ～それとも映画と同じように想像にお任せしますなのかな原作も読んでみようかな。​横道世之介 文春文庫 / 吉田修一 ヨシダシュウイチ 【文庫】​

  2020.05.04

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  『近いはずの人』～小野寺史宜（ネタバレあり注意！）

  ​​​​33歳の主人公北野俊英。妻を事故で亡くす。毎晩ビールを大量に飲みながら妻のガラケーのロックを解除すべく、４桁の暗唱番号を0000から順番に打ち込んでいく。ある日、ロックが解除され、妻の秘密を知ることになる。​近いはずの人 （講談社文庫） [ 小野寺 史宜 ]​ネタバレするので、文字を薄くします。反転するとよく見えます。妻が頼るべきは夫だった。頼られた8さんは、それを教えてあげられればよかったのにと思う。８さんの後悔や苦しみは、婚約者の口からしか語られていないが、８さんが北野くんをバドミントンに誘い、対戦するシーンは印象に残った。北野くんが、今回の経験を踏まえて（乗り越えて）前に進めるのではと思わせるラストのエピソードというか、終わり方が良かった。

  2020.03.16

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  『さいはての家』～彩瀬まる

  ​​​少し前に町田そのこさんの​「うつくしが丘の不幸の家」​という本を読みました。今度は、彩瀬まるさんの「さいはての家」です。どちらの小説も、短編の連作で一軒家の住人が入れ替わっていきます。不幸の家は話がどんどん遡っていき最後に最初に戻りますが、さいはての家は、住んだ順番にストーリーが展開していきます。​さいはての家 [ 彩瀬 まる ]​不幸の家よりさいはての家の方が怖いです。私の場合、何が怖いって「​ねずみとへび​」です。この２つが苦手な人はちょっと厳しい描写があるので、覚悟して読んでくださいね。「はねつき」駆け落ちした年の差のある不倫カップル「ゆすらうめ」逃亡中のやくざと事情を知らない元同級生（とその母）「ひかり」身を隠し生きてきた新興宗教の元教祖だった老婦人「ままごと」両親の呪縛から逃げる姉妹「かざあな」妻や子から逃げた男後半の２つ「ままごと」と「かざあな」が良かった。「ままごと」は姉はさいはての家に住んだ時から、妹もそんな姉の姿に感化されて前向きな終わり方だし、「かざあな」も光が見えたのではないだろうか。​​​​​​​ネタバレなところは、文字を薄くしました。反転させればよく見えます。「​ねずみとへび​」はネタバレでもないか（笑）彩瀬さんの才能を感じる一冊でした。

  2020.03.09

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  『今日もお疲れさま　パンとスープとネコ日和』～群ようこ

  あっという間に読み終わりました。このシリーズでいちばん泣けたかも…いままでの本（このシリーズ）で泣いたかは覚えていないけど（笑）​今日もお疲れさま　パンとスープとネコ日和 [ 群ようこ ]​ドラマを見ているので、どうしてもアキコは小林聡美さん、喫茶店のママはもたいまさこさんで、お店兼自宅とかお寺とか、ドラマで見た風景でしか脳内で物語が変換されないのですが、ドラマのしまちゃんがどんな女優さんだったか思い出せない。ググったら出てきた​伽奈さん​​パンとスープとネコ日和 Blu-ray BOX [Blu-ray]​モデルさんなんだね。映画「プール」にも出ていたのか…最近は映画とかには出ていないのかな？それはさておき、本の感想。今回もまた予想を裏切らない展開です。しまちゃんとシオちゃんの関係は、もう少し発展があるといいですね。次回のお楽しみってところでしょうか。

  2020.03.05

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  『わるい食べもの』～千早 茜

  千早さんの食にまつわるエッセイ。千早さんの胃、すごい　とてもマネできませんたくさん食べられる人を見ていると、生きることにも前向きのような気がする。（これは本の感想ではなくて、身近な人々の感想）​わるい食べもの [ 千早 茜 ]​食に対する姿勢が同じ人と暮らす（千早さんの場合、殿…夫）っていいよね。食に関するエッセイなのだが、食に関係ない文章が時々刺さった。

  2020.03.04

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  『雲を紡ぐ』～伊吹有喜

  「雲を紡ぐ。光を染めて、風を織る。」　​雲を紡ぐ [ 伊吹 有喜 ]​不登校になった美緒（高校生）、職場で問題を抱える真紀（教師）、会社がなくなりそうな広志（エンジニア）親子関係も夫婦関係もうまくいかず。母親とけんかした美緒は父方の祖父、紘治郎の元へ（盛岡）衝動的に家出。ホームスパンの魅力にはまっていく美緒。美緒、真紀、広志の家族だけでなく、亡くなった祖母、香代と紘治郎の関係や、紘治郎の広志へも思いもわかってきて、最後の方は泣けました。宮沢賢治の物語や、イギリスのお話はよく知らないし、わからないけど、盛岡には行ってみたい。

  2020.02.28

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  『まずはこれ食べて』～原田ひ香

  題名、表紙（表・裏）、著者からして、おいしい料理が出てくる小説で間違いない。筧さん（オフィスで雇った家政婦さん）の作る料理はどれもおいしそう。作り方を聞かれ、筧さんが教えてくれる場面を読んでいると、作りたくなる。​まずはこれ食べて【電子書籍】[ 原田ひ香 ]​↑電子書籍しか出てこなかったけど、読んだのは紙です。料理のくだりだけでも読む価値はありますが、最後の方は、少しサスペンス風でどきどきしました。小説には出てこないけど、田中くんが買った家にみんな集まって筧さんの料理を食べる光景が目に浮かびました。

  2020.02.26

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  『甘夏とオリオン』～増山 実

  初読みの作家さんです。上方の落語家さんのお話。師匠の桂夏之助が失踪するところから物語は始まる。夏之助の弟子は小夏、若夏、甘夏の３人。古典落語がいくつも出てくる。大阪弁なのと、セリフ（会話）が長いので、若干読みにくいというか読むのに時間がかかる。​【エントリーでポイント10倍！（2月16日01:59まで！）】【中古】単行本(小説・エッセイ) ≪日本文学≫ 甘夏とオリオン 【中古】afb​上方落語は以前から観に行ったいと思っていた。チケットを取ろうと思って、調べたりしたこともあったのだが、まだ実現していない。ぜひ実現したい。できれば着物で出かけたい。文化とか芸能というのは「本来は見えないものを、見えるようにすること」小説もそうだよね。見えないものを想像させる力を努力して養っていく、それには常識や世の中のことを知らなくてはいけない。

  2020.02.19

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  『クローゼット』～千早茜

  読み始めてすぐにやめようかと思ったけど、やめなくてよかった（笑）主な登場人物は、大量の服を収蔵する私設美術館の修復士、学芸員、館長、カメラマン、そしてデパートのカフェでバイトをしている服が好きな青年。読んでいると、舞台である美術館の様子が脳内に浮かんでくる。洋服の歴史など専門的な内容も興味深い。巻末にあった京都服飾文化研究財団を検索すると、まさに小説に出てくるような洋服の写真が目に飛び込んできた。​クローゼット [ 千早 茜 ]​芳がバイトから帰って疲れていてもコートにブラシをかけるシーンが好き。コートのブラシかけは冬の楽しみ、靴磨きも趣味って。それだけ服や靴に愛着を感じ、大切にできるってすてきだね。私にはなかなかできない。お気に入りの靴のためにお手入れセットを購入したものの、１回しか使っていないし（苦笑）普段は汚れを拭いたりスポンジの靴磨きでなでる程度。ただ、２日連続では履かないようにしているけど。服はなぁ～いい服を手入れして長く着ることができれば理想だけど、いい服を買えないし、手入れも芳のようにはね、できないかな。雛倉さんが、芳にかけた言葉「人との関係だって同じ、丁寧に扱えば長持ちする関係を築ける。まずは相手をよく見ること」そうそう、相手のことをよく見ることは大切だよね。「大事にしまい込んでいたって駄目、お気に入りの一張羅も、たまには、えいやって着てやらないと。異素材の、意外な服と合ったりするかもしれないよ」そうなんだよねー、私の着物や帯ももっと着てあげないと芳が美術館で働く（ボランティア）なかで、成長していくなかで、纏子や晶にも影響を与えていく。３人のこれからがとても楽しみだ。

  2020.02.10

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  『家族パズル』～黒田研二

  短編が５つ。どれも泣かせる家族のお話。最初の「はだしの親父」を読み始めて、だめだこれ、泣かせるために書いてるやつじゃんと読むのをやめようと思いましたが、通勤途中で他に本もなく結局読み続けました。泣けましたが、私が読みたいのはこういうんじゃあないもっと深く人間性を深く掘り下げた小説が読みたいなぁ～って。でも、それ以降の物語は、人間性を深く掘り下げているかどうかは別として、１話目よりは抵抗なく読めました。２話目の「神様の思惑」が１話目とはがらっと違う話だったからかな。​家族パズル [ 黒田 研二 ]​３話目「タトウの伝言」はちょっとね…無理があるかな（苦笑）コメディ４話目「我が家の序列」も無理はあるけど、犬（表紙の犬）がけなげでかわいいからOK（笑）一番、ぐっときたのは最後の「言霊の亡霊」人（家族に限らず）に対して使ってはダメな言葉ってあるよね。まったく見ず知らずの人に電車の中で小説に出てくるような言葉を言われて、ものすごーくショックを受けたことがあります。電車の中で座席の前に立っていて、前の席が空いたので座ったら、私の後ろに立っていた若い女性から言われました。女性は一緒にいた彼氏を座らせたかったのに、私が座ったことに対し小説に出てくるような言葉を使ったのです。小さい声でしたが、明確に聞こえました。その女性に「言霊の亡霊」について教えてあげたかった。彼女が母親になったとき、子どもに対しても何も考えずにそんな言葉を使うかもしれないから。響かないかもしれないけどね。

  2020.02.05

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  『うつくしが丘の不幸の家』～町田そのこ

  本当に不幸な話だったらどうしようと思いつつ読んでみると、そんなことはありませんでした。題名だけ見て、不幸な話は読みたくないと思った方、ぜひ読んでください（笑）短編連作です。同じ家に住んだ、いくつかの家族の歴史を遡っていきます。一話目を読み終わった段階で、友達に薦めました。後半、何度も泣けたなぁ～​うつくしが丘の不幸の家 [ 町田 そのこ ]​お隣の荒木さんがいい味出しています。脳内には、枇杷の木があって、お隣が荒木さんちの風景がずっと浮かんでいました。３階建ての不幸の家より、荒木さんちの方がより鮮明に想像できました。大昔、都内に住む友達が枇杷の葉が欲しいというので、何に使うのかと聞いたら「湿布」とのこと。着付教室の友達に話したら、職場に枇杷の木が庭にある人がいるから聞いてみると言ってくれて、枝ごと持ってきてくれたことがあります。枇杷の木を見ると、いつもこの出来事を思い出します。この小説にもたくさん枇杷の木のことが出てきて、畑に枇杷を植えたくなりました。町田そのこさんの本はこれで３冊目。全部読んでいます。これからも読みたい作家さんです。

  2020.01.29

• 映画『ラストレター』

  ストーリーとか設定はともかく、全体的な雰囲気が好きな映画でした。風景であったり、流れとか間とか音とか映像美とか。映画館で観るのがお薦め。ただ、こういう映画に魅力を感じない人もいるでしょうね。俳優さんたちの演技力も大きいかもしれないけど、監督のこだわりが感じられる映画。

  2020.01.28

• 映画『愛がなんだ』

  最近ではなく去年映画館で観た映画。角田光代さんの原作はたぶん読んでいない。（読んだとしたら覚えていない。）観たときにブログに感想を書いていないと思うけど、日経の夕刊に監督のお話が載っていたので思うことがあったので書いておきます。この映画は観たくて観にいったのではなく、観たい映画と２本立てでした。まぁ、せっかく２本立てだし観ないという選択肢はないので観ましたが、私にはテルコとマモちゃんの恋愛事情は刺さらず。響いたのは、ナカハラくん絡みのシーンばかりでした（笑）映画を観終わったら、マイクを持ってお礼を述べている人がいました。近くまで来たから寄りましたとのこと。誰だかわからず。今泉力哉監督でした（苦笑）今泉監督のインタビュー記事の中で「世の中のカップルも、みな互いの思いに差があるんじゃあないか、50対50ではなく、どちらかが強く思っている。」とありました。なるほど、この映画もそうだよね。カップルだけでなくて、友達関係でもあるよね。そんなこと意識しない関係の方が多いけど。監督が誰かで映画を観ることもある。インタビュー記事を読んだことで、今泉監督がどんな映画を撮りたいのかわかった気がする。

  2020.01.27

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  『希望という名のアナログ日記』～角田光代

  角田さんのエッセイ、いいなぁ～と思いながら読む。​希望という名のアナログ日記 [ 角田 光代 ]​特に、旅（旅行中の食事も含めて）、マラソン大会、日常生活の描写が好き。子どもの頃から学生時代の話も知っていることがあっても、さらに発見があって興味深い。うまいなぁ～と思う。さすが子どもの頃から小説家を目指していただけのことはある。年を重ねて変わっていく気持ちとか、今だからわかることにも共感。韓国の航空会社の機内食、食べてみたいわぁ～（笑）万年筆の話には泣けました。NAHAマラソンも聖地巡礼などの旅も、自分が走らなくても、行かなくても、角田さんのエッセイで十分堪能できる。海外は自分で行っても角田さんのような旅はできないから、角田さんが行ってレポートしてくれた方が、楽しむことができる。マラソン大会は、本を読んでいると自分も参加したいと、５年くらい前までなら思ったかもしれない。今はとてもフルマラソンに出ようなんて思わないので、角田さんが走り続けてくれていて、ありがたいです。というわけで、これからもアナログ日記、大歓迎です。

  2020.01.22

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  『私の家』～青山七恵

  祖母の法事で集まる家族や親せき。祖母、大叔母、父、娘（姉・妹）、伯父…章が変わると、主人公が変わり、時代も遡ったりするので、少し読みにくい面もあるが、許容範囲。同じ家に暮らした記憶と、今の「家」​私の家 [ 青山 七恵 ]​例え家族であっても分かり合えないし、片方は覚えている出来事も片方は覚えていなかったりもする。自分の思い通りにはいかないけれど…伝わらなくても、相手を思っていることも多いだろう。最近「空き家」が増えているけれど、人が住んでいるから「家」は「家」なのかなと思う。記憶の中の「家」も人が住んでいた頃の「家」だ。

  2019.12.28

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  『六月の雪』～乃南アサ

  ​​​​台湾の歴史や、風土や人のこと、あまり理解できていなかったので、この本を読んで知ることができたのは良かった。（著者である乃南アサさんは、東日本大震災で日本が台湾から200億円という義援金を受け取ったことをきっかけに、2012年以降、40回以上台湾を訪れ取材しているとのこと）​​​​六月の雪 [ 乃南 アサ ]​ただ残念だったのは、小説のストーリーの中でいろんな問題が解決しないことや、最後の衝撃的な出来事が本当に必要だったのか？という疑問が残る点。それから主人公ももう少し大人（設定の年齢はそのままでいいけど）だったら良かったかな。​

  2019.12.23

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  『また明日』～群ようこ

  ぶ厚いなと思ったけど、読みやすく、あっという間に読了。こんな言い方はどうかと思うが、長年、群ようこさんのエッセイや小説を読んできて、ある時期までエッセイはおもしろいけど小説は…と思っていたが、かもめ食堂以降、れんげ荘シリーズ、パンとスープとネコ日和、そしてシリーズものではない今回の長編「また明日」と小説＞エッセイになりつつある。小説の中でも、群さんのエッセイ的要素を（群さんのお人柄も含め）感じることができるし、いい方向でそれが活かされているように思う。​また明日 [ 群ようこ ]​小学校時代の同級生５人の子どもから還暦に至るまでの物語が描かれ、最終章で５人が再会する。表紙の絵は子ども時代と再開後。ヤヨイ以外は面影がないような裏表紙や表紙の折り返し、挿絵もいいね５人はそれぞれ同じ学校時代を過ごすけれど、お互いに知らない人生を歩む。再会後は、あっという間に距離が縮まった。子ども時代よりいい関係が築けることもある。でもそれはきっと子ども時代の記憶があるからこそなのかもしれない。切れたままの縁がつながることなく終わることが大半のなか、縁がつながって再開後も続いていく幸せが描かれている。私もこのブログが更新される頃、小・中学生時代の友達４人で函館旅行を楽しんでいるはずです。

  2019.12.09

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  『さんかく』～千早茜

  それほど食べることに興味がないのだけれど（好き嫌いはほとんどない）料理に関する文章を読むのはとても好きで、読むと作ってみたくなる（たいてい作らないけど…苦笑）この本の高村さんが作る料理はどれもとても魅力的それだけでも読む価値がある本だ。​さんかく [ 千早茜 ]​最近、カフェとか食道をやっていたり実在するお店がでてくる小説が多い。そんな中、今回の小説のように登場人物が自宅で作る料理シーンを読むのが一番好き。もちろん、この本の中に出てくる資生堂パーラーと思われるパフェだって、食べてみたいけど。それはスイーツだし、別格。家でパフェ作らないし。高村さん（女性）にはとても共感できる。華さんにも共感できるところがある。伊東くん、ダメだと思うよ。私が高村さんだったら、伊東くんのこと好きになってしまうかもしれないから（笑）「ヒトってさ、自分にとって都合の悪いものを変だって言うんだよ」というセリフに、そうなのか…私も「変わっている」と思われていることが多かったような気もするけど、相手にとって都合の悪い存在だったのかな？？？なんて思ったりして（笑）

  2019.12.05

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  『はんぶんのユウジと』～壇蜜

  ​壇蜜さん、小説も書くのね。あ、ご結婚おめでとうございます。読みながら、書き手のことを思ってしまうなぁ～壇蜜さんだしと思ったけど、最後の方は気にならなくなった。短編がいくつか入っているのかと思ったら、全部つながっていました。​はんぶんのユウジと [ 壇 蜜 ]​見合いして結婚したら、夫がすぐに亡くなってしまう。分骨された遺骨と暮らす日々。並行して、夫の弟の語りが入ってくる。後半、短い章が続く。ラストがいいかも。​いろんな呪縛から解き放たれて、イオリさんに幸せになって欲しいな。​​​

  2019.12.03

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  『しずかな日々』＆『るり姉』～椰月美智子

  会社の同僚（普段、新聞や本を読むのが苦手だそう）おすすめの一冊。何も起こらないけど、感動しましたとのこと。さっそく読んでみました。​しずかな日々 （講談社文庫） [ 椰月 美智子 ]​主人公が大人になって「しずかな日々」を過ごせるのは、少年時代におじいさんと仲間と過ごした日々があったからなのかな。担任の先生にも恵まれて。なかなか、いまどきの都会の小学生が過ごせないような日々が描かれていて、ノスタルジックな雰囲気も漂う。ついでに椰月（やづき）さんの本をもう一冊。​るり姉 （双葉文庫） [ 椰月美智子 ]​「しずかな日々」と比べて、にぎやかな日々（文章）だ。しずかな日々（文章）に慣れていたので、ちょっと面喰う。「るり姉」が大好きな姪３姉妹、夫、姉が語る日常と非日常。どちらが好きかと言われれば「しずかな日々」かな。

  2019.11.27

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  『育てて、紡ぐ。暮らしの根っこ』と『きみはだれかのどうでもいい人』

  図書館で借りたこの本を欲しくなった理由は…​育てて、紡ぐ。暮らしの根っこ [ 小川 糸 ]​その前にこの本を読んだからに違いない（苦笑）​きみはだれかのどうでもいい人 [ 伊藤 朱里 ]​小川糸さんの『育てて、紡ぐ。暮らしの根っこ』は、小川さんの日々の習慣と愛用品がオールカラーの写真入りで紹介されている。こんな暮らしに憧れるけど、実際にはできそうにもない。それでも、想像しているだけで穏やかな気持ちになれる。一方、伊藤朱里さんの『きみはだれかのどうでもいい人』は、県税事務所で働く女性４人の話。それぞれの視点で同じ場面が語られている。これでもかっていうほど、こんな職場では働きたくないという気持ちにさせる。でも、途中でやめようとは思わず最後まで読み切った。世の中の職場が、働くということが、多かれ少なかれ人と関わっていかなければいけない環境の中で、こんなことがあるという現実だ。どう、それに折り合いをつけていくのか…人間関係の良好そうな職場に転職するという選択肢もある。ただ、転職してみないと良好かどうかはわからない場合はほとんどかもしれない。この本のように公務員の場合、なかなかその立場を捨てるには勇気がいることだろう。ただ、本にも書いてあるように、定期的に異動があって、新しい職場で新しい仕事を一から覚えるのは大変なことだろうが、人間関係もリセットできる。友人（地方公務員）の場合、人間関係が嫌で定期的な異動を待つことなく、昇格試験を受けて異動したと話していた。昇格すると異動になるそうだ。私も現役の頃、公務員（といっても事務職ではない）試験をいくつか受けた。結局、筆記試験は通っても、面接で落ちたりして、公務員になることはなかったが、公務員（事務職）になった友達二人は、いまでも仕事を辞めずに働いている。私は転職をしたが、公務員だったら嫌でもそう簡単には辞められないんだろうなーと思ったことがある。いや、本当に嫌なら辞めているとは思うが。心身の健康を害するような環境なら、そこから抜け出す方法を考えるだろう。

  2019.11.20

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  『緋色のマドンナ』陶芸家・神山清子物語～那須田 淳

  朝ドラ「スカーレット」のモデルとなった神山清子さんの半生を描いた小説。小説『緋色のマドンナ』は、ご本人に取材して書かれていて、フィクションとはいえ、より神山さんの半生に近いのではないかと。朝ドラ「スカーレット」は、設定や登場人物のキャラクターやエピソードなど小説とは異なります。​緋色のマドンナ 陶芸家・神山清子物語[本/雑誌] / 那須田淳/著​でも、ドラマも小説も、主人公が「苦しいときこそ、笑顔」が共通しているのかな。小説を読んで、緋色の焼き物を見たくなり、ネットで検索すると、YouTubeで縁側に作品を並べて神山さんが作品について語る様子や、2019年9月に東京で行われた「近江ゆかりの会」で上映されたご本人のインタビュー動画を見ることができました。朝ドラについても語られていて、ドラマのこれからも楽しみです。

  2019.11.15

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  『展望塔のラプンツェル』～宇佐美まこと

  虐待、ネグレクト、性暴力、暴力、差別が日常、読んでいて辛すぎる。どうすればいいのか。ラプンツェルはいない。​展望塔のラプンツェル [ 宇佐美まこと ]​最後の方で謎が解けて、なるほどと思ったけど、それにしても救いがない。救いのある展開にはなっているんだけど、子どもたちの過ごしてきた日常の辛さを思うと、やりきれない。

  2019.11.13

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  『お会式の夜に』～黒野伸一

  初読みの作家さん。そもそも「お会式」って何なんて読むのってところから。「おえしき」と読みます。​お会式の夜に [ 黒野伸一 ]​ストーリー的には普通。疑問点としては、小学３年生は、この本に出てくる子どもたちが一般的なのということ。それから、後半、反則技があり、残念。そうしなくてもいい結末にして欲しい。でも、お会式というのを知るうえで、読んで良かったと思う。さっそく、YouTubeで実際の様子を見ました。一度行ってみたいです。お会式でなくても、池上を散策もしてみたい。先日、桐生楽市で出会った方が、地域のガイドは２、３人集まればボランティアの方が説明してくれると話していた。​大田区まち歩きイベント・ガイドツアー​というのがあるようなので、機会をみて参加してみたい。

  2019.11.05

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  『スナック墓場』～嶋津輝

  表紙（表・裏）はなかなか魅力的。なんだろーと思わず手に取りたくなる。でも、７つの短編読み終わって表紙を見ても、どれも関係ないような（笑）​スナック墓場 [ 嶋津 輝 ]​嶋津輝さん、初読みというかまったく存じ上げませんでした。昭和の懐かしさを感じさせる。「姉といもうと」「一等賞」「スナック墓場」が好み。「ラインのふたり」も「米屋の母娘」も落ちは悪くない。「駐車場の猫」は、謎もあるけど、そんなこと気にせずに楽しめた。よくわからなかったのは「カシさん」よくわからない（落ちがない!?）話もあったけど、全体を通して良かったし、またこの人の本読みたいなと思いました。くせになる感じ。短編だから！？

  2019.10.28

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  『わたしの良い子』～寺地はるな

  ​スポーツクラブで、ラグビーや山、映画やドラマそして本の話をする方に、久しぶりにおすすめしたいと思う本だ。『わたしの良い子』という題名だけ見た時点では、どうなのかな？と躊躇したものの、寺地はるなさんだし、大丈夫だろうと思って読み始め、すぐにこの本はいいかもって妹の子どもを育てる話。​わたしの良い子 （単行本） [ 寺地 はるな ]​なんといっても主人公の椿のぶれないところがいい。他の登場人物もキャラがよく考えらていて、構成がよくできている。恋人や同僚との会話や関係にぐっときた。丁寧に描かれている。​​​​３人（椿・鈴菜・朔）の名前の由来や、題名の意味が最後に。​​​​昔、付き合っていた人に預けられた生まれたばかりの子どもを育てる、小池昌代さんの『たまもの』も好きだが、『わたしの良い子』の方がわかりやすいかな。​たまもの[本/雑誌] / 小池昌代/著​​​​

  2019.10.21

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  『森があふれる』～彩瀬まる

  小説家の妻が植物の種をボール一杯食べて発芽して、部屋から森があふれる話。​森があふれる [ 彩瀬 まる ]​非現実的な設定だけど、内容は現実的というか…表紙を見たら、思わず手に取りたくなる本だけど、読める人と読めない人がいるんじゃあないかな。私は結構あっさりと読めました。彩瀬さんの伝えたいこともわかったような気もするし。でも、友達に読んでみてとは薦められないかな（苦笑）この本の後にいま読んでいる「真昼なのに昏い部屋」（江國香織）というのが、読んでいてこの「森があふれる」で感じたことを思い出してしまうというか…ま、うまく言えませんけどね。

  2019.10.17

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  『「捨てなきゃ」と言いながら買っている』～岸本葉子

  スティック型掃除機のエルゴ洗濯機のキューブルくらいかな、参考になったの。どちらも買う予定はないけれど。通販で、定価のうちに買って返品し、セール後に買うって…それにはびっくりした。岸本さんほど、通販を利用しないし、しようとも思わないけど、通販でなくても失敗はあるよね。特に私の場合、お悩みは「靴」です。実際に試し履きしても、結局は合わないことがほとんどで、本当に困っています。​「捨てなきゃ」と言いながら買っている (買おうかどうか)[本/雑誌] / 岸本葉子/著​ニトリとか無印とか、庶民的な買い物も、できれば実物を見てから買いたいけど、近くになかったらネットでイチかバチか買うしかないのかな。ネットで選ぶのって、もちろん失敗も多いけど、選ぶのも時間がかかるよね。時間がかかったうえに失敗って、つらい。

  2019.10.16

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  『カザアナ』～森絵都

  ​読み始めが、平安時代末期で「う、この調子で最後まで読めるのか（結構ぶ厚いので）」と心配したものの、すぐに近未来に。ときどき平安時代が登場するけど、それも楽しみに。​カザアナ[本/雑誌] / 森絵都/著​今の日本が抱える問題を風刺しているが、小説に描かれている近未来がけっして絵空事だとは思えないところに現代社会の闇や怖さがある。とはいえ、小説はどこか漫画みたいだ。ちょっと入谷家がドタバタし過ぎなところが残念。明るさは違う方法でも表現できたように思えるが、どうだろう。カザアナの３人は落ち着いている​​（必要以上に能力を発揮しないとことか、将来を見据えているとことか）​​ところは良かった。​​​

  2019.10.09

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  『ランチ酒　おかわり日和』～原田ひ香

  ​「ランチ酒」​続編。仕事帰りの電車の中で読んでいたら猛烈におなかがすいてきました。原田さん、相変わらず食べ物、お酒の描写が上手です。夜勤明けのランチ酒、いいですね。​ランチ酒　おかわり日和 [ 原田ひ香 ]​主人公の職業は「見守り屋」バツイチという設定はもちろん覚えていました。そして、数々の食レポも良かったことも。でも具体的な食レポは既に思い出せません。今回は、いいな、行きたいな、と思ったお店をスマホで検索し、実際に行ってみようかと。一番行きたいのは、豊洲の「おまかせ握り」（と常温の日本酒）ですが、ここは万札がないと行けないようなので、断念。現実的なところで、行ける可能性が高いのは、池袋の「立ち食い寿司」と「焼き小龍包」です。どちらもすぐに検索できました。表参道「焼き鳥丼」と築地「水炊きそばの全部入り」も気になりますが…食レポが魅力の小説ですが、食レポ以外の物語もよくできています。また続きが読みたいな。

  2019.10.07

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  『ノーサイド・ゲーム』～池井戸潤

  ドラマを先に見ちゃうと、小説に身が入らない（苦笑）​ノーサイド・ゲーム [ 池井戸 潤 ]​小説を先に読んで、忘れた頃にドラマ化が理想かなぁ～ドラマ、脚本が良くできてるなぁ～というのが本を読んだ一番の感想。ラグビーをまったく知らない人が小説を読んでもラグビーシーンは臨場感が伝わらないと思うけど、映像だとわかりやすいから、このタイミングでのドラマ化は良かったと思う。ドラマ、評判も良かったみたいだし。もちろん、意図的にこのタイミングなんだろうけど。ドラマを見てのワールドカップで、本物の迫力を楽しむことができた人も多いのではないだろうか。小説の方が良かったところとしては、滝川さんかな。上川さん演じる滝川さんも悪くはないんだけど、小説の方が淡々と描かれているものの、ストーリーにおける役割がより伝わっていると思う。昨日の日本代表VSアイルランド代表、テレビ観戦日本代表の守り、見応えがありました。奇跡ではない勝利だと思います。やったね

  2019.09.29

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  『虹にすわる』～瀧羽麻子

  大学を出て戸建て住宅の営業をしていたが、祖父の暮らす田舎にもどって、修理屋をやっている徳井。ある日、大学の後輩魚住がやってきて、二人で椅子を作ることになる。作るのは得意な徳井と、椅子への情熱にあふれ、デザインが得意な魚住。二人の作る椅子を想像するのは楽しい。​虹にすわる [ 瀧羽麻子 ]​最近、残りのページの厚みを気にしながら落ちを予想するように（笑）電子書籍は読んだことないけれど、残りページはわかるのかな？ページ数がわかるとしても、字の大きさ、余白の感じ、そして厚みから想像するのとは違うかもね。慣れてくると、わかるのかもしれないけど。「虹にすわる」は残りのページの厚みからして、こんな感じだろうと思った通りだったかな。別の展開も考えたけど、それじゃあページ数足りないしと思ったり。安心して読める小説だけど、ちょっと物足りなかったかなぁ～椅子作りも二人（四人）の恋愛も。

  2019.09.20

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  『ふたりみち』～山本幸久

  野原ゆかり(ミラクル・ローズ）67歳。元ムード歌謡歌手でいまはスナックを経営。森川縁(ゆかり)１２歳。母親と喧嘩して家出中に、わけあって復活したミラクル・ローズさんと出会い、一緒にツアーをまわることになる。​ふたりみち [ 山本　幸久 ]​次から次へと歌えなくなって、いったいいつになったら歌えるの？と残りの厚みを確認しながら思いましたが、最後まで飽きさせない（小説ならではの）展開でした。シャンソン歌手としてのミラクル・ローズさんの活躍と、森川縁の将来がとても楽しみ。森川縁を主人公に続きが読みたい。

  2019.09.19

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  『店長がバカすぎて』～早見和真

  書店員さんのお仕事小説。​店長がバカすぎて [ 早見和真 ]​読んでいて共感する部分もあるんだけど、全体的に騒がしいというか…。コメディだと思って読めば問題ないんだけど、もう少し落ち着きや深みが欲しいかな。こういう感じの本、最近多いけどね。いい脚本家さんでドラマ化すれば、良さが伝わると思う。ドラマ化はＮＨＫかな

  2019.09.18

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  『夏物語』～川上未映子

  ​先日読んだ中島京子さんの「夢見る帝国図書館」も404ページとぶ厚く持ち歩くには重い本だったが、今回の川上未映子さんの「夏物語」は545ページとさらに重い。紙質も違うので実際の見た目と重量がイコールなのかはわからない。読む前に中をぺらぺらと確認した段階で、ページ数や厚さではなく、余白の少ない文字の詰まりっぷりにこれは手ごわいなと感じた。​夏物語 [ 川上 未映子 ]​実際、大阪弁であったり、内容の濃厚さを理解しながら読み進めるのに時間がかかった。ハードカバー２冊分の厚みで３冊分の内容というところか。大阪弁は読みにくかったものの、大阪弁だから良かった。第一部は2008年夏、第二部は2016年夏～2019年夏。第一部の巻子が豊胸手術に拘るくだりが長くて、何度か目次を確認して、これはどういう落としどころなんだろうと考えてしまったが、一部の終わり方、そして全体を通して読むと違和感がない。ちなみに私は川上さんの第138回（平成19年度下半期） 芥川賞受賞作である「乳と卵」を読んでいない。「乳と卵」のあらすじを見たところ「夏物語」の第一部と、つながった話のようだ。​乳と卵 （文春文庫） [ 川上 未映子 ]​第二部は増えた登場人物であったり、主人公の夏子の感情に思いを馳せながら読み進める。第一部で出てきた巻子や緑子もいい感じでときどき登場する。ネタバレになるからラストはどうなるか書けないが、いい終わり方だった。月曜から読み始めた。通勤時に夕刊と朝刊を読み終わった後に本を読んでいて、それほどボリュームのない本なら５日で2～２.5冊くらいのペースで読めているのだが、さすがにこの本は５日間で読み終わらなかった。来週まで持ち越すよりも最後まで読みたい気持ちが高まって金曜日の夜に一気に最後まで読んだ。読み終わった直後、スマホを確認すると時刻は ​0：00​ だった。「夏物語」を８月中に読み終わったことで、夏休みの終わった感じがした。

  2019.08.31

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  『あなたの右手は蜂蜜の香り』片岡翔

  片岡翔さんって映画監督なんだね、知らなかった。本の裏表紙には脚本家として手掛けた作品も載っていて、題名だけは知っているものがいくつかあった。図書館で、新刊本コーナーに並んでいて、これでいいかと借りた本。​あなたの右手は蜂蜜の香り [ 片岡 翔 ]​表紙の熊に思わず手が伸びました。裏表紙は鳩です。どちらも本の中に出てきます。うーん、主人公の雨子と実の父にはあまり感情移入できないんだけど、その他の雨子のまわりにいる人たちに感情移入してしまい、後半はつらかった。ネタバレになるから、あんまり書けないんだけど、最終的にはこうなるよねっていう結末で、これからどうなるんだろうと勝手にまわりの人たちの反応を想像して苦しくなる。小説だし、相手が熊だけど、きっと熊でなければ雨子みたいな人はきっといると思いながら読了。まぁ、熊だし映画化は難しそうだけど、もし映画になっても観ないな。観てるのつらいから。本を読みながら泣けて、それで十分。

  2019.08.24

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  『お願いおむらいす』中澤日菜子

  短編連作。表紙も題名もいけてない気もしたけど、中澤日菜子さんの作品なので読んでおこうかと。予想に反してというべきなのか（表紙と題名）予想通り（中澤作品）というべきなのか…最初の２編はツッコミどころはあるものの、泣かせる展開。３作目がちょっとやり過ぎなんじゃあないかと少し冷め、４作目もいまいちかと思いきや、５作目できっちり落としてくるところがさすがです。​お願いおむらいす [ 中澤 日菜子 ]​中澤さんの作品を全部読んでいるわけではなく、たぶん４冊目くらいだと思うけど、いままで読んだ中では、一番軽い感じがした。短編連作だからかな。ドラマ化されそう。

  2019.08.22

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  『夢見る帝国図書館』中島京子

  終戦記念日の昨日読了した。404ページとぶ厚く、持ち歩くのに重かった。現代を描いている小説の途中に帝国図書館の歴史が描かれている。もちろん話はリンクしている。日本文学史に出てくる作家の生き生きとした様子や、図書館が主人公の小説など、読んでいて楽しい。図書館にかかわった人たちの情熱も熱い。戦時中、そして戦後の帝国図書館の辿った歴史も興味深い。​夢見る帝国図書館 [ 中島 京子 ]​焼け野原になった上野を想像しながら、そして今の谷中あたりを思い浮かべながら読んだ。今度また、この本のことを思い出しながら、上野や谷中を歩いてみようと思う。日本文学史に出てくる作家の名前や有名な作品は知っていても、原本をほとんど読んでいない。もし読んでいたら、より楽しめたことだろう。

  2019.08.16

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  「いるいないみらい」窪美澄

  子どもを持つこと、持たないこと、いること、いないこと。いろんな視点から考えることができる。リアリティがあった。​いるいないみらい [ 窪　美澄 ]​窪美澄さん、最近作風が変わってきたかな？読みやすくなった。いままで読んだ窪美澄さんの作品（長編）は、ずっしりと心に残るものが多かったけれど、今回の短編は温かさが残った。そういう意味で良かったと思う。

  2019.08.11

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  『川っぺりムコリッタ』荻上直子

  『かもめ食堂』『めがね』の映画監督、荻上直子さんの作品。​川っぺりムコリッタ [ 荻上 直子 ]​川沿いにあるムコリッタという名前のアパートに暮らす人たちの日常を描く。荻上さんの監督作品と通じる空気感。映画になったら大ヒットはしないかもしれないけれど、『かもめ食堂』『めがね』が好きな層には響く作品になると想像できる。非現実的な部分をどう表現するかが、気になるところ。日常生活を丁寧に生きることを大切にしようと改めて思わせる一冊でした。

  2019.08.07

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  『駒子さんは出世なんてしたくなかった』碧野 圭

  ​​話題になったときに読もうと思っていたのだけれど、つい後回しになってしまいました。図書館で本棚を巡回していたら目に留まり、読んでみるかと手に取りました。​駒子さんは出世なんてしたくなかった [ 碧野 圭 ]​出版社で出世レースに巻き込まれる駒子さん。夫は専業主夫だけど、子どもが高校生になってカメラマンの仕事を再開。お仕事小説としてよくできてるなというのが読んだ一番の感想で、初読みの作家さんのため著者のプロフィールを確認したところ出版社に勤務していたことがあるんだね。サクッとあっという間に読めます。軽いけど組織とか仕事とか家庭とか考えるのに、いいと思う。これって映像化された？されていないならドラマになりそう。

  2019.08.06

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  『サバティカル』～中村航

  初読みの作家さん。図書館に予約していた本を取りに行ったが、回ってきたのは一冊のみ。１冊ではすぐに読み終わってしまう。読みたい本を探す暇もなく、新刊コーナーから選んだ一冊。題名の「サバティカル」ってなんだ？？？冒頭、「五ヶ月の休暇、を取れる人間はどれくらいいるのだろう。」書いてあったので、まぁ休暇の話しなんだろと思って借りた。サバティカルとは、長期休暇のこと。​サバティカル[本/雑誌] / 中村航/著​​​主人公の梶くんは転職に伴い５ヶ月のサバティカル休暇を過ごすことになる。次の仕事が決まっているから、休暇中に転職活動は必要ない。梶くんは、やりたいことを書き出していく。そして「Trello（トレロ）」（プロジェクト管理ツール）というスマホのアプリを使ってサバティカルという名前のボードを作り「アイデア・メモ」「To Do（やるべきこと）」「Doing（やっている）」「Done（やった」の４つのリストを作る。使いこなせるかはわからないけど、このツール使ってみたい。図書館本なので「帯」になんて書いてあるか知らなかった。話が逸れるが、以前図書館で借りて読んだ本が良かったので、その本が好きそうな人に薦めたら、その人は本屋さんへその本を買いに行きました。ところが、帯に肝心なことが書かれていて、結末がわかってしまいとても残念だったとのこと。帯に魅かれ本を手にすることはあるけど、結末がわかってしまうのはダメだよね。話を戻すと、この本の帯にも内容に関するキーワードが書かれている。私は、帯を読まずに読んで良かったと思う。ただ、そのキーワードの意味を知らなかったので、帯を読んでも言葉の意味を調べずに読めば同じかもしれないけど。泣かせるような書き方ではないのだけれど、最後の方でぐっときた。読んで良かった。

  2019.07.26

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  『みかんとひよどり』～近藤史恵

  料理の腕はいいのに、雇われシェフとして二軒お店をつぶし、自分ではじめたお店も失敗した潮田。ジビエ料理を出したいオーナーに出会って、フレンチレストランのシェフになるものの、赤字続き。潮田は猟に行き、山で遭難。助けてくれたハンター大高との交流を描く。​みかんとひよどり [ 近藤　史恵 ]​潮田と大高が飼っている犬がかわいい。犬好きにはたまりません。ジビエ料理を食べる機会はあまりないけれど、駆除されたジビエが食べられることなく大量に焼却されていることには、どうにかおいしくいただけるようにならないかと思う。実際食べたことがたぶんないので、もしかしたらくせがあって好きではないかもしれないけれど、小説を読んでいると、素材になるまでの過程における創意工夫であったり、料理人の腕がよければ、おいしくいただけるのではないかと思ってしまう。近藤さんの文章力がそう思わせる。

  2019.07.25

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  『みらいめがね　それでは息がつまるので』～荻上チキ・ヨシタケシンスケ

  荻上チキさんもヨシタケシンスケも存じ上げませんでした。荻上チキさんは名前は聞いたことあったかな。読み始め、最初の方はちょっと飛ばしたものの、途中からじっくりと読みました。​みらいめがね それでは息がつまるので [ 荻上チキ ]​読み終わって、なるほどなーと。自分自身の考え方に柔軟性が欠けていると気づかされました。それでは息がつまるよね。​荻上チキさんはTBSでラジオ番組​を持っているんだね。知らなかった。今度聞いてみようかな。

  2019.07.24

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  『おひとりさまの老後』～上野千鶴子

  2007年の夏に出版されている本ですが、今読んでも違和感がない。いまさらこの本を読もうと思ったのは​上野先生の今年度の東京大学学部入学式祝辞​が話題になったからです。​おひとりさまの老後 （文春文庫） [ 上野 千鶴子 ]​老後を迎えた際のシミュレーションをしながら読んだ。おカネがあれば、ちょうどいい広さの家に住みたい。その心は、広すぎる家はいらないってこと。今はできるけど、加齢に伴って自分ではできないことってたくさん出てくると思うから、気持ちよく過ごせる家に住みたい。できるだけメンテナンスが大ごとにならない家（または部屋）。大きな窓のカーテンを洗いたいのに自分で外せなかったら洗えないし換気扇のシロッコファンだって今は外して洗えるけど、８０歳になったらできるかなおカネを出せば業者さんがやってはくれるだろうけど。本の中に出てくる「コレクティブハウス」や「ライフハウス友だち村」には興味があるけど、おカネがね…（苦笑）老後、２０００万円で足りるのま、どこでどんな暮らしをするのかとか、何歳まで生きるのかとかにもよるけどね。友人は大事、そしてひとりで死ぬのは全然いいけど、あとのひとの始末を考えておかないとね。

  2019.07.23

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  『陰の季節』～横山秀夫

  ワープロの時代の警察小説。警察といっても事件じゃあなくて、内部組織のお話。文章はキレッキレ。それでいて、警察官も一般市民であり組織人であるってことが描かれている。​陰の季節 （文春文庫） [ 横山 秀夫 ]​先を予想しながら読み進めました。確かテレビドラマで二渡警視を上川隆也さんが演じていたなぁ～と思いながら、ドラマの内容はまったく思い出せず小説は新鮮な気持ちで楽しめました。おもしろかった。

  2019.07.22

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  『マジカルグランマ』～柚木麻子

  ちょっとドタバタ感は否めず、人に薦めるかと言われれば薦めないな。​マジカルグランマ [ 柚木麻子 ]​正子さん（主人公、女優、75歳）の前向きさと柔軟性は見習うべき点があります。周りの人たちがいい方向に進んでいくのも良かったのですが…ちょっと落ち着きがないドラマだったところが残念。

  2019.07.12

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  絵本『字のないはがき』原作・向田邦子/文・角田光代/絵・西加奈子

  『字のないはがき』という題名を見て、向田邦子さんのエッセイだなとすぐにわかった。それを、角田光代さんと西加奈子さんで絵本にするなんて、最強タッグではありませんか。特に、小説家である西さんがどんな絵を描くのだろうと気になりました。勝手な想像ですが、きっと力強い絵なんだろうなーと。実際手に取って、１ページ、１ページ大切にめくっていきます。私の想像を超えるインパクトのある色使い、そして絵でした。さすが西さんです。題字も西さん、いいですね。​字のないはがき [ 向田 邦子 ]​原作は覚えていましたが、読んだのは相当昔です。角田さんの文章は子どもにわかるように書かれています。でも大人にもぜひ読んで欲しい絵本です。泣けました。原作を読み返さなくてはと本棚から取り出した文庫本。『字のないはがき』は『眠る盃』に入っています。​新装版　眠る盃 （講談社文庫） [ 向田 邦子 ]​私が持っているのは、1990年12月10日第22刷発行のものです。（1982年6月15日第１刷発行・1979年に出版されたものが文庫化）全部読み返したくなりました。7/23にクレヨンハウスで角田さんと西さんの刊行記念スペシャル対談があるらしい。行きたいけど…遠い。

  2019.07.03

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  『わたしたちはまだ、その場所を知らない』～小池昌代

  詩人の小池昌代さんの、詩を題材とした小説。舞台は中学校。出てくるのは中学生（１年生）と先生。​わたしたちはまだ、その場所を知らない (単行本・ムック) / 小池 昌代 著​中学生時代の記憶があまりない私は、中学１年生ってこんなんだったっけ？？？中学１年生の頃って、何を考えていたんだろー？？？とはてなマークがたくさん。自分の中学時代よりは、教育実習に行ったときに中学生に対して感じたことの方が覚えている。生徒は十人十色だった。当たり前かもしれないけれど。だから、この小説に出てくるような中学生もいるに違いない。小説は2010年に出版されているので、私が中学生だった頃とは違うところもあれば、同じようなところもあるのかなと。そこは、小説の中で国語の先生も触れています。この小説、好みが分かれると思います。私はなかなか良かったかな。でも、人に薦めるのは難しいかも。ラストも現実的だし。国語が好きな人（詩の世界がたとえよくわからなくても）向けかな。葡萄棚の下の朗読会、授業として中学時代に経験していたら、きっと忘れられない一コマになっていたと思う。

  2019.07.02

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  『めぐり逢いサンドイッチ』～谷 瑞恵

  初読みの作家さんです。このところ多い飲食店の小説。毒のある人はでてきません。癒し系のお話です。最初の二人OLの話が少しわかりにくかった（どっちがどっちなのか）けれど、それ以降はサクサクとあっという間に読了。​めぐり逢いサンドイッチ[本/雑誌] / 谷瑞恵/著​小説の内容より、サンドイッチが記憶に残る気がする。どれも食べてみたいと思ったから。公園に面しているお店という設定もどこかにありそうで探してしまいそう。「待ち人来たりて」が一番良かった。全体を通して徹子さんが一番印象に残った。それからコゲちゃん（ネコ）がモデルの絵本、手に取って読んでみたいなって。文章を読みながら絵本を想像するのも素敵な時間だったけど。

  2019.06.27

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