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テーマ:中国茶好き集まって!(926)
カテゴリ:お茶
珍しく英語のタイトルにしてみました(^^;)
Sustainability = 持続可能性 →Wikipedia という訳語で、日本では紹介されており、最近、色々な場面でのキーワードになっています。 まあ、分かりやすい言い方に直せば、「太く短くではなく、細く長く」ということになるんでしょうか(^^;) 色々と考えさせられる言葉です。 環境問題などが典型的な例ですね。 一時の経済成長のために、企業や家庭の環境汚染を許容していると、あとで公害問題などで本当に痛い目にあったりするわけです。 ・・・これがどうお茶に繋がるかなんですが、こんなお茶を飲んだのです。 CAS認証・翠玉茶(彩香) 有機農法の茶園で栽培された、台湾の新品種・翠玉(台茶13号)を使って作られた烏龍茶です。 #日本国内では、海外の機関で認定されていようが、有機JAS規格の認証を受けたもの以外は「有機」「オーガニック」と商品名に表示して販売することはできない(参考)ので、このような回りくどい商品名になっているんですね。 で、 CAS認証って何よ? ということなのですが、CASというのは、Certified Agricultural Standardsの略で、台湾のJAS規格みたいなものです。 その中で、1999年(民国88年)に有機農法についての生産基準の規定が制定され、2004年には有機CASマークが制定され、いくつかの認証機関決められています。(参照:中華民国行政院農業委員会サイト・繁体中文) そんなCAS認証を取った茶畑のお茶ということです。 認証を取るのは大変なので、コストが少々高くなりますが、それを支払うことに意義を見いだせるかどうか、というのは重要なことですね。 ちなみに今回買ったのは、たまたま翠玉ですが、実は、翠玉が苦手でした(^^;) 翠玉は香りが勝ちすぎてしまって、飲むのがしんどいお茶というのが結構あります。 何故か、私の買う翠玉は今までそんなものばかりで、翠玉恐怖症だったのです。。。 ところが、このお茶はバランスが取れていて非常に美味しい♪ 口当たりの良い爽やかな茶水でありながら、きちんと喉のあたりで、翠玉種の特徴であるジンジャーの花に喩えられる品種の香りが、しっかりと感じられます。 有機だから美味いわけではないですが、丁寧に仕事がされた茶葉という印象を受けました。 さて、ここからが本題の台湾茶のSustainabilityについての話。 よく、マニアックな方々(私も含む←多少自覚はある)が、「○○(産地)は今が旬」とか「××(産地)は味が落ちた」とか言われることがあるのですが、そのような話を聞くにつけ、複雑な気分になります。 Sustainabilityという言葉を思い出さずにはいられないのです。 高山茶の産地の多くは、森を切り拓いて、茶畑へ転換された土地です。 それまで森だった土壌には、豊かな自然・生態系があり、多くの養分が蓄えられています。 お茶の味を決める要素は色々ありますが、土壌の良さ(養分の多さ)というのも1つの大きなファクターです。 新しく茶畑を開発し、収穫ができるようになるのは、お茶の樹を植えてから3年目以降。 それこそ10年ぐらいは、樹齢も若く活力があるため、森で蓄えられた豊富な養分を吸い上げた力強いお茶ができあがります。 しかし、同じ作物をずっと栽培していると土壌の力は、どうしても落ちてきます。 そこで落花生かすや大豆などの有機肥料を追加して、地力を補おうとするのですが、どうしても当初の味わいから較べると弱くなってしまったりします。土壌の力が落ちることで、茶力も落ちてくるわけです。 さらに、ある産地のお茶の美味しさが市場で評判を呼ぶようになると、近隣の森が切り倒され、さらに茶畑が増えていきます。 近隣に茶畑が増えると、森も少なくなり「霧が出にくくなった」とか「日当たりが変わった」とか、生育環境に変化も出てくるようになります。そうなると、さらにお茶の力が落ちてきます。 結果的に「○○は、味が落ちた」ということになってしまうわけです。 これ、かなり深刻な問題です。 #台湾だけでなく、安渓も、いずれそうなると思います。 今が旬といわれている茶産地も、この道をたどりやしないか、と不安になったりします。 味が落ちたら、他の森を切り拓けばいいというのは、一種の暴論で焼畑農業と変わらないと思うのです。 開発をやり過ぎると、梨山へ行く道のようにあちこちで崖崩れだらけになってしまいます。 有機農法が全てを解決するとは思いませんが、やはり農業の原点は全て一緒。 どこぞのビールメーカーの宣伝ではありませんが、「お茶作りは土作りから」なのです。 今までの高山茶は、ある意味、自然が作った豊かな土壌にタダ乗りする形で驚異的に美味しいお茶を生み出してきました。 しかし、今後は開発できる土地も限られてきており、そうも行かなくなります。 今後は、上手に自然を活かしながら、息の長く活躍できる茶産地を目指していかなければならなくなると思います。 実際、坪林など古くからある茶産地は自然と共栄する形で茶業を行っていますし、大陸へ目をやると龍井などは施肥の技術など総合的な製茶技術の高さで、今も力強い味わいのお茶を生産しています。 そういう方向へ、台湾の茶業もシフトしていくのではないかと思っています。 とはいえ、そういう農家の努力も消費者の理解があってこそ。 2006年8月までの有機茶園の面積を見てみると、実は有機茶園の数は、2004年の76ヘクタールをピークに減少傾向にあり、67ヘクタールにまで縮小しています(2006年8月現在)。 認証を取ることが全て良いとは思いませんが、茶産地で何が起こっているのかを知り、その問題解決のために努力している方々を、応援していくことも必要なのではないかと。 「有機だと売れるから」「何となく美味しそうだから」ということではなく、Sustainabilityについて茶商も消費者も考えるべきなのかなと思うのです。 それが美味しいお茶を飲み続けるという、Sustainabilityに繋がる気がします。 たまには真面目なことも書きます(^^;) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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