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中国茶・台湾茶と旅行 あるきちのお茶・旅行日記(旧館)

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2012.02.20
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2月11日の建国記念の日に開催されたイベント 中国茶研究会「薄茶と濃茶の淹れ方」に雑用係として行って参りました。
#最近、お茶業界の”雑用係”になっている気がします(^^;)


こちら、地球にやさしい中国茶交流会にも参加いただいた、留香茶芸のみなさんによる講座でした。

実はあまり流派の特徴というものが、よく分かっていなかったのですが、今回、その一端が垣間見えた気がしましたので、ちょっとご報告を。
中国茶の「流派」というのがどういうものなのか、気になっている方も多いと思うので。



まず、前半はタイトルにもなっている”薄茶(うすちゃ)”と”濃茶(こいちゃ)”についての講義でした。

ちょっと独特の用語ですが、

喉を潤すゴクゴク系のお茶が薄茶
香りなどをじっくり楽しみたいお茶が濃茶


だそうです。

創始者の李先生のルーツは、広東省の潮州にあります。
つまり、潮州の濃いエスプレッソのようなお茶が濃い茶の標準になっています。

というわけで、薄茶といっても、実はそんなに”薄い”わけではないようです。
実際に飲ませていただくと、コーヒーでたとえるならば”エスプレッソ”とドリップコーヒーの”ブレンド”のような関係性でした。決して、”アメリカン”ではありません。


薄茶と濃茶をそれぞれどうやって淹れるのか、というのが前半の講義なのですが、色々と面白い発見が。

まずは、こちら。

DSC01018.JPG

お皿に載っている茶葉は全て同じ重さの茶葉なんですが、お茶の種類によって随分かさが違います。
これは分かりやすいですね。


さて、お茶を淹れる時に、ちょっと迷ってしまうのが、茶葉を入れる量。
特に初めてのお茶の場合は、戸惑いますよね。


それが留香茶芸のやり方だと、結構明快です。
茶葉の形状を6パターン程度で独自に分類しており、形状によって茶壺に対してどのくらいの量を入れればよいか、という目安があるのだそうです。

「この形だから、この程度の量」というのを6パターンだけ覚えればOKということですので、シンプルですね。


あとは、お湯の温度も、お茶の種類ごとに適温が決められています。
これは主に六大分類にいくつかの要素を加えたものなので、それを一通り覚えればOK。
お湯の温度は泡の状態で確認するそうです。

蒸らし時間に関しては、簡単な計算式で1煎目、2煎目、3煎目と適した時間が求められるようになっています。

あとは時間をどう計るかだけです。
が、これも、茶杯を温めたり、お湯を捨てたりという動作に要する”標準作業時間”が決まっているので、砂時計を見ながら待ち時間を計る、というようなことをしなくて良くなっているそうです。


というわけで、この方式だと、茶葉の形状と茶種ごとの湯温のパターンさえ覚えてしまえば、どんなお茶でも対応できてしまうわけです。
変な話ですが、どんなお茶かよく分からないお茶でも、美味しく入れられるというスタイルにしているようです。
この点が一番の特徴ではないかしらと思いました。
#そういう説明はないのですが、横から聞いているとここが一番のポイントのように思えました。


私の場合、どちらかというと、

「お茶の製法的にこうだから、大体このようないれ方で」

というスタイルで教え込まれた面があるので、これはちょっと新鮮でした。
あれやこれや覚える必要がないので、その分、技術を磨くのに専念できる仕組みなんだなぁと思いました。



後半は、理論の実践ということで茶芸披露を。

まずは、蒙頂黄芽。

DSC01036.JPG

こちらは薄茶点前で。
薄茶という名前に釣られて飲むと、「あれ?」と思うぐらいの、しっかりとした味で出てきました。
お茶の特徴がしっかりと分かる濃さです。


続いて、福寿山。

DSC01044.JPG

こちらは茶壺で淹れていただきました。
しっかり目に入っています。”濃茶”ですね。
香りも強めに出ていますし、味わいも舌にドンっと来る感じの淹れ方です。
なるほど。


そして、岩茶を蓋碗で。
たしか半天妖だったかと。

DSC01056.JPG

こちらも、ハッキリとした味わい・香りのお茶に入っていました。
濃茶の場合は、茶葉もかなり多めの分量で淹れるようです。


さて、留香茶芸では、茶道具を洗って元の状態に戻すところまでを1つのプログラムとしています。
そんななか、潮州ルーツですよというのがよく分かるのが、こちらの動作。

DSC01064.JPG

茶杯の洗い方が独特です。
2つの茶杯をピンポン玉のようにして持ち、お湯の入ったもう1つの茶杯に入れてカチャカチャ回して洗う技です。

私には熱くて絶対無理ですw


と、こんな感じの会でありました。

DSC01013.JPG

全体を通してですが、李先生の経験の中から出てきたものを、きちんとまとめ上げて、かちっと体系的にまとめあげたんだろうな、という印象を持ちました。

特に淹れ方の「軸」の部分に相当する、茶葉の分量や時間の決め方が「うちはこういうやり方でいく」と決まっているからなのか、淹れ手の方の動作の安定感はかなりのものでした。迷いがないんですよね。


「流派」というと、手の動かし方だとか、レイアウトの仕方とか、そういう点に目が行きがちですが、本質は違うところにあるのではないかと。

今回見た限りでは、「お茶の専門家でない人が、生活の中でお茶を楽しむ方法を追求」というのが、流派の根本の考えにあるのかな、と思いました。


人は、いつも見慣れたものと違うものを見ると、なんだかムズムズしてきてしまう(笑)傾向があります。

が、「その裏にどんな考え方があるんだろうか」と見て行くと「なるほど~」と感心することも、しばしばです。

見慣れた世界に止まらず、いろんなスタイルを見て行くことも、やっぱり大事だな~と改めて思いました。





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Last updated  2012.02.20 23:16:04
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