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中国茶・台湾茶と旅行 あるきちのお茶・旅行日記(旧館)

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2012.05.15
XML
カテゴリ:Welcome中国茶
お茶の淹れ方について、もう少し掘り下げておきます。

まず、最初はお茶屋さんの淹れ方マニュアル通りで良いと思います。

次のステップとして、学んでおきたいのは、その裏側にある「原則」です。
これをマスターしてしまえば、自由自在にお茶を淹れることができるようになります。
「緑茶は何度ぐらいのお湯で・・・」なんてのを暗記しなくて済みます。


<お茶を淹れるということ>

これから茶芸や茶道を追い求めている方には、怒られそうなことを書きます(宣言)

お茶を淹れるという作業を科学的観点から見ると、

お茶の中に含まれている成分を、お湯(もしくは水)に溶かし込む作業

と言えるでしょう。

つまり、上手にお茶を淹れることを、実に味気ない表現を使って述べるとすると、

茶葉の中に含まれている美味しさの成分を狙い通りに抽出すること

になります。


うーん、本当に味気ないですね(苦笑)


しかし、美味しくお茶を淹れることの本質は、ここにあると思います。
「真心を込めれば、お茶は美味しく入ります」とかは、この後に出てくる話です。
そもそもの前提条件である、お茶の美味しさの成分を引き出す淹れ方が出来ていなかったら、どうやったって美味しく入りません。


というわけで、お茶の淹れ方の原則というものを考えてみます。

たくさんのポイントがあるのですが、ここでは、分かりやすいものとして、

お湯の温度と味・香りの関係
茶葉の形状・年月
お湯の注ぎ方


の3つについて紹介しておきます。

なお、私は淹れる分野のスペシャリストではありません。
興味のある方は、ぜひ詳しい人に教えてもらってください。
お茶淹れは、直接指導をしてもらうのが好ましい分野です。


<お湯の温度と味・香り>

お茶の風味を決定するものに、味と香りがあります。

これらを左右する大きな要素が”お湯の温度”です。


お茶の味を左右する大きな要素として、旨みと渋みがあります。

旨みというのは、いわゆるアミノ酸に代表される成分が作り出しています。
高級な緑茶にはテアニンという物質が含まれている、というのが時々出てきますが、これもその一種です。

この旨み成分というのは、お湯の温度の高さには、あまり関係なく溶け出してきます。
温度よりも、抽出時間を延ばすことにより、多く染み出てくるタイプの成分です。

一方、渋みというのは、いわゆるカテキンやタンニンといった物質とカフェインから出てきます。

このうち、カテキンやタンニンは、お湯の温度が高いほど、たくさん溶け出す性質があります。
つまり、渋みを押さえたい場合は、お湯の温度を低めにして抽出すれば良いということになります。
抽出時間も短くした方が、カテキンやタンニンの溶け出しを抑えることが出来ます。


このような特性をうまく生かしていると思うのが、日本の玉露の淹れ方です。
玉露の持つアミノ酸の旨みを引き出し、かつカテキンやタンニンのような渋み成分を出さないようにする。
そのために低めの温度で、じっくり長めに置いて淹れるわけです。

うーん、実に理に適ってますね(^^)


続いて、香りです。

お茶の香りのもとは、茶葉の中に含まれる芳香成分です。
この手の成分は、ある程度の温度に達しないとあまり抽出されない、という傾向があります。


ですので、香りを引き出そうと思ったら、とにかく熱々で淹れるのが吉です。


烏龍茶の淹れ方を見ていると、

茶器を温める
急須の上からお湯をかける


と、お湯の温度を下げないよう、一貫して工夫していることが分かります。
香りが命の烏龍茶らしい淹れ方なのです。


ここまでの内容をまとめますと、

旨み ・・・ 温度にはあまり関係ない。時間が長いほど良く出る。
渋み ・・・ 高い方が出やすく、低いほど出にくい。時間が長いほど良く出る。
香り ・・・ 高い方が出やすく、低いと出てこない


と、なります。
温度が高い方が香りは出ますが、渋みも増えてしまうので、時間を短くしてカバーするなど、最適な妥協点を探っていくことになります。


つまり、中国茶の淹れ方をざっと整理するならば、

香りを特に大事にするような青茶や紅茶は、香りを引き出しやすい高めの温度で

旨みをじっくり引き出したい緑茶や白茶などは、やや低めの温度でじっくりと

というのが原則になるわけです。
六大分類、きちんと押さえておくと、こういうところで効いてきます。


この原則は、淹れてみて、味の微調整をする時にも役立ちます。

「ちょっと渋かったなー」と思ったら、温度を下げるか抽出時間を短くする
「ちょっと香りが足りないなー」と思ったら、温度を上げてみる
「ちょっと旨みが足りないなー」と思ったら、抽出時間を長くする

というふうに、応用すればOKというわけです。
淹れ慣れている方というのは、こういうコツを感覚でつかんでいるのです。


<茶葉の形状・年月>

茶葉の形状によっても、成分の出やすさは変わってきます。

一般的に新芽の部分を使っているお茶は、味が出やすい傾向にあります。

この手のお茶は温度をやや下げた方が、美味しく入ります。
高級な緑茶の多くは、小さな新芽を使ったお茶なので、このルールを適用すると良いでしょう。
烏龍茶でも、東方美人茶などは新芽を多く使っているので、沸騰後一呼吸置いた程度のお湯の方が美味しいです。

一方、成熟した茶葉を使っているお茶や凍頂烏龍茶・安渓鉄観音のように、きつく巻きが入っているお茶は、味がやや出にくい傾向があります。
ですので、お湯の温度を高めにする、お湯を直接当てるなどの方法で、成分の抽出を促してあげると良いでしょう。
#烏龍茶の場合、一度水分を吸わせ茶葉を解きほぐし、抽出しやすくするという意味で、洗茶も有効な方法です。


また、古いお茶の場合は、成分が出てくるまで時間がかかったりします。
そこで、お湯の温度を上げたり、洗茶をするなどの方法を用いる方が良いでしょう。
プーアル茶で必須とされている洗茶には、ほこりっぽさを取るというだけでなく、一度お湯につけて成分の抽出を促すという意味もあると思います。


<お湯の差し方>

お湯をどう差すか、というのも味や香りに影響を与えます。

まず、茶葉に直接お湯を当てると、成分は抽出されやすくなります。
香りも味も出ますが、渋みや雑味も出やすくなります。

さらに、お湯を注ぐ高さを高くすると、水圧が強くなりますので、ますます出やすくなります。

直接茶葉にお湯を当てず、茶器の壁に当てるようにしてお湯を注ぐと、味はマイルドになります。
ぜひ実験してみて下さい。


このように、器の中にある茶葉にお湯をどう注ぐかということで、味わいをある程度コントロールすることができます。

「ポットの注ぎ口は細い方が良い」というのは、このためです。
細い方が、水線のコントロールをしやすいのです。


もっと言いますと、茶器の中でお湯をどう回すか、というあたりに突っ込んでいくと、美味しく入ったりします。
ここまで行くとかなりマニアックな領域ですが、美味しいお茶の淹れ方を追求したい方は、研究してみるのも良いかもしれません。


<茶芸を学べば美味しいお茶の淹れ方を学べるか>

ここまで書いてきたような内容を知っていれば、普通にお茶を淹れるぶんには全く不自由しないと思います。

さて、それでは中国茶を学ぼうとした方は、必ず見かけるであろう「茶芸」というのは、一体何なのでしょうか?

いわゆる「茶芸」を学べば、上記のようなことがマスターでき、お茶を美味しく淹れられるようになるか、というとこれは何とも言えません。
「茶芸」というものの捉え方が、先生や団体によって、まちまちだからです。

たとえば、中国茶を淹れること全般を「茶芸」と呼んでいるだけの人もいれば、美しく淹れるのが「茶芸」だという人もいますし、美しく・美味しく淹れるのが「茶芸」だという人や、お茶の道を究めるのが「茶芸」だ、と各人各様の解釈があります。

中には、「中国の国家資格が受かりさえすれば良い」とばかりに、表面的な形を覚え込ませるだけのこともあります。
こうした講座を出れば、確かに、美しい所作で淹れることは出来るようになるかもしれません。
が、味が伴っているかどうかは・・・ よく分かりません。

本格的に茶芸を勉強したい方は、よく先生の考え方や授業の進め方を確認した上で、講座を選ばれることをオススメします。


個人的には、中国茶の右も左も分からないうちに、いきなり茶芸の世界に飛び込むというのはオススメしかねます。
中国茶の世界がそれなりに見えていないと、先生の考え方や授業の進め方の説明を理解できないと思いますので。


続く。


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Last updated  2012.05.15 23:36:50
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