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中国茶・台湾茶と旅行 あるきちのお茶・旅行日記(旧館)

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2009.07.18
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ちょっとご報告が遅くなりましたが、18日に夏の中国緑茶展示会が開催されました。
まず、ご来場いただきました皆様、色々と不手際がありまして、申し訳ございませんでした。

当日の様子をご紹介しつつ、補足説明をば。

今回のイベントは、”展示会”という名の通り、かなりの種類のお茶が揃いました。

まずは、廬山雲霧。

廬山雲霧

日付違い&作り手違いで6種類。


そして、黄山毛峰。

黄山毛峰

日付違い&栽培茶と野生茶の違いなどで9種類。


そして、今回の主役の碧螺春が22種類。


それらをズラッと並べると、こんな感じ。

全部並べたところ

向こう側が見えないぐらいです((((((^^;

このあと、龍井が届いて、全部で46種類あった模様です(汗)
これが全部飲めるわけですから、恐ろしいイベントです。。。



日付別の碧螺春ですが、これは1軒の農家の初摘みから4月11日までに作ったお茶を、簡さんがすべて買い占めてきたものです。

碧螺春

普通ならば、こういう仕入れ方はあり得ません。
良いロットだけ選んで買うか、適当にブレンドするのが通常だと思います。

しかし、それではお茶の素性が良く分からなくなってしまう。
教材として使うことを前提に、今回のような買い方をしてきたそうです。

* * * * * *

さて、

日付が1日違うぐらいで、お茶の味はそんなに変わるのか?

というのは、多くの皆様が疑問に思うことだと思います。


私、飲む気満々で出かけたのですが、会場ではなぜか?スタッフ化してしまいましたので、家で味を確認してみました。

会場同様、小さめの茶杯に茶葉を入れます。

18種類の碧螺春

右上が3月19日の初摘み茶。一番下の列の右側が4月11日のお茶です。

これだけ茶杯が転がっている、我が家もどんだけ~(←腐語)と思いますね(^^;)


右上の日付の若いものから順に飲んでいきます。

これ全部飲むの・・・

簡さんの作ったお茶のリストには、茶摘みの日と産地・品種・天候が書かれています。

これを見ながら飲んでいくと、とても面白い!のです。
#ご参加された方は、ちょっと記憶を思い起こしながら読んでみて下さい。


初摘みの3月19日のお茶は、お茶というよりも、甘い水のようです。
香りはそれほど強くはありませんが、とにかく旨くて甘い水。

2番目の21日のお茶は、初日と比較すると、やや甘さが薄くなっています。
ひょっとしたら、前日20日は雨だったのかもしれません。

3番目の22日は、香りに加えて、ややしっかり感が出てきます。
ただ、イマイチまだ味が乗ってこない感じです。ちょっと物足りない。

4番目の24日のお茶は、随分と果物の香りが出てきます。
ただ、甘さがやや弱い。

5番目の25日のお茶は、甘い香りと味のバランスが良い!
茶水に含まれる甘さもよく出ていて、飲んだ中では、もっともバランスが取れていて美味しいと感じました。

6番目の26日のお茶は、前日と比べると、やや茶水の甘さが減ります。
だんだんお茶の味は濃くなってきましたが、甘さは相対的に落ちてくるんですね。

27日、28日は雨のため、茶摘みせず。

7番目の29日のお茶を飲んでみると、香りはあるのですが、お茶の味が薄いというか、水っぽく感じます。
前日が雨なので、茶葉に含まれている水分が増えていることが想像されます。
茶葉に含まれている水分量の違いで、こうまで影響が出るのか!と思いました。

8番目の30日のお茶になると、天候も回復し、しっかり感が戻ります。

9番目の31日のお茶は煙の香りを感じました。
おそらく釜炒りの際に、焦がしちゃったんだと思います。これは失敗作ですね。

このへんになってくると、甘い香りは随分落ちてきてしまいますし、味にも渋みというか”濃さ”が目立つようになります。
旨味や甘みというよりは、お茶の強さが前面に押し出される感じでしょうか。


この傾向は正比例で続いていって、4月3日のお茶ぐらいが甘くて美味いと思う限界点でした。
これを越えると、香りと茶水の甘さが失われていきます。

翌4月4日は雨のため茶摘みせず。

清明節の4月5日のお茶は、前日の雨の影響で水分が多かったせいか、水っぽく薄い印象。


そして、これ以降のお茶は、どんどん味が濃くなってきて、美味しいという印象はなかなか持てませんでした。
何と言っても、碧螺春の特徴でもある甘い香りというのは、ほとんど感じられなくなってきてしまいます。

* * * * * *

このように一日ずつ試飲してみると、明前のお茶の値段が高いのは、味の面からも納得できるものでした。
やっぱり、甘さが全然違ってきてしまうのです。

好みはあるかもしれませんが、純粋に旨さを感じるのは、明前のお茶、それも初期の頃のお茶でした。
決して、不当に高いわけではないのです。

ただ、早すぎても味わいが薄いので、このへんのベストバランスをどう見極めるか。
これが、バイヤーの腕というか”買い物上手さ”になってくると思います。
#ちなみに、我が家で買ってきていたのは、偶然にも25日のお茶でした♪


いやー、これは勉強になりました(^^)



それから、次に

・若い樹と老木の違い

・土壌の違い(山と池の近くのお茶の違い)


を比べてみます。

左から若い樹、老木、山、池です

すべて4月3日の東山のお茶です。
作り手は違いますが、それ以外の条件は、ほぼ揃えられています。

これも飲むんです

まずは、左側の樹齢が若いものと老木の違い。


これは、本当に明確に違いが出てました。

若い樹の方が、最初に飲んだときは香りもはっきりしていて、「おっ!」と思うんです。
しかし、老木のものを飲んでしまうと、表面的な薄っぺらいものに感じてしまうから不思議です。

若い樹で作られたお茶は、口の中で一瞬味わって終わりなのですが、老木の方は喉に落ちてからも、じわじわと味と香りが出てくるような感覚があります。
老木の方が「飲んでいて飽きないなぁ」と思います。

これは面白い♪


そして、右側2つの土壌の違い。

魚の養殖池の周りに植えられている茶樹のお茶と山側のお茶の比較です。
泥っぽいところと山のしっかりした土壌の違いです。

これもまた違いが結構出ていました。

山のお茶の方は香りがフワッと花開く感じがあるのですが、池の周りのお茶は、花開こうとするんだけど引き戻されるような感覚があります。
ちょっと籠もっているというか、爽やかさに欠けるんですね。

* * * * * *

実は飲み比べる前は、

「どれも、そんなに大差ないんじゃないか」

と思っていたんですが、意外に良く分かる飲み比べでした。
↑私の気のせい?


とはいえ、今回のお茶をいきなり飲まされても「何がなにやら・・・」だったと思います。
が、今回のように飲み方の”軸”を揃えてもらうと、急に分かってくることがあります。
レジュメとお茶の組み合わせの秀逸さに気づきます。


お茶を知ろうと思ったら、時間が必要です。
なにしろ奥深い世界ですので、どこかでちょっと勉強して「資格持ってます」「免状もらいました」で理解できるほど、簡単ではありません。
最終的には、体験の積み重ねこそがモノを言う世界であり、体験と結びついていない知識は蘊蓄に過ぎません(←自己反省)
楽しみながらお茶を飲みつつも、積極的に体験を積んでいかないと、お茶はなかなか分かりません。

しかし、何の世界でもそうですが、要領というのはあると思います。
そうでなければ、何事も進歩はあり得ません。

漫然と長く続けるよりも、何らかの”意図”を持って挑むことにより、”同等の経験を得るための時間”を短縮することができるのではないかと。
#これを我が業界ではフレームワークと呼んでいます。


今回の展示会は、中国緑茶を知るための1つのフレームワークを与えてくれたのではないかと思いました。まったく貴重な機会だったと思います。

お忙しい中、準備していただいた簡さん&百大先生、茶心之会の皆様、そしてご来場いただいた皆様に感謝いたします。


また機会があれば、是非このような会を開催していただきたいと思いました。


・・・一人で何種類も黙々と飲むのはしんどいので、次は私も会場で飲みたいです(^^;)


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Last updated  2009.07.22 22:51:26
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