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テーマ:中国&台湾(3304)
カテゴリ:旅行
3月23日から、5泊6日の日程で杭州に行ってきました。
目的は、高級評茶員講座の受講です。 ↑こんなこと書いて、不合格だったらどうしよう・・・(汗) 日本人が中国の国家資格(労働資格)を取得することについては、賛否両論あります。 これについては、私は「目的を取り違えなければ良いのでは」と思っています。 詳しくは旅行記の後書きにて(長くなるので)。 それでは、旅行記開始♪ 成田の事故の影響で機内搭乗の時間が遅れましたが、乗客が少なかったこともあり、ほぼ定刻通りに到着。 杭州は肌寒く、冬の格好をしてきて正解でした。 そのままバスに乗り込み、一路、茶産地へ。 今にも泣き出しそうな空模様だったのですが、郊外へ出るにつれ雨が降ってきました(T_T) さて、杭州の銘茶というと、なんと言っても西湖龍井が思い浮かびます。 その陰に隠れがちですが、杭州市郊外の余杭区では、もう1つの浙江十大名茶が生産されています。 それが径山寺の付近で作られている、径山茶です。 #浙江十大名茶は、他に大仏龍井、開化龍頂、安吉白茶、武陽春雨、西湖龍井、松陽銀猴、金奨恵明、望海茶、緑剣茶があります。ま、十大名茶と言っても、地方政府主導のマーケティング的なものなんですけどね。 途中までは、高速道路でスイスイなのですが、しばらくすると「この道で良いの?」という細い道に入ります。くねくねのヘアピンカーブが連続する急な山道を、バスは猛スピードで登っていきます。 確かに、頭文字Dも真っ青です((((((^^; 壁にスローガンがペンキで大書されているような、典型的な中国の農村をいくつか通過。 径山の麓までは割と近いのですが、山道に入ってからが結構長いです。 空港から2時間かかってお茶工場に到着。 まずは工場見学です。 雨なので、茶畑見学はできませんでしたが。。。 しかし、ラッキーでした。 昨日は天気が良かったそうで、今年初めての茶摘みができたそうです。 で、それを攤放(たんほう・緑茶の製造プロセスの一種です)したのち、今日の午前中に製茶。 つまり、これが今年の一番茶です。 このお茶を用意して、社長が待っていてくれました。 なんとも良いタイミングで訪れたものです。 なにしろ、量はこの1袋分しかありません。 社長はいかにも農村の訛りの強い中国語を話す、人懐っこいおじさん。 しかし、腕時計は金ピカでガレージには高級外車が並んでいました(^^;) とはいえ、ただ儲けているわけではなく、工場はきれいに整備されていますし、有機や緑色食品の認証をとったり、きちんと努力をしているようです。 はじめに、その径山茶を飲ませて頂きました。 ・・・正直に書きましょう。 最初は白湯かと思いました((((((^^; 明前のお茶なので、味が淡いのです。 もともと、穀雨近くの味がしっかりした茶葉を製茶するのが径山茶。 揉捻がきついと味が出すぎてしまうので、標準の技法では揉捻が軽めなんだと思います。 そんなわけで、成分が出るまで、ちょっと時間がかかるようです。 しばらく放置することにして、工場内を案内してもらいました。 まずは、攤放部屋です。 ここに茶葉を広げて水分を飛ばし、青味を抜き、香りを作ります。 ”中国緑茶の香りが良いのは釜炒りのせいである”と良く言われますが、この工程があることも見逃せないのです。 #説明がややこしいので、普通は省略して説明しますけど。ちなみに、室内萎凋とは目的も技法も違います。 適切な水分量になったら、この機械で一気に殺青(さっせい・茶葉に含まれる酵素を殺して発酵を止めること)します。 一般的な日本の煎茶だと、ここで蒸して発酵を止めますが、中国では基本的に釜炒りで発酵を止めます。 ここが、日本の緑茶と中国緑茶の大きく違うところです。 この後、釜に入れて整形したり、揉捻器に入れて揉捻(じゅうねん・茶葉をひねって中の成分を出しやすくする)したりして、最後に乾燥。 ここでは炭火を使って、いぶすようにして乾燥(これを[火共]青と言います)しています。 以上、[火共]青(こうせい)緑茶の大まかな作り方でした。 製造上の問題点をプロファイリングする評茶員は、お茶の作り方をきちんと知っておくことが重要なのです。 そういう意味のある、茶工場の見学でした。 見学を終えて、最初に淹れてもらったお茶を飲んでみたら何とも美味しいこと! さらにお湯を注ぎ足すと、もっと美味しくなります。 淡麗ながら、口の中に残る甘さがとても心地よく、「え?これ径山茶?」と思う味になっていました。 これは一度飲む価値があります♪ #このお茶、地球にやさしい中国茶交流会で、碧眼猫さんに淹れてもらおうかしら・・・ 茶殻も柔らかいです♪ さて、問題のお買い物。 一番茶なので、径山茶のくせに(←失礼)、西湖龍井か安吉白茶並みのお値段! 台湾茶で喩えるならば、梨山でも大禹嶺クラスが買える金額です。 いや、それより高いか。。。 この値段、別に観光客相手の値段というわけではなく、これが明前の中国緑茶の相場なのです。 例えば、龍井でも清明節前とその後の茶葉では、値段の桁が1つ違います。 かくも激しく格差があるのが、ハイエンドの中国緑茶の世界です。 どう考えても、明前緑茶の相場は歪んでいます。 茶摘みが1日早くなれば、1斤あたり100元違う、そんな世界です。 だからこそ、早摘みの出来る早生品種が求められるわけです。 いくら龍井長葉の方が味が良くても、生産者が2,3日発芽の早い龍井43号に流れるのは、そういう理由です。 まったく異常な世界ですが、こういう経済原則があることを知らないと良い買い物はできません。 しかし、明らかに高いと分かってはいるものの、製茶したての初摘み茶に出会え、工場を案内してもらったのも、何かの縁。 量も少ないので、こういうお茶は市中では買えませんし。 ・・・ということで、私、半斤(250g)購入。 滞在中の一番高い買い物だったと思います(^^;) みなさまも少しずつ購入。 そういう縁を大事にすることが気に入られたのか? 金時計の社長は、ずーっと上機嫌でした。 で、お茶を注文してパッキングをしている間に、社長、どこかへ電話をかけました。 先生がこれから径山寺に行く予定だと話をしたら、「それなら紹介してやろう」と電話をかけてくれたのだそうです。 地元のネットワークというやつです。 中国では、紹介。これが一番効きます。 このおかげで、径山寺では特別待遇。 若手のホープであろうお坊さんに案内をしてもらうことができました。 それはそれは聡明で人格に溢れ、目の輝きが違う素晴らしい人物。 お会いできるだけでも光栄でした。 その経験を考えると、今回支払ったお茶代が安く感じられるほど。 金時計の社長は、実はスゴイ人だったのでした。 お茶の縁とは、思わぬところから紡ぎ出されていくものです。 続く。 しっかし、ホントに高かった(^^;) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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