『となりの脳世界』~村田沙耶香
芥川賞を受賞した「コンビニ人間」の作者、村田沙耶香さんが新聞や雑誌に書かれたものをまとめた本です。日本経済新聞「プロムナード」の村田さんの回をいつも楽しみにしています。村田さんって、おもしろいなぁ~って。この本にはつい最近の「プロムナード」に載っているものまで入っているので、読んだことのあるものも多数ありました。となりの脳世界 [ 村田沙耶香 ]大きな目次でいうと、「小さい頃について」と「日常について」が特に良かったです。「日常生活」の中の「ルール人間」というお話の中で、「上手に人間をやることは難しい。(中略)少なくても、自分が信じるルールで誰かを裁くことをしなくなったことは、自分にとってよい変化だったなあ、と思っている。」というのが印象に残りました。以前にも書いたことがあるかもしれませんが、自分が普通だと思うことと、他の人が普通だと思うことは違うのです。自分の基準で人を否定しないように気を付けています。以前、とある講座でだいぶ年下の友人に対して「普通さぁ~・・・」と言ったら、しぃさんの普通は、みんなの普通とは限らないと言われたときに、「あぁそうか」と腹落ちしました。それ以来「普通さぁ~」とは言わないように、言うとしても言っていいのか、それって本当に普通なのか?を言う前に考えるようになりました。後日、同じ友人が「普通さぁ~・・・」と私に言ったので、思わず笑ってしまいましたが。お互いの意見を尊重し合って、違いを認め合ったり、歩み寄ったり、それでも受け容れられないものは、受け容れられないでいいのかなと思います。瞬時に、自分の基準で判断しないように、どうしてそう思うのかも含めて考えたいものですね。本の話に戻ります。大きな目次の後半「好きなことについて」と「散歩、旅することについて」は「プロムナード」で読んだもの以外はあまりピンときませんでしたが、「誓いの色を着た日」は芥川賞の授賞式に着て行くドレスを選んだときのエピソードで、情景が目に浮かび良かったです。それと「京都お稽古体験記」の小鼓の先生が良かったです。京都で何を体験したいかって聞かれて「小鼓」って浮かばなかったけど、村田さんの体験記を読んで、私もやってみたいなぁ~と思いました。月夜に小鼓、自分が響かせることができなくても、響かせているところにいて、一緒に聴いている人たちとその場を共感できたら素敵だなぁ~