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テーマ:中国茶好き集まって!(926)
カテゴリ:お茶
今日のお茶は、雲南省産の東方美人。
え?東方美人って、台湾のお茶でしょう? はい。 でも、台湾の茶商の海外進出はめざましく、大陸中国やベトナムへ進出する企業もあるのです。 ですので、ベトナムや大陸でも四季春や凍頂風烏龍茶のような台湾のお茶が作られていたりします。 #まあ、それを”凍頂烏龍茶”や”台湾産烏龍茶”と名前をつけて売るかどうかは、売り手のモラルの問題です。分かる人が飲めば、すぐ分かるんですけど。 海外進出の理由の1つは言うまでもなく、コストの問題。 もう1つは、有機認証などの安全性の問題です。 え、中国の方が安全性が高い?”毒菜”とか言ってる国で?そんなわけないでしょ。 いえ、それは都市近郊部の話。 有機農法をやろうとするなら、中国の山奥に行った方が合理的なんですね。 台湾は国土も広くないので、大体のところは開発の手が及んでいます。 ですので、有機農法に転換しようと思うと、大変です。 一度、化学肥料や農薬を使ってしまうと、土壌や生態系を元に戻すのに、膨大な時間と手間がかかってしまうのです。 その転換期間中は、生産量がほとんど期待できませんから、数年間は大赤字覚悟です。 そして、生産が必ず上手く行くという保証はありません。 さらに生産量も、有機栽培となれば、今までよりグッと減ることを覚悟しなければいけません。 ・・・経営的観点に立つと、かなりリスキーな選択です。 一方、ちょっと前に雲南の山奥に行けば、農薬や化学肥料を使ったことの無い、手つかずの適地がすぐに手に入ったわけです。 多くは少数民族の方々が、「ちょっと山に入って、お茶採ってくる」みたいな感覚でお茶を作っていた土地です。 こういうところは都市化や急速な農業開発の波にさらされていないので、土壌や生態系の改良の必要もあまりないですから、生産開始までの期間が短縮できます。 さらに野生の茶樹を使ったりする茶園であれば、生産量も大体読めますし、品質も分かります。おまけに、人件費も台湾より遙かに安い。 ・・・というわけで、安全な有機のお茶を作ろうと思ったら、大陸(特に雲南や四川の山奥)に進出した方が圧倒的に魅力的だったわけです。 #こういう事情もあるので、一概に”中国産は危ない”とやるのは間違いだと、私は思います。 このお茶も、そんな経緯からだと思うのですが、台湾の茶商が雲南省へ進出。 自然農法で育った野生茶樹を使って生産された東方美人です。 野生茶樹ですから、もちろん無肥料・無農薬。 でも、先に述べたような理由から、初期投資が抑えられ生産コストも低いので、お値段はお手頃になるわけです。 これで、味が台湾産とどう違うのか。 その差次第では、非常に競争力のある商品ということになります。 ちなみに、野生茶樹ということは、品種はおそらく雲南大葉種。 この品種で、東方美人を作るとどんな味わいになるのか。 東方美人好きなら、気になるところではないでしょうか(^^) #え、私だけですか?((((((^^; 茶葉です。 やっぱり雲南大葉種。大ぶりの茶葉です。 でも、白毫と新芽がたっぷりです(^^) 茶葉からの香りは、発酵の香りもあるんですが、やっぱり雲南緑茶によくあるような、ちょっと柑橘系っぽい香りが少し入っています。 淹れてみると、香りは”おおっ”と思うぐらい華やか。 ウンカ咬み咬みな蜂蜜感(←いい加減な表現だ・・・)は、さほどでもないのですが、東方美人の製法の香りは、きちんと再現されています。 香りの出方もスムーズですし、雲南産でも、製茶はしっかりしているなぁという印象です(^^) 味は比較的あっさり目。雲南紅茶に似た甘さも、少し見られます。 戻りの甘さに関しては、さすがに台湾産にはかなわないようです。 この辺は、やはり品種特性でしょうね。 でも、あっさり目のお茶を好む方ならば、ひょっとしたら台湾産のものより飲みやすいかもしれません。 #お茶は嗜好品ですから、この辺は好みです。 茶殻を見ると、茶葉の大きさが分かると思います。 このへんが、台湾の烏龍茶品種と雲南大葉種の大きな違いでしょうか。 飲む前は、雲南大葉種を使ったお茶ということで、特有の味の濃さ、特に渋みを懸念していたのですが、渋みは驚くほど少ないです。新芽を多めに使っているので、おそらくそのせいではないかと。 その分、味がさっぱり目になっているのだと思うのですが、この品種で東方美人に仕上げるには、これがベストバランスなのだと思います。 品種特性と製茶方法を、徹底的に研究して作られたお茶だという印象が残りました。 その研究成果に、思わず感心してしまうお茶です。完成度は、なかなか高いと思います。 少なくとも、台湾産の仕上げの悪い廉価な東方美人よりは、実力は上ではないかと。 雲南の美人も、なかなかの美形というところでしょうか(^^) 本日のお茶:特奨 東方美人(ダッシュ) こんな美人もいます(^^) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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