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テーマ:中国茶好き集まって!(926)
カテゴリ:Welcome中国茶
さて、それでは日本の各中国茶団体について、私の知っている限りのことと印象を。
まず、先にお断りしておきますが、ひょっとしたら事実を勘違いしている部分があるかもしれません。 また、ここに載っているから「オススメ」というわけでもありません。 「ここに採りあげられてないから、有力ではないんだ・・・」ということも、ありません。 単に私が知らないだけです。 あくまで勉強できる機関を探す手助けになれば、という趣旨のものです。 その点をご理解の上、お読み下さい。 その前に、独自の用語を使いますので、そのご説明を。 <「文系」と「理系」>各団体には色々と特徴があります。その中でも、ハッキリ分かれるのが、お茶を基本的にどういう視点から見ているのか、という部分です。 まず、お茶の文化・歴史といったところが出発点になっていて、その分野からお茶を見つめていく団体。 便宜上、「文系」と呼ぶことにします。 色々なテキストやカリキュラムも、そういう組み方になっており、お茶の歴史や文化というところを学ぶには良さそうなところです。 もう1つは、お茶の植物としての特徴や化学的な組成といったところにベースを置く団体。 便宜上、「理系」と呼ぶことにします。 お茶の化学的な変化だったり、農作物としての特徴をきちんと踏まえた上で、テキストやカリキュラムを組んでいるところです。「お茶そのものをきちんと学びたい」という方に向いていると思います。 もちろん、これはかなり曖昧な区分けで、どちらか一方しか学べないというものではありません。 ほとんどの団体のカリキュラムでは、両方が組まれています。 「どちらが得意なのか」程度でお考えいただければと思います。 では、団体の紹介を。 <NPO法人日本中国茶芸師協会>本部所在地:静岡県Webサイト:http://jcteaia.seesaa.net/ 2005年設立のNPO法人です。主に中国の国家資格取得ツアーや茶産地訪問ツアーなどを企画するほか、各種イベントでの茶芸披露をしています。独自資格は発行していません。 静岡県と浙江省は友好提携をしており、その繋がりから生まれた団体ではないかと思われます。 資格取得ツアーは全国各地の空港から出発し、杭州で合流するようです。 事前に研修テキストをダウンロードして、自習を行っておくというスタイルだとか。 中国側の受け入れ先は、茶文化の学術研究が目的である、中国国際茶文化研究会なので、やや「文系」寄りと思われます。 <NPO CHINA 日本中国茶協会>本部所在地:東京都Webサイト:http://www.chinatea.org/ 1997年に設立された団体です。表参道の遊茶が関わっている団体です。中国の国家資格である茶芸師・評茶員の取得講座を開催するほか、昨年から独自資格、中国茶エキスパートの認定を始めています。 中国側のパートナーが中国茶の流通を担う団体である、中国茶葉流通協会であり「理系」寄りと思われます。 中国茶エキスパートは、ジュニア、シニア、マイスターの3段階。 現時点では、普及者資格といった感じですが、将来的には指導者育成を目指しているようです。 カリキュラムを見る限り、初心者から評茶員や茶芸師へのステップアップも考慮されたものになっており、組み方はしっかりしている印象です。 資格取得のためには認定講座を受験して試験に合格する必要があるほか、日本中国茶協会への入会が必要です。 <中国茶インストラクター協会>本部所在地:東京都Webサイト:http://www.teamaster.org/ 2001年に設立された団体です。渋谷の華泰茶荘が関わっています。 華泰茶荘のインストラクターコース卒業生で構成されており、国内外でのイベント参加や普及イベントの開催、国家資格試験準備講座への講師派遣を行っています。 独自資格の発行は行っていません。 ここに所属するインストラクターになるには、華泰茶荘が実施している1年間のインストラクターコースを卒業する必要があります。 毎回の小テストやテイスティング試験、研究論文の提出、製茶旅行への参加、海外の先生の前での茶芸試験など、多くの難関があります。 かなり頑張る必要がありますが、その分、実力はつくと思います。 私、ここを出ています。 中国側のパートナーは長らく、農業部の下にある中国茶葉学会だったため「理系」寄りです。 なお、ネット上で誤解が広まっていますので、訂正をしておきます。 「ここの卒業生は茶葉を華泰茶荘から安く仕入れられる」というものです。 全然、実態と違います。 気持ち割引がある程度で、とても仕入れして商売になるようなものではありません。 系列店作りの家元ビジネスなんて、とんでもありませんw むしろ、現地に行って買う人が多いです。 元々”プロ養成コース”として設定されたコースなので、産地の業者に騙されないよう、徹底的に似たお茶(鉄観音と本山など微妙なやつ)のブラインドテストをする、なんて訓練も積んでますから。 また、茶芸の指導も、かなり自由なスタイルで行われています。 統一の方式というものは特になく、型にはめる指導もありません。 自由な発想でできるためか、テーブルセッティングなどで個性派な方たちが結構出ています。 #そういう方ほど、ここ出身であることを明らかにしていません。組織に頼らず、独自路線を取る人が多いのも特徴と言えるかもしれません。 <日本中国茶普及協会>本部所在地:東京都Webサイト:http://www.china-t.org/ 2005年に設立された団体です。茶語を運営する日本緑茶センターや横浜中華街の悟空、緑苑など多くの中国茶販売業者が関わっている団体です。 元々、中国茶業界の統一団体としての設立を目指していたため、サントリーや伊藤園などの大手企業もバックに付いています。 中国茶の普及活動イベントを行うほか、独自資格の中国茶アドバイザー、中国茶インストラクターの認定を行っています。 認定講座のうち、中国茶アドバイザーは通信教育のみです。 中国茶インストラクターは初級・上級・高級の三段階に分かれており、上級インストラクター以上になると、初級インストラクターの指導が出来るようです。 なお、初級は集中コースの場合、2日間の講座を受講し、試験に合格。協会に入会すると取得できるそうです。 ・・・正直、私の感覚では学習期間が短いと思います。 ただ、所属インストラクターの方は非常に勉強熱心な方が多く、あちこちの講座や教室、お茶会でお目にかかります。 最初のハードルを低くし、その後育成を図るという方針なのかもしれません。 <中国茶指導・老師 日本事務局>本部所在地:浙江省杭州市 事務局所在地:東京都Webサイト:http://www.ct-ai.jp/ 中国国際茶文化研究会が発行している資格「中国茶指導・老師」(日本名:中国茶アドバイザー/インストラクター)の日本側の事務局組織です。 2006年の発足時には、XiangLe中国茶サロンの工藤先生が関わっています。 この資格は、中国国際茶文化研究会が「中国茶全般を指導できる講師資格を作ろう」ということで設定されたものです。 そのため、茶芸師や評茶員などの国家資格よりも、より幅広い内容を学習対象に設定しています。 内容については、発行団体の性格から文化に重きを置いたものになっているようです。 文化・歴史に関心のある方に適した「文系」な資格だと思います。 また、中国側の資格らしく、飲むお茶のガイドラインで緑茶が多いのも特徴でしょうか。 授業は全国の登録研修機関で受けられるほか、通信教育もあります。 ただし、最終試験は杭州での実施になりますので、一回は中国に行く必要があります。 1単位90分の授業を国内で25単位、中国で10単位取得する必要があるそうで、学習期間は割とかかります。 講師の方は、設立の経緯からもXiangLe中国茶サロンのインストラクターの方が多いです。 <NPO法人中国茶文化協会>本部所在地:東京都Webサイト:http://www.cha-tea.org/ 2010年設立のNPO法人で、専門家と消費者の団体という位置づけです。 各種イベントの実施や情報誌の刊行を行うほか、独自資格の中国茶アドバイザーおよび中国茶コーディネーター資格の認定を行っています。 前身は華泰茶荘が設立した任意団体、日本中国茶文化協会でしたが、NPO法人となる際に独立しています。 普及者資格である中国茶アドバイザーは1~4級まで設定されています。 4級と3級は全国の認定講師が実施する認定講座を受講し、修了検定講座をクリアすれば取得できます。2級以上は検定試験に合格する必要があります。 入門~プロフェッショナルまで、段階を追って学べるようになっています。 資格申請のためには、資格認定会員として入会が必要です。 資格取得後は、年1回、講座の受講か通信教育キットを使って、知識や技術をブラッシュアップすることになっています。 指導者資格である中国茶コーディネーターは、現在のところ独自の育成プログラムがありません(準備中)。 そのため、取得希望者は提携機関の講師資格を取得する必要があります。 具体的には、中国茶インストラクター協会の所属インストラクターになるか、シンガポール留香茶芸の上級茶芸指導講師の資格を取得することになります。 資格の相互乗り入れを認める稀な団体なので、今後提携機関は増えていく可能性があります。 <一般社団法人日本台湾茶協会>本部所在地:茨城県Webサイト:http://tea-taiwan.org/ 2009年に設立された、台湾茶の普及を目指す一般社団法人です。 設立には台湾茶の輸入を手がけるダッシュが関わっています。 独自資格として、台湾茶インストラクターと台湾茶アドバイザー資格の認定を行っています。 他、台湾茶の頒布会なども実施しているようです。 テキストは、台湾で発行された教材を日本語に翻訳したものを利用しています。 私も購入して目を通してみましたが台湾の研究者が執筆しており、しっかりしています。「理系」寄りだと感じました。 検定試験は年に1回開催され、アドバイザーもインストラクターも同じ試験を受験し、点数で振り分けられます。 試験の勉強については、受験対策講座が1日あるだけですので、基本的にはテキストでの自学自習が前提となるようです。 以上、ざざっと紹介してみました。 繰り返しになりますが、あくまで参考程度に、活用は自己責任でお願いいたします。 変更もあるかと思いますので、最終的には各団体のWebサイトを見たり、教育機関に問い合わせてご確認下さい。 続く。 にほんブログ村 こういう一覧がないと分かりませんよねぇ。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.05.21 00:50:00
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