先週の土曜日、現代喫茶人の会主催のシンポジウムに行ってきました。
現代喫茶人の会は、お茶の世界では歴史ある特定非営利活動法人(NPO法人)さんでありますが、なによりも設立趣意がスバラシイと思います。
やはり、組織たるもの明確な”目的”というのがなければなりません。
さもないと、長年やっているうちに、何のために活動しているのか分からなくなることがありますから。
それはさておき。
今回のシンポジウムは「日本紅茶のパイオニア達」。
まずゲスト講師に「紅茶が動かした世界の話」の著者の千野境子先生が招かれ、多田元吉と会津のおけいの話を60分ほど。
続いて、理事長の角山榮先生による「日本紅茶の歴史-経済学者の立場から-」という講演が50分ほど。
そのあと、休憩タイムを兼ねたお茶の時間が30分ほどあり、最後に千野先生と角山先生の対談という構成でした。
順に少しずつご紹介をば。
<日本紅茶のパイオニア達>
まずは、千野先生のお話。
長らく産経新聞の記者をされていたそうです。
お話をずーっと聞いていると、確かに新聞記者の方ですね。
動いてないと気が済まないタイプの方ではないかと思いました(笑)
今回の講演の内容は、どちらかというと今回の本ができたきっかけや、その取材活動の中での出来事などが中心でした。
多田元吉やおけいについては、産経新聞の連載「日本人の足跡」でとりあげたところがきっかけだそうです。
今回の本はその共通点である「紅茶」を切り口にしてみたのだとか。
うーん、事前に本を読んでこなくて大失敗。
早く読まねばいけませんね。
<日本紅茶の歴史>
続いて、角山先生の講演。
「茶の世界史」はもちろん読んでおりますが、角山先生のお話を聞くのは今回が初めてでした。
元々の専門は経済史なのだそうで、その視点も交えて、日本の紅茶の歴史を振り返るというものでした。
この講演が非常に中身の詰まった内容で、かなり聞き応えのあるものでした。
明治時代に紅茶の生産を開始するも、売れなかった日本の紅茶。
その理由はなぜか?ということを、当時の海外情報の収集方法や輸出の仕方の様子などをかみ砕いて解説していただきました。
考えてみれば、江戸時代の間、日本は鎖国をしていたわけですから、海外と商売をするというのは、明治の人たちにとっては全く手探りだったんですよね。
その際、イギリスがインドで行っていた茶業と日本や中国の茶業が全くスタイルの違うものであったことに言及されていました。
収奪型のプランテーション農業と小規模な家族経営の農業では、コストが全然違いますからね。
こういう展開は、私的には大ヒットでありました。
私、お茶というのは商品作物であり、経済性ということを抜きにしては、正しく認識できないものだと思っています。
ところが、日本は茶道の国だからでしょうか。
どうも精神性の方向に行きすぎてしまう傾向があり、バランス悪いなと思っていたので、一発で角山先生のファンになりました。
お茶への思いもとても熱い方なので、ついていきますw
<お茶の時間>
聞き応えのあるセミナーのあと、休憩をかねたお茶の時間。
講演で話のあった、多田元吉さんが日本に持ち帰った紅茶品種。
その中から選抜された「ただにしき」という品種でつくられた丸子の紅茶をいただきました。
水色はちょっと黒っぽく出てしまったと、生産者の方のお話。
カラメルっぽい自然の甘さが生きている紅茶でした。
和紅茶らしく渋みは少ないのですが、かといってピンぼけした感じにもなっておらず、なかなか美味しいと思います。
稀少品種だそうなので、おみやげにもらったものも大切に飲みたいと思います。
<対談>
最後にお二人の対談。
角山先生を前にして、千野先生の記者魂に火が着いたらしく(笑)、千野先生の問いかけに角山先生が答えるという感じで進みました。
茶と砂糖の関係について独自の考察をお話しされていたり、これまた色々と面白いお話が盛りだくさん。
喫茶文化を取り戻すことの意義といった部分も、熱心にお話しされていました。
同感デス。
と、ここまででおよそ3時間。
大変聞き応えのある内容でした。
現代喫茶人の会の次の大きなイベントは、4月7日・8日に府中市郷土の森博物館内 県木園で開催される、「一人一席 春のティーパーティー」だそうです。
園内に設けられた席で、色々なお茶が1席300円で飲めるのだとか。
マテ茶&ハーブティーを飲みに来てと誘われたので、行ってみようかと思っていますw
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