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テーマ:中国茶好き集まって!(926)
カテゴリ:茶にまつわる話(歴史・文化など)
今日は、渋谷の華泰茶荘さんで一日カンヅメになって、お茶のお勉強。
中級評茶員講座に合わせ、茶葉研究所の先生が来日されたのだ。 当たり前のことだが、中国茶や台湾茶に関しては、現地の研究が一番進んでいるし、細かい。 そういう情報をキャッチして、自分の知識を修正していかないと、嘘を教えてしまう可能性がある。 これは私の中では、絶対に避けたい事態。 ええ、ペーパーインストラクター。職業倫理観だけはキッチリしてます(笑) #教える・伝える仕事を、ずっとしてたので、ここは絶対に妥協できないんですねぇ。健康に悪い考え方だというのは分かっているんですが。 来日される先生方は、自称・中国茶研究家ではなく、中国農業科学院茶葉研究所の研究員。 研究員とは”教授”のことである。 新中国になってから茶業の発展に貢献してこられた、まさに歩く中国茶事典のような方々。 日本に在住している身で、きちんと中国茶の勉強をしようと思ったら、こういうチャンスを逃す手はない。 #といっても、盲信はしませんが。最終的には、自分が美味いか不味いかだけが判断基準です。ええ、だってお茶は嗜好品ですから♪ 今回の先生方は、鉄観音の専門家と品種の専門家。 午前中は、鉄観音の専門家の季先生から、鉄観音についての講義。 鉄観音の誕生については二説あるけれども、どちらも平等に紹介される。 ここらへんが、さすがに学者。どちらの説にも敢えて肩入れしていない。 伝説よりも美味しいお茶と事実、プリーズ♪ な私にとって、こういう講義の方が嬉しい(^^) 鉄観音の製造工程についての解説が詳しかったのが、何よりも勉強になった。 茶摘みの方法だったり、発酵を促す做青(さくせい)という作業についても、詳しく説明してくださる。 台湾で東方美人を作ったときに痛感したことだが、ただ茶葉を揺すってこすり合わせているだけでは、発酵は上手く進まない。 茶葉を揺する1回1回の動作には目的があり、それを意識して作業しないと、美味しいお茶には仕上がらないのだ。 同じ烏龍茶とはいえ、発酵度が全く違う2つのお茶。 東方美人と鉄観音の做青の方法は当然ながら、異なる。 実は、この製法を知ることが、お茶の品質を見極めること(いわゆる評茶)に大変役に立つ。 評茶という作業は、例えるならば、プロファイリングのようなものだ。 評茶員は、お茶の外観、香り、茶水の色、味、茶殻などをヒントに、お茶の製造工程での問題点を探っていき、それをつきとめる。 感覚、特に味覚や嗅覚の鋭敏さは、もちろん必要だが、お茶の生産現場でどんな作業が行われているのかを理解していないと、”味に渋みがある”とか”煙の香りがある”というような現象面は指摘できても、製茶の問題点は指摘できない。 プロファイリングの例で言えば、犯人像が割り出せないということだから、いわばワイドショーのコメンテーターの役割ぐらいにしかならない。 つまり、分かっていることを繰り返して言うだけで、問題の解決には何の役にも立たないということである(わお、辛口・・・) 製造工程上で、問題のある場所が特定できれば、次回の製茶の役に立つ。 茶農家は、そこに気をつけて製茶をすれば良いからだ。この積み重ねが進歩を生む。 評茶は、茶の生産技術の進歩に欠かせない技術でもあるのだ。 凍頂烏龍茶が品評会の実施で、急速に品質を高めていったのは、品評会の際に評茶員がつけたコメントを参考に、茶農家が地道な努力を続けたことによる。 まさに評茶員と茶農家の”カイゼン”の賜物である。 もちろん、それを膨大なデータに基づく研究でバックアップした、茶業改良場の役割も大きい。 せっかくの機会なので、私、最近増えている空調茶について質問。 空調茶とは、清香型鉄観音の急増・生産量急増の申し子とも言える、発酵過程にエアコンを利用したお茶。 天候に左右されない分、安定的な生産ができるが、香りと味は今ひとつである。 この見極め方、空調茶製造上の問題点についても、明快に回答される。 ・・・さすが専門家(^^;) 午後は、工夫紅茶について。 2年前に、一度お話を聞いていたので、「2回も同じ話を聞くのでは・・・」と思っていたのだが、全く違っていて、中身は恐ろしく面白かった。 こちらも製造工程についての話だったのだが、お茶の化学成分の話に突っ込んでいく。 エピガロカテキンだの、エピガロカテキンガレートだの、テアフラビン、テアルビジンなど、名前を聞くだけでクラクラする(笑) しかし、この辺の化学物質の働き・原理をおさえておかないと、紅茶の品質は評価できない。 発酵によって茶葉の中のカテキン類がポリフェノールにどう変化するのか、というところから発酵のベストタイミングが決まるのだとのこと。 発酵が適正かどうかを見極めるキモになるのが、これらの物質の変化なのだそうだ。 紅茶は全発酵というから、発酵が開始したら放っておけばいいのかと思っていたのだが、やはりそんな単純なものではないらしい(^^;) 紅茶にも、発酵を止めるタイミングというものがあり、それを逃してしまうと、美味しくない紅茶にしかならないのである。 そのタイミングを逃すと、お茶の水色や味、茶殻に影響が現れるのだという。 実際に飲んだお茶の中に、発酵度オーバーの工夫紅茶があったが、確かに美味しくない。 工夫紅茶というのは、その美味さを最大限に生かすために、面倒な作り方をしているのだそうだ。 ちなみに、工夫紅茶とブロークンティーでは、要求される品質の特性が違うので、発酵を止めるタイミングが違うらしい。 紅茶も深い。。。 覚えるのは多分無理だけど、ダメな理由は指摘できるようになった気がする(^^;) さて、いろんな知識を詰め込んでクラクラになりながらも、 いやー、来月の高級評茶員講座の良い予習になった! と大満足で帰ろうとしたところ、 ・・・え、杭州行きを延期するかもですって? それだけは勘弁してください...orz 中級持ってる方、来月杭州に行きませんか(^^;) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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